お茶の原産地と歴史
まず、お茶の原産地から行きましょう。これは有名だから知っている人も多いと思うけれど、中国が原産ですね。100年くらい前までは中国説とインド説があったらしいんだけど、いろんな文献でも中国での記述が多かったし、なにより1961年に樹齢1700年の茶樹が発見されたことで中国が原産というのが定説。ちなみに、この茶樹は高さ32m直径2.9mだそうだ。
インドや東南アジアもお茶の栽培が盛んだけど、遺伝子的には同じ種族で中国から伝わったものだということが分かっている。茶産業の歴史を比べてもインドは200年くらい、中国は3000年と言われていて、少なくとも1800年前に出版された「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に、茶葉には解毒作用があるという研究が記載されているくらいだから、これ以前からお茶の文化があったことがわかるよね。
ついでに、紀元前2000年、つまり今から4000年前の中国王朝「周」の頃には、お茶は食べ物として使われていたらしい。そのころは苦菜(にがな)と言われていて、料理にも登場していた。この頃は草冠に余と書いて「茶」を表していたのが、唐の時代に今の「茶」という文字になる。陸羽が記した「茶経」が最初ね。
もっと古いところだと、神農帝(じんのうてい)という人がいる。紀元前3000年、今から5000年くらい前の人なんだけど、もう古すぎて人なのか仙人なのか神様なのか。とりあえずここでは人として扱うけれど、まあ伝説の人ね。この人は、あちこちの野山に入っていって、どの植物が食べられてどの植物に毒があるのかを試しまくった。で、当然だけど毒にあたることもあるんだけど、そのたびにお茶の葉っぱを食べて毒消しを行っていったと伝えられている。
いずれにしても、古代からずーっとお茶は「薬」としての位置づけだったということだね。今でもお茶は健康に良いことが分かっている。ざっと並べておくと。
抗癌作用。咽頭がんや胃がん細胞の増殖を抑制できる。
視力の維持作用。βカロチンには体内でビタミンAのようなパワーを発揮して視力を保つ。
老化防止作用。タンニンの老化防止作用はビタミンEの18倍。良質のアルカリ性飲料で、特に現代人は弱酸性になっていることから抗酸化作用が期待できる。
減肥作用。カテキンは血中のコレステロール値を低下させる。サポニンは脂肪分解に役立つ。
抗菌作用。カテキンパワー。白血病の補助治療にも臨床で使用される。O-157に対しても強い殺菌力。ブドウ球菌、コレラ菌、ピロリ菌にも有効。風邪の予防、虫歯予防にも。
免疫力向上作用。ビタミンCやアスパラギン酸の働き。アルゲニン強壮効果。
高血圧の降下作用。フラボノイド、カテキンによる血圧を下げる効果。
とまあ、たくさんの効果が分かっているのだから、古代から薬として扱われたことは理にかなっている。
健康寿命の長さとの関連についても、今研究がされているところ。掛川市や川根町は日本でもトップクラスの健康寿命が長い地域なんだって。毎日緑茶を飲んでいることが原因じゃないかということで、今も研究が進められているよね。
いずれにしても、お茶は薬として扱われていて、それが常飲されるようになっていくというのが大雑把な流れだということ。薬であるということが、このあと世界に広まっていく中で、特に初期段階では大きな動機になっているんだよ。