S10 冷やす(冷蔵冷凍) たべラジ原稿

 S10 冷やす技術が変えた歴史

10-1 冷やす技術の進化:現代の冷蔵庫から辿る人類の冷却の歴史

現代の食品事情を考えると「冷蔵庫」は必須アイテムにまでなっている。更には、冷凍庫も必要となり両方ともが揃っていない家庭はごく僅かだろう。
まったくもって地味な存在ではある。が、とても重要な役割を与えられている。

よく考えて欲しい。人類が誕生して「加熱」は「火」によって手に入れた。自らの力でコントロールすることが出来るものとなった。これに対して、「冷やす」は寒冷地などの限られた「地理条件」によって縛られた存在であったのだ。つまりコントロールすることが長らく出来なかった。
10万年前には加熱をコントロールすることのいとぐちを掴んでいて、その後の進化は家庭内にある様々な家電を見るだけでも十分に見て取れる。それに対して、「冷やす」技術を手に入れ初めたのはわずか170年ほど前のことなのだ。家庭にある家電を改めて眺めてみて欲しい。冷凍冷蔵庫、エアコン。その他に冷却できるものがあるだろうか。
他に冷やすと良いことがありそうな用途すら思いつかないだろう。そしてどんな新たな冷やし方が効果を発揮するのかも。

食に話を戻そう。
ほとんど全ての食品と料理が、「冷やす」技術のお世話になっている。
鮮度が保持できるようになったことで、保存加工をしなくても長期間の保存が可能になった。その結果遠方まで輸送することが出来るようになったわけだ。
言い方を変えれば、冷やすことが出来なかった時代だからこそ保存のための技術が発展したとも言える。だから、それまでの保存技術の意味が変わったのだ。保存ではなく「味覚という価値の創造」である。

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