今日のエッセイ-たろう

ガストロノミーな3日間 2026年2月25日

2026/2/25

ガストロノミーシンポジウム掛川2026を終えて、二晩が過ぎた。終えてみればあっという間だったけど、その前の二晩は、やっぱり特別なものだった。ビフォーアフターで、何かが違っている感覚がある。 細かく振り返るのは別の機会にするとして、今日はざっくりと思い返してみることにする。 今回のテーマは「人の営み」だった。それを踏まえてフォーカスしたのが中間事業者。商流の中間にある加工や物流、小売といった事業者はあまり注目される機会がない。けれども、彼らの存在なくして私たちの食生活は成立しないのである。これは、共同開催の ...

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産地はこうして作られた。—近代茶業を支えた現場の営み

2026/2/18

日本有数の茶産地として知られる牧ノ原台地に丸尾原という地名がある。現在では茶園が広がるこの地も、江戸時代までは木々が生い茂っていた。 明治3年(1870年)。大井川の渡し船が解禁される。それまで、大井川は橋をかけるどころか渡し船も禁止されていて、川越人足が人力で旅人を向こう岸に運んでいたのだが、この解禁によって人足たちは職を失うことになった。大量の失業者を目の当たりにして、金谷宿の醤油屋だった仲田源蔵は私財を投じて彼らを援助。しかしそれも限界がある。そこで、東京まで出かけ人足の救済を直訴したのだ。まだ江戸 ...

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時間を増やすテクノロジーと、時間を味わうヒト。

2026/2/10

あっという間に、あちこちにAIが搭載されている世の中になった。この業界では、1年前の技術は古い技術になってしまう。一般的な生活の時間の流れと比べて、変化が早すぎるように感じられる。私達の「感覚」は、この変化の速さについていけるのだろうか。とはいえ、社会実装されてしまえばそれを使うしかない。たいていの場合、人はそれに慣れていく。逆にどんなに便利だろうと、私達の慣習がフィットしない限り広がっていかない。そんなもんだろうとは思う。 フィジカルAI フィジカルというのは「身体的」「物理的」という意味だ。これまでの ...

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遊びという思想—文化はどこからうまれてきたのか。 2026年1月29日

2026/1/29

「お休みの日は何をして過ごしますか?」まるでお見合いの定型文みたいな質問だけど、みんなどうしているんだろう。 私の場合、半日は映画を見たり、本を読んだりするのが定番。まとまった時間が確保できるタイミングって、限られているから。そして、午後になると子どもたちが学校から帰ってくるので、家族で過ごす。一緒に折り紙をしたり、ごっこ遊びをしたり。その後は夕飯の買い物に出かけて、ゆっくりと食事をする。 まとまった休みは家族旅行に行くこともあるけど、それは年に1〜2回くらいかな。どちらかというと、公園で遊んだり町を散策 ...

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【セッション紹介】ガストロノミーシンポジウム掛川2026

2026/1/28

「ガストロノミーシンポジウム掛川2026」。これ、毎回書いていて思うんだけど⋯長いよね。字面的に。とりあえず記事の中では略称で表記することにする。何が良いかな。8つのトークセッションで構成されている。ということで、それぞれのセッションについて紹介したい。 トークセッションとはなにか? まず最初に整理しておくと、「”特定のテーマについて自由に対話や議論を行う”ことをイベント化したもの」というのが一般的だと思う。当たり前かもしれないけれど、定義として理解しておくことは大切なのだ。というのも、対話や議論がほとん ...

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ガストロノミーシンポジウム掛川2026

2026/1/15

2026年2月23日。ガストロノミーシンポジウム掛川2026を開催する。昨年の今頃、同じ書き出しで文章をしたためた。2回目の開催ということだ。 今回は少しばかり名前を変更して、”掛川”という地域名を後ろに表記した。もちろん理由がある。「ガストロノミーシンポジウムのようなイベントが、あっちこっちで乱立してくれたら良いな」「でね。それぞれが独立しているんだけど、なんとなく繋がって交流がある。そういう感じが良い」というのが当初の願い。そういう意味では、地名が強く出過ぎないほうが良い。と思ったんだ。 さて、ここか ...

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みりんを「酒」として飲んだことある? 2026年1月14日

2026/1/14

世の中は、思い込みで溢れている。だからといって、日常生活で困ることなんてない。それどころか、思い込みのおかげで“考えずに判断”できるわけだし、場合によっては思わぬイノベーションを起こすこともある。まぁ、それがイノベーションだったと気がつくのは後の時代だということも多いのだけど。 ただ、”もったいない”とは思うのだ。思い込みのせいで、無意識のうちに使い道を制限していることもある。誰でも一度くらいは「その手があったか」と思ったことがあるだろう。まるで斬新なアイデアのように感じるのだけれど、実は”別の誰かの認識 ...

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「時間で働く」は、いつから正解になったのか。

2025/12/29

“深夜帯に「休憩時間を過剰取得」で懲戒”というニュースを見た。別に、この件について意見があるわけじゃない。ただ、ちょっとした違和感を覚えたのだ。しばらくニュースのことは忘れていたのだけど、今頃になって違和感の正体に気がついた。 それは「そもそも“時間で働く”という概念が実態に即しているのか?」という、問いとして湧き上がってきた。 働くことは暮らしの一部 現代では、多くの人が生活空間と職場が分かれている。自営業者ですら“通勤”している人も少なくない。だけど、人類は長いあいだ日常の暮らしと働くことは地続きで、 ...

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絵に描いた餅は、食べられない。—「わかったつもり」と「腑に落ちる」 2025年12月27日

2025/12/27

見たこともない食材に出会った時、どう調理して良いのかわからないということがある。下処理だとか、調理方法だとか、味付け、相性の良い食材、などが想像つかない場合のはなし。まずはインターネットで検索するだろうか。だけど、その食材の名前がわからなかったら、ちょっと困る。図鑑で調べたり、AIに画像解析してもらったり、別の方法で調べることは出来るが、なかなか面倒ではある。そんな時、料理人は調べもせずに答えを導き出してしまうことがある。 身体知を使う とりあえず、蒸したり焼いたり揚げたりしてみる。生でかじってみることも ...

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誰のためのお茶か。—輸出から日常茶へ

2025/12/26

1853年、江戸湾入口の浦賀沖に真っ黒な外国船が現れた。マシュー・ペリー率いるアメリカ海軍の艦隊、通称“黒船”である。江戸幕府は大慌て。その狼狽ぶりは「泰平の眠りを覚ます上喜撰、たった四杯で夜も寝られず」と皮肉たっぷりの狂歌に謳われている。実はこの狂歌でうたわれた上喜撰とは、宇治の高級茶のブランドなのだ。ペリー艦隊が茶を求めたという話は聞かないが、その後の茶産業とアメリカの関係を暗示しているかのようである。 日本ではコーヒー文化のイメージが強いアメリカ合衆国は、実は建国前から茶に親しんでいた。なにしろ、紅 ...

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