今日のエッセイ-たろう

「食事の時くらい、ゆっくりしたい」と思いません?

2026/7/15

とにかく時間がないので急いでください。と言われたが、なかなか厳しいものがある。昼食時間が30分しかないそうだ。それも、来店してから退店までが30分。会席料理でなくてもタイトな時間だ。はたして「いらっしゃいませ」から「ありがとうございました」までを30分でおさめられる飲食店はどのくらいあるのだろう。 なにかの視察の帰りだろうか。工場から駅へ向かう途中で立ち寄った、といった風情。事前に予約をしてもらっていたので、入念に準備して対応することが出来た。ただ、少しもやもやした気持ちが残る。そもそも、なぜ食事の時間を ...

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今日のエッセイ-たろう

おいしさは、いつも同じでなくていい。—自然の揺らぎを引き受ける

2026/7/9

いつでもどこでも同じ物が欲しい。そんな期待に応えようと、ものづくりに向き合う人達がいる。ものづくりをする職人魂は素晴らしい。だけど、「いつでもどこでも同じ」が良いという価値観はどうなのだろう。 長い人類の営みを思えば、いつでもどこでも同じではないことの方が普通だ。多くの原料を自然から得ているのだから、地域や季節などの環境で品質は変化する。「今日はいい魚が入ってるよ」と魚屋や料理屋が言うのは、そうではない時があるからに他ならない。 品質が安定しているということ ある米農家がこんな事を言っていた。「昨今の気候 ...

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今日のエッセイ-たろう

栄養学は、いつから道徳になったのか。 —食のブームから見る世界観

2026/6/29

YouTubeで興味深い話を聞いた。「アメリカ人って、理想の生き方が神様の世界があって、それに合わせようとしている気がする。そのとおりには出来ないかもしれないけど、それをお手本にしている感じ。日本の場合は、周りの人との関係をすごく大事にする。みんなで理想の生き方を持ち寄って、それに合わせているイメージがある。」正確な表現は忘れてしまったけど、だいたいこんな内容だったと思う。日本に住んでいるアメリカ人のコメントだ。 世界をどういうものだと捉えるか 世界、世の中をどういうものだと思っているか。つまり世界観は、 ...

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今日のエッセイ-たろう

「気づき」のための旅のデザイン。—本を読むように旅をする

2026/6/23

先日、二泊三日の旅行でガイドをしてきた。題して「Tea-tourism in Shizuoka」。海外からのお客様と一緒にあちこちを訪れては、体験をサポートするのがぼくの役目。いろんな説明をするのだけれど、それはあくまでも「感じる」ための補助線であることを心がけてきた。 静岡県内の各地を巡る「お茶の旅」なのだが、ぼくにとっても濃密な体験になったので、備忘録を兼ねて紹介しようと思う。 伝えたいのは「日本の食文化」 テーマは「お茶」。だけど、本当に伝えたいのは「日本の食文化」だ。これは、現地のエージェントと事 ...

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今日のエッセイ-たろう

「蚊が増えた気がするなぁ」と思っていたら、「記憶って何だろう」と考えていた。

2026/6/17

「なんだか、最近、蚊が増えたような気がしない?」今年は特に多いらしいけれど、言われてみれば昔よりも多い気がする。地域によっては、蚊取り線香1つでは家を守れないらしい。家のあちこちに設置することになるのだけれど、それだと家中が煙たくなって仕方がない。そういう意味でリキッドタイプが重宝するのだとか。 今と昔の自然に耳を傾ける 昔はどうだったのだろう。そう言えば、祖父の生家ではあまり気にしていなかったと記憶している。もちろん蚊に刺されることはよくあった。なにせ、背に山を背負い、目の前には水田が広がる、という田舎 ...

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今日のエッセイ-たろう

なぜ私たちは「場をわきまえる」のか。—日本人が共有している見えないルール

2026/6/2

スーパーマーケットで買い物をしていたときのこと。レジの列に並んでいると、すぐ前の人が「これも」と言って、飲みかけのペットボトルをレジ係に差し出した。「まだ買ってないのに、開封して飲んでいるの?」驚いた。私には、会計前に商品を消費するという発想がない。しかし、びっくりしているのは私だけ。それほどありふれた日常なのだろう。20年以上も前のアメリカでの出来事だ。 会計前に消費することの是非 日本では、会計前に商品を食べたり飲んだりすることは基本的にない。それどころか、のどが渇いていたとしても開封するのは店を出て ...

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今日のエッセイ-たろう

レシピに書かれていない味を読む。—江戸時代の「ふくと汁」再現考

2026/5/20

「あらなんともなきや きのふは過ぎて ふくと汁」松尾芭蕉がふぐを食べたことを詠んだ句である。「昨日フグを食べたけれど、何事もなくてよかったな」と安堵の気持ちを表したものだ。 ふぐを食べた感想が、「おいしかった」でもなければ「噂ほどでもなかったな」でもないところが、芭蕉らしい。毒のことばかり気にしているのだ。およそ百年後、小林一茶は「ふぐ食わぬ 奴にはみせな 富士の山」と詠んでいる。「ふぐが一番うまい。それが分からない奴は、富士山という日本一の存在を知らないようなものだ。」というような意味だ。芭蕉を皮肉った ...

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今日のエッセイ-たろう

味の素でバカ舌になるのか。—味覚とダシ文化を分けて考える

2026/5/11

近頃は、SNSはたまに覗くだけにしている。勉強になることもあれば、なんとも不毛な論争にうんざりすることもあるからだ。だから、「たまに、ジャンクフードを食べたくなるんだよね」というくらいの感覚である。今の自分には、それくらいがちょうどいい。 ただ、たまに妙に考えたくなる話題がある。 さて、最近目にしたのは「うま味調味料はバカ舌になる」という話。正直なところ、それぞれの価値観に合わせて好きにすれば良いと思う。論争に参加する気は無い。だけど、考える題材としては面白そうだ。 味覚は狂うのか いわゆる「バカ舌」とい ...

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今日のエッセイ-たろう

わかった気がしたのに、語れない。—理解を自分の言葉にするために

2026/5/6

「なんだか、すごく良いことに気がついたと思ったんだけど、なんだっけ。」なんて経験はないだろうか。とくに、飲み会の記憶はとても曖昧。喋った内容もぼんやりしているし、思い出したところで大した内容じゃなかったりする。会話なんてそんなものだ。 これまでに、仕事やポッドキャストでいろんな人と対話をしてきた。とても良いことを教えてもらったこともあるし、会話の中から生まれてきた良いこともある。もちろん、飲み会に比べればずっと記憶ははっきりしている。「じゃあ、どんな話だったの?まとめてみて。」と言われると、けっこう困る。 ...

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今日のエッセイ-たろう

なぜブリ大根はうまいのか — 日本式「脂との付き合い方」

2026/4/30

鰤と言えば脂の乗った寒ブリが有名だけど、冬だけが食べ頃というわけじゃない。春の鰤だっておいしいのだ。産卵に備えてしっかり栄養を蓄えた春の鰤は、卵を抱えていることもある。東南海エリアでは、春も鰤の旬なのだ。いろんな料理で楽しめるのだが、今日は定番のブリ大根も作ってみた。 鰤と大根の相性は抜群である。理屈抜きでおいしい。だけど、どうしてこの組み合わせがおいしいのだろう。 鰤と大根の相性 大根といえば、ジアスターゼという消化酵素がよく知られている。胃もたれや胸焼けを防いでくれることから、昔から「毒消し」と言われ ...

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