食の歴史をずっと眺めていると、ふと当たり前のことに目がいかなくなることがある。当たり前なのだけれど、当たり前すぎて気が回らないといったところだろうか。...
世界中のほとんどの社会には、主食が存在している。日本における米のように、それを神聖視したり精神的にも質的にも重用しているケースすら、いくつも見られる。むしろ、近代以降のヨーロッパやアメリカのように主食がその絶対的なポジションから影を薄めているケースのほうが少ないように見える。...
自然の世界では、生活環境が入り混じっている。ここからこっちはこの種の生活環境だとか、じゃああっちがわは別の種類だねってことにはならない。林はある程度線引されていて、杉の木だらけの林があるけれど、それは人間が都合よく作り変えたからである。田んぼも畑もそうだ。元々は、いろんな植物が...