体の中から伝統的な食文化を捉えてみよう。構造主義的解釈。 2023年7月12日

牛ってさ。胃袋が4つもあるんだよね。世の中にはいろいろな動物や植物がいるけれど、身近なところで不思議な動物がいるものだ。

牛の一番目の胃袋の役割がとても興味深い。発酵室なのだ。4つの胃袋のうちで最も大きいのだけれど、そこにはたくさんの微生物が生息している。牛の食べ物は雑草。もっと言ってしまえば、イネ科植物の葉を食べる事が出来る。イネ科植物の葉はケイ素がとても多くて、牛とかヤギとか羊くらいしか食べられない。ケイ素はガラスの原料となる物質で、うっかりすると手を切ってしまうような鋭さを持っている葉なのだ。

イネ科植物の葉を消化するために、微生物の力を借りている。微生物が葉を餌として代謝する。代謝物を吸収しているというのだ。人間も随分昔から発酵食品を食べているのだけれど、まさか体内で発酵させるとは。と少々驚きである。

代替タンパク質にはいくつかの製法があって、大豆やフルーツや海藻などの植物由来のタンパク質を肉のように食べようとするものや、人工的に培養して肉を作り出そうというものもある。それから、微生物による発酵によってタンパク質を生成しようという研究も進んでいる。

私達人類がやろうとしていることは、牛の胃袋で行われていることに通じているようだ。

今のところ本編とは全く関係がないけれど、面白いので少しばかり勉強しているのが腸内細菌のこと。人間を構成している細胞は40兆前後と言われているらしいのだけど、腸内細菌はもっと多くて100兆個も体内にいるらしい。あまりにも多くて、わからないことも多いものだから、正確な数はわからないそうだ。

腸内細菌の多くは人間の意図とは全く関係なく勝手に棲んでいる。たまたまそこにいる。体内にいる腸内細菌が人間にとって有益な働きをすることがあって、そうした菌が多かった人類が生き残ってきた。牛も人間も、細菌と共生する生き物。だからこそ、進化の過程で生き残ってきたとも言える。

腸内細菌は、主に食物繊維を餌にしている。水溶性食物繊維とかオリゴ糖とか難消化性デンプンとか、そういったものだ。日本人だと、ビフィズス菌やブラウティア菌が多くて、小腸には乳酸菌がたくさんいるそうだ。だいたい平均して700~800種類の腸内細菌がいるようなのだけれど、多い人だと2000種類くらいが棲んでいる場合もあるとのことだ。

彼らが何をしているかというと、人間にとって有用な成分を作り出している。もちろん、その意志はないだろうけれど、結果的にそうなっている。短鎖脂肪酸とかビタミンB群とか、中にはタンパク質を生成するものもいる。おかげで、私達は健康に過ごせているというのだからありがたい話だ。

彼らがいないと腸内環境が悪くなるということだから、彼らがいる前提で人体が動いていることになる。君たちなんかいなくても自分だけの力でなんとかするよ。というわけにはいかないのだ。彼らにいてもらうためには、彼らにとって有益なものを提供しなければならない。ギブ・アンド・テイク。人間が奪うだけになれば、たちまち彼らは姿をくらましてしまう。

だから、腸内細菌のために食物繊維とかオリゴ糖とか難消化性デンプンを食べなければならない。

届けられた餌を糖化菌が糖に変えて、その糖を餌にする菌が乳酸やら酢酸やらを作り出して、乳酸や酢酸を餌にする菌がプロピオン酸や酪酸を作り出す。酢酸、プロピオン酸、酪酸のことを総称して短鎖脂肪酸と呼んでいるのだ。困ったことに、糖は彼らの棲んでいる大腸までは届かない。なぜなら、手前の小腸で吸収されてしまうから。大腸まで届く形で餌を届ける必要がある。それが食物繊維などだ。

今日も読んでくれてありがとうございます。日本人は長い間、動物性タンパク質や脂質の少ない食事をしてきたんだけど、それでもちゃんと筋肉があって引き締まった人が多かったんだよね。身長は伸びなかったけど。それって、体内でしっかりと腸内細菌が働いてくれていて、体を作ってくれていたかららしいんだ。近年、そんなことがわかってきたんだそうだ。で、それは日本人特有の菌のおかげなんだって。日本人には日本人にあった食文化があるというのは、腸内細菌の傾向に依るものも大きそうだね。

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