今日のエッセイ-たろう

そばにあらずとも、そばを名乗る。茶そば、胸を張る。 2025年8月8日

2025/8/8

先日、お店で茶そばを提供したところ、お客様から「これって二八そばですか?」と聞かれた。「いえ、違いますよ」と答えると「じゃあ、十割蕎麦ですよね?」と。なかなか興味深い事例だ。 興味がありそうだったので、一通り“二八そば”や“十割蕎麦”についてお伝えした。諸説あるものの、「二八そばという名称の由来は販売価格」というのが最有力。江戸後期の市中では数字を使った言葉遊びが盛んだった。そんな中「蕎麦の価格は“二八の十六文”」という言い回しが流行する。これが「二八そば」のルーツだと考えられている。 随分と長い間価格が ...

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今日のエッセイ-たろう

日本人は、ガストロノミーを無自覚に実践している。 2025年8月7日

2025/8/7

ガストロノミーって知ってる?たぶん、多くの人は「なんか聞いたことが有るような、無いような…」という感じじゃないかな。あんまり浸透していないように見えるのは、聞き慣れないカタカナだからなのか。それとも、別の理由があるのだろうか。などと考えていて、はたと思い当たったことが有る。 もしかしたら、「ガストロノミー」って日本人にとっては「あえて語るまでもないこと」なのかもしれない。そんな気がしたのだ。 ガストロノミーっていうのは、「食に関する学問」のこと。一部の人にはフランス語由来の概念で「美食学」とか「美食術」と ...

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今日のエッセイ-たろう

空想はARよりリアルだ。無いはずのものが旅を面白くする。 2025年8月5日

2025/8/5

子どもの頃は「見る」ことや、「感じる」ことが好きだった。博物館や美術館に連れて行ってもらっても、ほとんど説明文は読まなかった。ただひたすらに、そこに飾られた絵や刀剣は眺めていた。掛け軸に書かれた文字なんて読めるわけもなく、意味もさっぱりだ。お城巡りは家族旅行の目的地みたいなものだったから、よく連れて行ってもらった。歴史なんて興味がなかったから、構造物としての建物を愛でていた。最初のうちは「かっこいいなぁ」「でっかいなぁ」などと思うだけだったが、やがて「へぇ〜、こんな作りになってるのか」なんてことまで考える ...

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今日のエッセイ-たろう

文化としての誠実さと、平等としての不誠実さ。〜接待をめぐる問い〜

2025/8/4

現代社会は、なんとなく「農耕社会」だと捉えられている。スーパーに並ぶ野菜や肉は、どれも“生産された”ものだからだ。でも、実はそう単純でもない。山間部では自然に生えた山菜やキノコを採集するし、海では天然の魚介類を求めて漁を行っている。「農耕をベースに、ところどころ狩猟採集もあるハイブリット社会」というのが実態に近いだろう。 狩猟採集が中心だった頃、野山で山菜や木の実を取ったり、イノシシや魚を取って食料にしていた。木の実は比較的簡単に手に入れられるけれど、イノシシはなかなか手に入らなかっただろう。労力もかかる ...

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今日のエッセイ-たろう

なぜ今、食の歴史がビジネスに効くのかーたべものラジオと食の未来

2025/8/1

「たべものラジオ」が、ビジネスでどんなふうに役に立つのかを考えてみる。正確には「たべものラジオ」に限らなくても良い。「食とはなにか」「食と人はどのように関わってきたのか」という、歴史に刻まれた“問い”に向き合う。それが、どう役に立つのか。 まず最初に思い浮かぶのは、時間軸の長さ。これはぼくの性分だとは思うのだけれど、ジャガイモも砂糖もゴマも、原産地から辿らなければ気がすまない。なぜ、雑草が食べられるようになったのか。食べるためにどんな工夫があったのか。ここを起点にすると、食材の物語は数千年前から始めること ...

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今日のエッセイ-たろう

「へぇ〜」って言った後、次の言葉が出てこない歴史観光。 2025年7月31日

2025/7/31

歴史のない町なんて無い。教科書には載っていないだけで、どの町だって現代に時を重ねてきた。「歴史」というより、「物語」と言ったほうが言葉の座りが良いかもしれない。物語を知って、面白いと感じるかどうかは人それぞれ。戦国時代のような乱世の物語を面白がる人もいるだろうし、ちいさな宿場町の日常風景を面白いと感じる人もいるだろう。 物語が面白いかどうかは、“内容”と“伝え方”で決まる。例えば、食の歴史は面白いと感じる人にとっては面白い。だけど、興味のない人にとっては面白くない。当然だ。だから、ぼくの語りが面白くなけれ ...

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「科学は信じるに足るのか」ー“好きだけど役に立たない”の奥にあるもの。 2025年7月30日

2025/7/30

たべものラジオのリスナーさんからは「身近な食を起点に歴史を知ると理解できる」と言われることがある。少しだけれど、ぼくらも「学問と実社会の接点」を提供することができているのだとしたら、嬉しいことだ。 さて、前回からの続きを読み進めていこう。今度はもう少し深く広く“今の社会”と“科学”について踏み込んでいく。 ほとんどの人が大学への進学を希望していて、医療関係や理学系の人気が高いようだ。他国に比べて理学系は割合が少ないが、2割ほど。希望者が少ないのは研究者、システムエンジニア、プログラマーなどで、特にサイエン ...

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「社会に出たら理科は必要ない?」ー高校生の本音を読む。 2025年7月29日

2025/7/29

「社会に出たら理科は必要なくなる。」そんなインパクトのあるニュースが、SNSなどでちょっとした話題になった。きっかけは、最近公表された「高校生の科学への意識と学習に関する調査」の結果である。ニュースって、タイトルも記事も「調査結果の一部」を切り取って伝えるためのもの。だから「ホントに見出しの通りなの?」と思うこともある。というわけで、実際の調査レポートを一緒に読んでみよう。 調査方法はアンケート、日米中韓の4カ国が対象になっている。対外比較なのか。米韓の対象者人数が少ないのが気なるけれど、これは許容範囲な ...

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ぼくたちは、誰に評価されたかったんだろう。 2025年7月28日

2025/7/28

サラリーマンをやめてから、ぼくの世界は一変した。父の会社に移ったといえば、一般的な転職のように聞こえるかもしれない。でも、実際は経営者で、会社の経営なんてまるで未知の世界だった。不安もあったけれど、自由にいろんなことにチャレンジできるのが嬉しかった。 それが、最初の気持ち。 サラリーマン時代。それはそれでやりがいも感じていたし、仕事の内容も面白かった。けど、今のような自由は感じたことがなかったな。 最初は派遣社員だった。それ以前もやはり派遣社員で、販売店の売り子をしていたのだけれど、知人の紹介で別の会社へ ...

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「わかりやすくて強いメッセージ」と「地味だけど大切な道」 2025年7月25日

2025/7/25

わかりやすいメッセージは、たしかに“わかりやすい”。アタリマエのことを言っている。いわゆるキャッチコピーは、いろんな説明をギュッと縮めた“わかりやすい”メッセージ。でも、「ホントは色々と説明しなくちゃいけないし、それを書くと長文になるんだけど、読まない人がいるから僕らがいるんです。」って、どこかのコピーライターが言っていた。だけど、わかりやすく縮めたことで、正確さは失われる 世の中にはシンプルなメッセージが溢れている。健康。減塩。低脂肪。糖類オフ。他にも、言葉で表されていなくても、商品にプリントされた肝臓 ...

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武藤太郎の書く日々のエッセイ。
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そばにあらずとも、そばを名乗る。茶そば、胸を張る。 2025年8月8日

2025/8/8    ,

先日、お店で茶そばを提供したところ、お客様から「これって二八そばですか?」と聞かれた。「いえ、違いますよ」と答えると「じゃあ、十割蕎麦ですよね?」と。なかなか興味深い事例だ。 興味がありそうだったので ...

日本人は、ガストロノミーを無自覚に実践している。 2025年8月7日

ガストロノミーって知ってる?たぶん、多くの人は「なんか聞いたことが有るような、無いような…」という感じじゃないかな。あんまり浸透していないように見えるのは、聞き慣れないカタカナだからなのか。それとも、 ...

空想はARよりリアルだ。無いはずのものが旅を面白くする。 2025年8月5日

2025/8/5    ,

子どもの頃は「見る」ことや、「感じる」ことが好きだった。博物館や美術館に連れて行ってもらっても、ほとんど説明文は読まなかった。ただひたすらに、そこに飾られた絵や刀剣は眺めていた。掛け軸に書かれた文字な ...

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Blog

2024/12/22

こんにゃくシリーズ裏カバーアート

メディア

2024/9/16

【登壇】10/24-27食の未来を共創する(SKSJAPAN2024)

3年連続 SKS JAPANに出演決定! こんにちは。拓郎です! 2017年より始まったSKSJapanに2022年、2023年に引き続き、2024年の出演(3年連続)させていただきます!当番組の初期からの筆頭サポーターでもある株式会社UnlocX(呼称:アンロックス)代表の田中宏隆さんと取締役の岡田亜希子さんと今年もご一緒できることを心より嬉しく思います。 SKSJAPAN2024 テーマ:Creating our futures through food innovation~ UNLOCK&nbsp ...

メディア

2023/6/14

ファンアート @まささん

https://twitter.com/EveryZuikaku/status/1667789811774820354?s=20

メディア

2023/6/14

週刊ビッグコミックスピリッツに掲載・・!?

https://twitter.com/tabemonoRADIO/status/1647853658464460800?s=20 https://twitter.com/psychoMASAO/status/1647857437293285376?s=20


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台本制作:武藤太郎 収録、編集:武藤拓郎
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