「食べ物」というモノをどう捉えているんだろう。2022年9月22日

現在の日本は食料自給率が低い。これは、ほとんどの人が知っていることだろう。いま、鎖国をしたら食糧危機になるくらいに、海外に依存している。お米だけは別格だけれど、そのお米を作るために使用される化学肥料や農業機械を動かす燃料は輸入に頼っているのだ。

大問題のように言われているけれど、どういう選択をするかってことだと思うんだよね。自給率を高めるという選択をするのか、それとも輸入で食料を充実させるための国際関係を強めるのか、そのバランスについての覚悟なんだろうなあ。完全に後者に振り切った国もあったよね。どこだっけ。オランダだったかな。その場合は、食料を購入するために必要な資金を別の産業で確保するということなんだろうね。

随分前から疑問だったんだよね。食料が無くなると人間は生きていけないわけだ。そんなことはわかっている。人類は長いこと食料を確保するための努力をし続けてきたという歴史を持っている。農業技術の工夫だったり、土地や人口を確保する仕組みだったり、そのための戦いだったり。やり方は様々で、反省も多いけれどとにかく「食料確保」のために色々やってきたわけでしょう。そもそそも、自然界から獲得できる食料が不安定な地域だったからこそ、手間がかかって面倒なはずの農業というものを選択したんだ。

こんな風に考えると、食料を生産している人はとてもエライ。いや、職業に尊いも卑しいもないのだけれど、食料を生産している人はもっと優遇されていてもおかしくないと思うんだ。なのに、歴史では農民は最下層に位置づけられてきた。統治者がエライわけじゃないんだよね。ホントは、政治という面倒くさいことをこなす役割を担っているだけだし、食料生産所である荘園を守るという面倒くさい役割をやっていたに過ぎない。武士ってそういうものだったのだ。

もし。もし、世界中で食糧難が発生したらどうなるんだろう。世界中で農作物が不足している状態。また食料を奪い合う戦争になってしまうのかなあ。それって、暴力で他人の財産を奪う行為だよね。一生懸命に田畑を管理して生産した農作物を奪うのだからね。

暴力で奪うという行為がどんな結果を引き連れてくるのか。それは、既に分かっているよね。人類の歴史を見れば明らかだ。誰にとっても良いことなんかなかったじゃん。だから、違う方法を考えるというのが現代人の知恵ということになる。

ところで、もしもの世界が訪れたら最もエライのは農業生産者になるのかね。というか、そうならないとおかしくないかな。だって、誰もが最も欲しがるモノを持っているんだから。黄金よりも宝石よりも価値のあるもの。それが食料だ。

じゃあ、なぜそうじゃないのか。近現代においては工業のほうが優位な社会といえる。どうして、このような構造になっているのだろう。ちゃんと調べないとわからないんだけどね。なんとなく想像しているのは、需給バランスの問題なのじゃないかと思っているんだ。

工業製品と農作物を直接比べる。お金を介さずに考えてみた時に、どちらのほうがより貴重だったのか。これが、近現代では工業製品だったんじゃないだろうか。鉱物資源を輸入して、車やコンピューターなどに加工して輸出する。学校の授業で習った通りの加工貿易だね。この加工品が世界的に見て貴重だった。車を作ることが出来ない国があって、そこへ車を届ける見返りに農作物を送ってもらう。そんな感じかな。

もしそうだとすると、このモデルはもう通用しなくなったよね。まぁ、仮の話なんだけどさ。例えば車も、スマートフォンも家電製品も、様々な国で作られるようになったから。近隣だと中国や韓国がそうだ。半世紀前だったら、売るものが農作物中心だったし、工業製品も下請けっぽいことになっていた。それは、工業製品が貴重な時代に、自国内で生産できるものがそれだったからだ。

つまり農業生産物に比べて工業製品のほうが、より価値を感じる「誰もが欲しい物」だったということだ。そして、それは今もある程度継続中だ。

仮の話をドンドン進めちゃうんだけど。これ、スゴイことなんだよね。だって、必要なものかどうかよりも、欲しいという欲望のほうが市場経済では優位に立つってことでしょう。もちろん、食料の供給量が一定以上は満たされているから成立するんだけどね。これはどう解釈したもんかな。人間ってそういう生き物なんだろうか。うーむ。興味深い。

今日も読んでくれてありがとうございます。なにもデータがない状態で、これ以上思考を重ねたところでどこにもたどり着かない。ということでここで終わり。食料って人類にとって、何なのだろう。エネルギー源であると同時に、なにか違うものに見えてしまっているのだろうか。これは、もう一人で考えられる限界かな。

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