エンバクというのは不思議な植物だ。人類が農耕を始めた頃は、まだただの雑草だったらしい。まぁ、人間が利用している食用植物は、ほとんど雑草だったのだけれど。エンバクが面白いのは、大麦や小麦の栽培が始まった後の時代でも、ずっと雑草。つまり、麦畑では邪魔者だったわけだ。...
もしかしたら以前どこかで話したかもしれないのだけれど、現代の食産業は、産業革命期のアーツアンドクラフツ運動の時期に似ているののじゃないかと思っている。簡単に言うと、産業が近代化した時にあらゆる物が工場で機械的に生産されるようになった。安価でデザインを置いてきぼりにした家具などが...
たべものラジオは、食のルーツを辿る旅のような番組だと思っている。その特性として、歴史という意味ではとても長い時間軸でひとつの事象を眺めることになる。ひとつの時代を切り出すのではなくて、紀元前から現代までの長い時間を、ひとつの視点からずっと追っていく。そういう見方だ。だから、ひと...
昨日の続きの話になるのだけれど、つくづく日本のなかの日本らしさっていうのは、レイヤードなんだろうなと思う。歌枕を巡る旅というのもそうだし、芭蕉に始まる俳諧もそうだ。どこかに起点はあるのだろうけれど、大抵のモノゴトは、その前に何かが存在している。それらを踏まえて、なぞるのだ。なぞ...
砂糖の歴史を終えて、現代人の糖質摂取について思うところがある。科学的アプローチではなくて、人文学的に考察してみてのことだ。...
産業革命が起きたのは18世紀後半から19世紀にかけて。舞台はイギリスだった。というのは、世界史の教科書でも語られることである。たしかに事実だけれど、どうもそれ以前から資本主義社会の原型のようなものは生まれていたように思える。...
食の未来について考えていくと、ますますぼくらの仕事がよくわからなくなってくる。たべものラジオではなくて、本業の飲食店のことだ。最近では何が本業なのかわからないのだけれど、一般的には収入の中心となっている事業の方を本業と呼ぶことが多いらしい。まぁ、感覚的にはどちらが本業でどちらが...
人類は食に関する課題に直面している。というと、なにやら大げさに聞こえる。ただ、食料問題に関して言えば、人類はずっと長い間、それこそ有史以前から食料問題に直面し続けてきた。時代や社会によって課題の内容が少しずつ違っているというだけのことである。...
チームとか組織といったものが、どういう状態になればより良く機能するのか。といったことを論じている書籍は結構多い。なかには、歴史上の偉人を取り上げて解説しているものもあるのだけれど、果たして家康の組織論やアレクサンドロス大王の組織論が現代に通用するものなのだろうか。...
「甘さに魅せられた人類の欲望と権力の物語」。これが砂糖の歴史シリーズのタイトルのはずだった。弟の「長い」という一言により、強制的に「権力の砂糖」という全く意味の通らない謎の日本語になってしまったのだが。...