今日のエッセイ-たろう

好き嫌いの本質ってなんだろうね。 2022年7月5日

昨日の話を少し続けてみようかな。好き嫌いの話ね。

好き嫌いがないと、栄養バランスを取りやすいってことは考えられそうだ。というところまで考えてみた。でも、別に食べたくない食材があったとしてもそれなりに行きていけるじゃん。とは思うんだ。例えば、近世アイルランドやイギリスの庶民は、ほとんどジャガイモだけで生きてきたわけだ。とりわけ、アイルランドはジャガイモだらけの食生活なのに、人口が爆速で増加した。

これ聞いてどう思う?ジャガイモだけでも良いんだ、って思わなかったかな。

歴史上あちこちの場所の食生活を眺めていると、かなり偏った文化もあるんだよね。食事はお酒だけっていう民族もいる。お酒だけなのに、筋骨隆々で健康そのものの人たちだ。こういうのは少数派だけどね。

偏るとしても、偏り方にも拠るんだろうか。なんとなくだけど、玄米のみの生活だったら、なんだか健康的に生きていけそうだ。けど、現在の白米のみだったら数年以内に体調を崩しそうだ。思ってしまう。あくまで直感的な話なんだけどさ。ヨーロッパでパンばっかり食べてた時代だって、現代の精白された小麦だけで作られたパンじゃないだろうしね。現代の日本で流通している食パンだけを食べていたら、やっぱり体調を崩してしまいそうだ。

食べ物の栄養をしっかりバランスよく摂取するということは、やっぱり大切なんだろうな。ペストが大流行した頃のヨーロッパの生活を考えるとそんな気にもなる。栄養不足でお風呂にも入らず、排泄物は垂れ流しだい、ゴミをそこらへんに捨ててたんでしょ。そりゃ病気にかかりやすいって。しっかり食事することも、お風呂はいるというのも、ゴミはゴミ箱ってのも、みんな子供の頃から当たり前に言われてきたことだ。根源的に、疫病に対する恐怖があるのだろう。

あとね。昨日書きながら思ったんだけどさ。好き嫌いが「激しい」ことが良くないのかな。それとも好き嫌いが「ある」ことが良くないのだろうか。子供の頃から疑問だったんだけど、好きは良いんじゃないかと思ってたんだよね。嫌いはダメでも、好きなものがあるのは良いだろうって。なんだけど、そこじゃないかもしれない。

好きな食べ物と嫌いな食べ物のギャップが問題なのではないだろうか。

嫌いな食材の種類が多いこと。これを好き嫌いが激しいというかもしれない。確かにそれも含まれているかもしれないけれど、実際は「好きなものはめっちゃ好きで、嫌いなものはめっちゃ嫌い」が問題になっているのじゃないか。このギャップが大きいと、好きなものばかりを食べていて他のものを食べなくなってしまう。エビが大好きすぎて、結果としてエビアレルギーになる。なんて話は、割りとよく聞く話だ。子供に対して指導するときだって、お菓子ばっかり食べてご飯を食べないことが良くないって言うのじゃないかな。ちゃんとしたご飯を食べるなら、お菓子を食べたって問題ない。ただ、子供は食べられる量が限られているので、お菓子を食べ過ぎたらご飯を食べる余裕がなくなるし、両方を食べると糖質過多になってしまう。だから。だからお菓子を控えなさいって言うのだ。

なるほどなあ。そうかもしれない。って自分で書きながら、自分で納得してる。書きながら考えていると、ときどきそういうことも起きるよ。

好き嫌いといっても、個人の問題じゃないこともあるからね。コオロギ食べるのが嫌いって言っても、日本人なら納得する。というか、食べ物だと思ってないしね。実際は素揚げにすると芝海老みたいな味らしいんだ。居酒屋のおつまみにあるやつだよね。

コオロギを食べるのが当たり前の国だってあるのよ。日本のコオロギとは違う種類だろうけれど。例えば、その国の人達に、芝海老の素揚げを食べさせようとするじゃない。そうすると、すごく気持ち悪がるんだって。日本人がコオロギの素揚げを目の前に出されたときにするだろう反応は、まさにそれだと思う。

こういうの、好き嫌いって言わないような気もする。なんだけど、どう解釈したら良いんだろうね。宗教的な背景を考えるとますます混乱しそうだ。

今日も読んでくれてありがとうございます。身近な人が当たり前に食べているものは、チャレンジしてみることも必要かもしれない。繊細な味わいや、癖の強いものはある程度慣れることで理解できるようになることがわかっている。梅干しも塩辛も、ぬか漬けも納豆も。みんな、子供の頃から美味しそうに食べる人が身近にいたからすんなりと溶け込んでいる。

あ、そういう意味では、嫌いな食材を前にしたとき、あからさまに嫌そうな顔をするのはやめたほうが良いよね。その食材が好きな人もたくさんいるわけだし、子供にとっては良くない影響がありそうだ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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