今日のエッセイ-たろう

時間の早さの感じ方。 2022年12月28日

令和4年ももう少し。改元してから、4年も経ったのか。昭和生まれの者としては、なんだか不思議な感覚がある。子供時代を過ごした昭和はとても長かったから、元号とはそういう長さがあるものだとばかり思っていた。明治だって45年あったから、たまたま大正が短いだけだという認識だった。小学生の認識などはそんなものである。それ以前のことも、この先のこともわからないのだ。だから、認識できている3つを比べるしか無い。そして、3つのうち2つが長いとなれば大正という年号が特殊なのだということになる。

大正生まれの人が体験した、一桁台の年は昭和だけであるのがほとんどだ。長生きをした人だけが平成の一桁台を過ごした。ところが、昭和後半生まれのぼくは、既に2度めの「4年」を終えようとしている。

それがどうした。という程度のはなしだが、こうして見比べてみるとちょっとだけ見え方が変わって面白い。とりあえず、昭和という元号が半世紀以上続いたことが超レアなことだという認識だけは持つようになった。

この2年ほどで、ぼくの時間認識の感覚は大きく変わった。リスナーの皆さんにはおなじみかもしれないけれど、最近という表現が適用されるのは明治以降のことになった。もちろん、実生活の中ではそんなことはない。数日から数週間前までのことを示している。ただ、歴史上の物語を紐解いていくと明治時代は「最近」に感じられるということだ。比較的新しい時代という感覚。

この感覚を持つようになって、ひとつ思いついたことがある。時間の感じ方は、相対的なのだろうということだ。大人になると、時間の立つのが早い。それは、その一年が充実していたからだと言われてきた。それもそうかもしれないが、ちょっと違う気がしている。ただ、比較する期間が伸びただけなのではないだろうか。

例えば2本の棒があるとする。1メートルの棒は、2メートルの半分の長さである。それが長いかどうかはよくわからない。とりあえずは、2メートルの棒よりも短くて、半分だということだけはわかる。ここに、20メートルの棒を並べてみる。そうすると、明らかに1メールの棒が短いことが直感的にわかるだろう。ついでに言うならば、どちらも短い。

人生というのは、この場合で言う長い棒である。1年を1メートルとするならば、毎年伸び続ける棒だ。どんどん伸びていく。だから、1メートルの棒の長さはずっと変わらなくても、感覚的にはどんどん短くなっているように感じているのだろう。相対化して比較してみると、感じ方が変わって見える。ただそれだけのことなのかもしれない。だとすると、充実していようがそうでなかろうが、それは関係ないということになる。実際に、歴史の勉強をしていると、書籍の中では50年くらいは短く感じることが出来てしまう。なにせ、比較対象が数百年とか、千年なのだ。もちろん、悠久の時間を体感しているわけではないけれど、なんとなくそのような錯覚に陥るのが面白い。

今年も、一年を振り返りたくなるような時期になってきた。それと同時に、来年の話をする時期でもある。もう、鬼も笑わないだろう。と言っても、一年の抱負を語るようなこともないのだが。一年の計画よりも、もっと長い目標のほうがクリアな感じがある。そのためにやるべきことを細分化していくと、なんとなく来年には達成したいことが見えてくるような感じだ。となると、未来方向へも時間の長さを感じていることになるのか。だとすると、なおさら今が短く感じられるということになる。

そういえば、隠居して老人生活を送るようになると、時間が長く感じられるようになると言っていた人がいた。毎日がそれなりに平和で楽しいし、今を生きるようにしているとも言っていた。過去と未来を見なければ、体感時間は伸びるのだろうか。年齢も環境も全く違うのだから、そのような境地には至れないけれど、いつかその時が来たら確かめてみることにしょう。

今日も読んでくれてありがとうございます。時間は常に一定で、誰にも均等に与えられた資源である。というのも真実だし、それとは対照的に体感時間は誰しも均等ではないといえるのかな。自分自身が時間というものをどのように認識しているか。ここがポイントなんだろうな。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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