今日のエッセイ-たろう

「余白」を生み出そうとすると、仕事が早くなる。 2023年12月5日

仕事が遅いとか、ギリギリになってドタバタするのって、取り掛かりが遅い場合が多い。1時間でできると思っていた作業も、やってみたらもっと時間がかかってしまう、というようなこと。そもそも作業のひとつひとつが遅い場合もあるけれど、見積もりが甘いっていうこともあるんだろうな。

そう言えば、前職の上司がこんなことを言っていた。とある部下の遅刻の原因は、電車の遅延ばかりだった。あんまり多いので、詳しく話を聞いてみる。すると、始業の直前に到着するようなスケジュールだったのだそうだ。だから、ほんの少しの遅延でも始業時間に間に合わない。あと一本前の電車に乗る。そうすれば、遅刻の大半が解消する。上司がそう断言したのは、上司自身がほとんど同じルートで通勤していたからだ。

想定外のことが発生することも、ある程度は想定しておく。

上司が時間管理について細かくケアしていた理由は、お客様と相対する部門だからというのもある。営業部だからといって常に外を駆け回っているばかりではなく、書類作成や企画などの仕事もあるのだが、いつお客様から連絡があるかわからない。緊急性のある要件だったら、作りかけの資料を置き去りにして出かけなくちゃいけない場合だってある。それが、その日の夜までに仕上げなくちゃいけない資料だとしても。

予め時間に余白ができるように仕事を進めておく。そのためには、なるべく早めに手を付けるのが最も簡単な方法なんだよね。

ぼくらの仕事は、突発的なことが起きる可能性が高い。飲食店なんてそういうものだ。今は、事前ご予約のお客様がほとんどだけど、それでもご予約のないお客様が見えることもある。それに、コースをご予約のお客様だって追加注文をしたいときだってある。ドリンクに関しては、何をどのくらい召し上がるのかは、その時の気分次第だもの。

事前に仕込みをしておく。泥棒を見て縄を綯うようでは、ちょっとね。手遅れっぽいよね。

もう一つ、大切なのは整理整頓かな。地味だけど大切。食材を切ったら、次の作業に移る前にまな板も包丁も洗う。早く次の調理工程に入りたいところだけど、一度リセット。例えば、炒めものをするとして、まな板からフライパンに直接食材を投入出来ないことになるんだよね。面倒だけれど、一度ボールなどに入れておくことになる。そうしておくと、別の優先度の高い仕事が入ったときに、ボールをどかすだけですぐに取りかかれる。まぁ、状況によるけれど。そういう準備はしておいたほうが、瞬発力は高くなるよね。

ボーイスカウトには「備えよ常に(Be prepared)」というモットーがある。いつ何時、いかなる場所でどんなことが起こったとしても善処できるように、準備を怠らないように。じゃあ、準備ってなんなのか、というところで解釈が分かれる。

まず、モノの準備。防災グッズのような物理的な準備があるよね。料理をするのに道具や食材が無いのでは困ってしまう。それから、知識や技術もそうだ。天ぷらの注文があってから、あわててスマホで検索する。そんな料理人はいないか。

あと、余白。案外、これが一番おろそかにされやすい気がする。余裕と言い換えても良いかな。時間も、物理的な空間も、心も、余白が必要だと思うんだ。そんな余裕ないよ。と思うかも知れないけれど、それはそうだ。頑張らないと余白は生まれないもの。

早く取り掛かる。早く動く。そのために技術や知識を習得し、効率を上げるために整理整頓したり導線を工夫したりする。そういうのって、余白を生み出すためとも言えるんじゃないかと思うんだよね。

今日も読んでくれてありがとうございます。早く取り掛かるようにはしているつもりなんだけど、なかなか大変だよね。たべものラジオの事前調査なんかは、時間があるとその分だけ深掘りをしてしまうから、結局余白がなくなっちゃう。なんてこともある。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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