今日のエッセイ-たろう

マーケティングとしての「無添加」。 2023年12月6日

食品添加物を使っていません。天然の材料だけで作りました。無添加。とかなんとか、似たような文言は日本中のアチコチで見聞きする。これ、なんだか胡散臭いよなぁ、なんて思っているんだけど、ぼくだけだろうか。

いろんな食品添加物が存在していて、ぼくはその全てを検証したことはない。その前提で話をしているのだけど。大抵の食品添加物が健康被害を誘発するなんてこと、無いような気がするんだ。

中には、大量に摂取したらダメだよっていう添加物だってあるけれど、そんなに大量に口にすることなんて無いよね。というのが前提。人間の体って、けっこういろんなものを無毒化しちゃうのだ。蓄積しない。

だから、添加物に限らないけれど、食品の「摂取上限」には「量」と「時間」がセットになっている。何時間以内にどのくらい。あとは、体の大きさなんかもあるよね。体重20kgの子供と、体重70kgの大人では、同じ量のモノを摂取したとしても濃度が違うから。

一度の摂取量で「超えると命の危険に関わる」というのがある。水なら6リットル、塩なら200g、醤油1リットル、砂糖なら1kg、コーヒー100杯ほどのカフェイン。普段から口にするものばかり。こんなに一度に食べることはないよね。水6リットルを一度に飲むなんて、苦しそう。

旨味調味料は体に悪いってイメージが有るらしいけど、全然そんなことはないんだよね。だって、そもそも「ただの発酵食品」。味噌や醤油やチーズは体に悪いから、全く使いません。って変でしょう。天然の食材を発酵させるとグルタミン酸ナトリウムが出来るわけだ。グルタミン酸ナトリウムの致死量は1kg。砂糖と同程度なんだよね。普通に使ったとしても、砂糖よりも少ないんじゃないかな。

無添加、無化調、有機、無農薬。なんでもそうなんだけど、このキーワードを言えば「なんとなく良さそうな気がする」というものがある。それを利用して「売れる」ためにやっているならわかるんだよね。個人的には好きではないけれど、マーケティングとしては理解できるという感じ。

「ホントは意味ないんだけどなあ」と言いながら、「こう言わないと売れなっくなっちゃう」と言っている人に出会うこともある。一方で、「うま味調味料を使うなんて頭がおかしい」くらいのことを言う人もいる。心底信じている人にも会ったことがある。

旨味調味料は石油から作られていて、水の塩素は体に悪い。肥料を使っていない有機野菜しか買わないし…。こだわりがあることは良いことである。けれども、ツッコミどころが多すぎ。

そこまで言うのであれば、プラスチック製のまな板も使わないようにしたら良いのじゃないだろうか。というのは、少々意地悪だろうか。

そんなこんなで、冒頭の通り「胡散臭い」と思ってしまうわけだ。

天然のほうが良い場合もあるし、養殖のほうが良い場合もある。鰹節や昆布や椎茸などと同じようにうま味調味料がある。要は使い所だろうな。昔からあるものも、新しく登場したものもフラットに見て選ぶ。そんなものだろう。

今日も読んでくれてありがとうございます。肉は臭くて、あんなものを食べるのは体に良くないとか、米を食べるとバカになるとか。そんな話と似たような現象だと思うけどね。あ、うま味調味料って使い方が難しいというのはあるかもね。量の加減が繊細なイメージが有るな。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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