今日のエッセイ-たろう

命を支える三大栄養素とバランスの本能 2022年7月16日

三大栄養素ってあるよね。タンパク質と炭水化物と脂質。料理のしごとをしてたら、ホントはちゃんと向き合うべき事柄なんだろうけどね。ややこしそうだから、触れないままにしてきたなあ。

ちゃんと勉強始めたの最近なんだもん。まだ、理解は浅いんだけど、学んだことをシェアしながら、思いついたことを書き出してみようと思うんだ。

まず、三大栄養素の基本から。どれもこれも、ヒトが生命を維持するために必須。タンパク質がなければ、生命を維持することが出来ない。DNAを組成するのも、髪の毛が生えてくるのも、筋肉が大きくなるのも、全部タンパク質が必要だ。

炭水化物は、基本的にそのほとんどが糖質に置き換えられる。エネルギーの源だね。どんなに頑丈な車体を作ったところで、走ることが出来ない車は意味がない。人体も同じってことね。違うのはエネルギー切れの人体はその生命が終わるのであって、その後にエネルギーを補充しても組成することがない。というところが、車と大きく違うところだ。車はガス欠になっても、補充すれば復活するもんね。ちなみに、糖質が空っぽになると、筋肉や脂肪を分解して燃焼させるという、いわゆる予備タンク的なことをしている。

そうそう。脂質は、最近では悪者扱いされがちだけど、これも必須栄養素。そもそも、細胞は脂肪が周りを囲んでいることで成立している。なくなったら、その時点で生命は終わりなのだ。

まず、三大栄養素の話をした。でも、これだけじゃない。微量栄養素というものがある。人体にとって、必要な量は少ないけれど、これがなければ生きていくことが出来ないものだ。ナトリウム、カルシウムなどがその代表例。

例えば塩に含まれるナトリウムは、ヒトが生きていく上で絶対に必要なものだ。現代では塩分の過剰摂取による健康被害が見受けられるけれど、それは現代に限った話。塩が大量に生産出来るようになるまでは、人類は頑張って獲得しようとしてきた必須栄養素。なければ死んでしまうもの。

三大栄養素。これらに、良いも悪いもない。適正なバランスはあるにしてもね。そう、バランスが大切だって話ね。だから、この食材は良いけど、こっちは悪い。という二項対立的な分類はあり得ないんだよ。これはいい、あっちはダメだ。たべものRadioでも、そういう誤解を招かないように気をつけているんだけどね。どうだろうか。

例えば、玄米と白米とを比較してみる。知っている人も多いと思うけれど、白米に比べれば玄米のほうが栄養豊富だよね。ビタミンも多いし、ミネラルもある。一方で、米という植物はヒ素を微量に含んでいる。ヒ素は発ガン性物質として知られているし、一度に大量摂取すれば中毒となるし、場合によっては死に至ることもある。

ちゃんと両面あるんだ。だから、味噌汁とコンボでバランスを取ってきたってことなのかもしれないよね。米だけだとタンパク質が大きく不足してしまうから。

興味深い話があって。人間の食欲っていうのは、主要栄養素を欲するように設計されているらしいんだ。そして、その中にも優劣があるんだって。食欲の最優先は、タンパク質。なんでだろう。ちょっと不思議。まぁ、とにかくそうらしい。米とか麦とか、炭水化物だけの生活をしたとするじゃない。そうすると、穀類に含まれているわずかなタンパク質で、体が満たされるまで食欲が収まらないってことになるんだそうだ。当然、糖質過多になって太る。体が必要としている最低限のタンパク質を食べると、あとは糖質をどの程度欲するかを正常に判断ができるようになる。

いや、確実に出来る様になるわけじゃないだろうけど、そのための必要条件がタンパク質を満たすこと、ということなんだってさ。

こういうの。あんまり知られていないよね。そういうぼくだって、勉強して初めて知ったのだけどさ。こういう基礎知識って大切だと思うんだ。じゃないと、テレビなどで○○が体に良いっていう情報を見たときに、正常に判断ができないもの。正常に判断するためには、自分の食生活を把握していなくちゃ意味がない。それは、人によって条件が違うんだからさ。すでに充足している栄養素なのに、さらに追加したところで効果はないでしょう。

という話をすると、Radioで解説してよってことになるんだろうなぁ。栄養学を中心にしちゃうと、堅苦しくなっちゃいそうだけどどうしよう。シリーズの中で、少しずつ触れていけたら良いかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。食材って、いろんな栄養素が含まれている。そのバランスもそれぞれだし、個体差があるよね。食材も、料理も、食べる人も、全て個体差がある。それに、体はどんどん変化する。これ、どうやって把握するのかなあ。自然界の動物は当たり前にできていることらしいんだけどね。頭だけじゃダメってこと?

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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