今日のエッセイ-たろう

思考停止になるのはどんな時だろう。 2022年9月2日

「今どきの若いもんは!」と言う人って、今でもいるのかな。ぼくらが若い頃はよく言われたけどね。頑張りが足りないだとか、根性がないだとか。そういうことが多かったような気がする。

明らかに非効率だと思うようなことでも、それを頑張って一生懸命やるべしという価値観はどこかに残っているかもしれないとは思う。ちょっと前の「イマドキの若いもんは!」ってセリフは、割りとそういうところに向けられていたんじゃないかな。辛抱が足りないっていうのも、事実であるだろうけどね。

目の前に与えら得た作業は、ホントに今やるべきことなのだろうか。もっと良い手はないか。投下するコストとリターン、それから到達したい目的地に対して適正なのか。一度、作業内容を全部並べてみて検証する必要がある。とまあ、そんなことは先輩方もわかっていたはずだ。だって、そう言っていたからね。それでも、その思考のチャンスを閉ざされることも多かった。とにかくやれ。

楽ちんなんだけどね。非効率であっても、成果がいまいち伸びなくても、それは上司の責任でしか無いから。と割り切っちゃえば。個人的にはメチャクチャ居心地が悪いんだけど。

これ、たぶん同じことをぼくもやっているかもしれない。気がついていないだけど、やっているのかもしれないとは思うんだ。そもそも、こんなにメチャクチャな量の調べ物をして、毎シリーズ100ページ以上の原稿を書くことを「頑張って」るんだから。ちゃんと立ち止まって整理したほうが良さそうだよね。

木こりの例え話を聞いたことない?一生懸命斧を振るって木を切るんだけど、斧が錆びついていて切れ味が悪い。斧を研ぎ直せば木を切る時間も短くなるし、体力的にも楽なことはわかっている。だから、周りの人は言うんだ。斧を研いだらどうかってね。そしたら、木こりがこう応えた。わかっているけれど、忙しくてそんな時間がないってね。

忙しいとか、やらなくちゃいけないとか、何かしらのプレッシャーの元では思考停止になりやすいんだろうか。どういう環境がそろうと、思考停止して「がむしゃらに頑張るモード」に突入するんだろう。誰かわかる人いたらご教示願いたい。事例のサンプルがないからなあ。なんとも言えないんだよね。

今のところ思っているのは、自分で枠とかルールを設定してしまってそれがプレッシャーになる時、時には外部からの制約がある時、のどちらかなんじゃないかな。さて、どうなのだろうか。絵を描く時にキャンバスに向かって熱中する時間も必要だけど、時々離れてぼーっと眺めてみる時間も必要だ。って、どこかで聞いたぞ。誰が言っていたんだっけ。忘れたけど、そういうことよね。

コロナ禍以前は毎年やってきていた職業体験の中学生。暫くの間は休止していたけれど、今年は何校か再開したようだ。既にひとつの学校の職業体験プログラムを終えたところだ。まだ、なんだかフワフワしている感じ。なかかな声も出せないで、人形を相手しているみたい。逐一具体的な行動を言わなければ使った後の片付けも出来ないし、作業効率を考えることも出来ない。

だけどさ。これは、年齢とか経験の問題じゃないんだよね。彼らに問題があるかというと、そんなことはないのだ。というのも、高校生でも同じ現象を見られるし、なんなら大人でも同じ現象を見ることがあるから。「イマドキの若いもん」ではないのだ。きっとぼくだってそうだ。それなりに「おっさん」だから、それなりの経験がある。その経験のお陰でなんとなく思考が出来るだけのこと。そうじゃなかったら、誰でも同じ挙動をする可能性があるんだと思うのよ。

その原因がなんだか分からないのね。わからないんだけど、もしかしたらプレッシャーによるものなのかもしれないと思ってはいるのよ。担任の先生や両親よりも年上のおっさんに指示を出されて、指導される。会ったばかりの他人。しかも、自分が作業している食材がお客様の口に入るというプレッシャーまでついてくる。固まるだろうなあ。体もそうだし、思考もね。そうなったら具体的な行動指示に従うくらいしか出来なくなっちゃうんだろうな。だとすると、慣れるって大事だってことになるか。仕事になれるっていうのもそうだけど、環境になれるとか人に慣れるとか、そっちのほうが大切なのかもね。そしたら、色々と考えて動けるようになるのかもしれない。

今日も読んでくれてありがとうございます。人のこと言ってないで、自分のことを考えたほうが良いよね。わかってるよ。だって、読書したり調べ物するの楽しいんだもん。というのも、ホンネではあるけれどどこかで無理しているかもしれないし。ということで、ちょっと見直す時間を作ることにしようかな。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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