今日のエッセイ-たろう

ノート、どんなふうに使ってる? 2025年5月15日

学生時代に、めちゃくちゃキレイにノートをとっている人がいたじゃない。それが得意な人もいれば、苦手な人もいて。ノートをキレイに書くことに集中しちゃって、授業内容があまり頭に入っていないようなことも言われた。現役◯◯大学生のノート術って、ぼくはあんまり信用していないのだけれど、結構乱雑だったり、文字の上から文字を書いていたりする場合もある。

ノートを、自分なりにキレイにまとめることには一定の効果があると思っている。そのノートを見れば、他の人でも要点や筋道がわかること。それから、ノートを見ながら内容を誰かに語れること。そういう条件付きのはなしだけど。

アウトプットすると覚えるよ。というのは、以前から色んな人が言っていて、実践してみるとそのとおりだと感じられる。わかったつもりでも、ちゃんと伝わるように説明しようとすると難しい。ぼくの感覚では10の理解で喋ることが出来るのは5くらい。理解が浅いと、ちょっとした質問で答えに窮してしまうのだ。で、アウトプットは喋ることだけじゃない。書くこともアウトプット。

アウトプットだというからには、誰かに伝えるというのが前提になる。それは自分以外の誰かかもしれないし、未来の自分かもしれない。知識量がある人なのか、思考パターンが違う人なのか、いろんな人が見てもわかるようにと考えてまとめる。そんなことが出来るかと言うと、難しいだろう。だから、ペルソナを設定して、その人に説明するつもりでノートをまとめるのが良いと思う。

これ、普段のぼくがポッドキャストの番組制作のためにやっていることなので、リスナーさんだったらピンと来るかもしれない。この習慣は、ずっと前からやっている。中学生の頃は、ノートをベースにアウトプットをするような授業スタイルだった。営業職のプレゼンテーション資料は、やっぱり見る人を想定して作るのが基本。

このノートの作り方を授業中にやるのが良いかと言うと、またそれは別の話。黒板に書かれた文字を一語一句もらさずにキレイにまとめる。それが向いているやり方ならば良いのだけれど、ぼくの知る限り多くの人は板書を写し取っている間に授業が進行してしまう。とても追いつかない。追いつかないのは、書くこともそうだけれど、話の展開に自分の思考が追いつかないのだ。

高校一年生のときの古文の授業がきっかけで、ぼくは授業中にノートをキレイにとることを諦めた。教科担当の先生は、話の展開は早いし、字は汚いし、黒板が埋め尽くされたら新しいところから消していくし。とてもじゃないけれどついていけない。そこで、後でまとめれば良いやと開き直って、まとめるときに必要になりそうな部分だけや、質問しようと思ったところだけをメモするようにした。面倒だけど、授業が終わったら簡単にピクトグラムにしてまとめる。そんな方法にせざるを得なかった。

どんなノートの取り方がベストなのか。というニュースサイトの記事は、あまり信用していない。それは、インプットのためなのか、アウトプットのためなのかが語られていないから。インプットならば動画で学ぶのか本で学ぶのか、それによっても違うだろう。アウトプットならば、自分の口で語り直すのか、ノートだけで表現するのかによっても違う。だから、単純に「これが一番」と言われると、反射的に「ホントかよ」と疑ってしまう。きっと、知らなくて損していることもあるとは思うんだけどね。

アウトプットが出来るようになると、実はとても便利なことがある。知識を使えるようになってくる。情報をアウトプットするだけなら、AIのほうが早いし、それなりの精度もある。ただ、たった今手にした情報を使って思考しようとしても、まだ使い慣れていない情報はうまく使いこなせない。少なくとも、類似したものや周辺の情報を使った経験が求められるのじゃないかと思う。

包丁も、ハサミも、PCも、使いこなそうと思ったら、そこそこ慣れておかなくちゃいけないと思うんだ。アウトプットが出来るということは、必要なものを必要なときに必要な形で出し入れできるということ。そのためのアウトプットは有効だろうし、そのためのノートをキレイにまとめるというのは効果があると思う。

前職の同僚からは、ぼくのノートはハードディスクって呼ばれてた。外付けのメモリ。情報も、それを扱った思考の軌跡もたいていのことは書いてある。たぶん、部署内で最も大量のノートを消費していたかもしれないな。ぼくにとっては、ノートは情報の保管庫でもあり思考のためのスペースでもあり、考えるための道具。って感じだったんだろうな。

今日も読んでいただきありがとうございます。今月の科学系ポッドキャストのトークテーマはノート。ってことでノートについて書いてみた。たべものラジオは科学系ポッドキャストじゃないし、番組の構成上参加しづらいってこともあって、こっちに書いてみた。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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