今日のエッセイ-たろう

料理の盛り付けどうやっている? 2024年4月16日

身近なところではあまり聞かなくなってきたのだけれど、身だしなみってやっぱり大切。今頃の季節は、社会人一年目の人たちが先輩や上司から言われているのだろうか。なんだか、型にはめられているようで嫌だという人もいるけれど、身だしなみというのはそういう話じゃない。キレイだとか美しいだとか、そういう感覚のもの。シャツもTシャツも、タックインする必要はないけど、パッと見た感じで、それが美しいまとまりになっているかどうかが問題ということだ。

料理の盛り付けっていうのは、洋服の着こなしというのと感覚的に近いと思っている。どんなに中身が素晴らしくて良い人であっても、見る人が心地よいと感じられる程度の身だしなみは整えたほうが良い。美味しい料理も、ぐちゃぐちゃよりはきれいに盛り付けられたほうが嬉しい。

そんなことはわかっているんだけど、うまくいかないんだよね。コツとか考え方みたいなのは無いの?と言われるかもしれない。それはもちろんある。人それぞれだけど、ぼくなりの発想法がね。

失敗としてよくあるのは、器のサイズに対して料理の量が多いこと。食べ放題のビュッフェでよく見かけるよね。一皿にたくさん乗せられているほうが、合理的なのかもしれないけれど、二皿に分散させるだけで、盛付けは簡単にキレイにできる。皿数が増えると、当然ながらテーブルの上がごちゃごちゃしてしまう。だったら、改めて取りに行くと良い。何度も席を立つのは面倒かもしれないけれど、温かい料理が冷めないうちに食べられると思えば、かえって合理的だと思い込むのもおすすめだ。

話が脱線したけれど、サイズ感のあっていない洋服は、どんなに頑張ってもうまく着こなせない。特にパツパツのジャケットはいただけない。洋服は器だと思えばわかりやすいだろうか。

個人的には、構図と色に着目している。例えば、紙に大きな丸を描く。この丸をお皿だと考えて、そこに丸や三角や四角いものを並べていく。平面と言うよりは、レゴのような立体を並べるイメージかな。そうすると、理屈じゃなくて「なんとなくきれいに見える」という並びに気がつくことがある。これが頭に入っていると、実際に料理を盛り付けるときにはとても楽になる。

バランスを取るときには、線を引くと良い。先程の、紙に書き込んだ三角や丸を線で結んでいく。どんなふうにやってもいいと思うんだけど、ぼくの場合は、なるべく対角線上にある図形を結ぶようにしている。そうすると、線の交差が集中しているポイントが見えてくる。それが、盛付けの重心。重心がわかると、全体のバランスが取りやすいでしょう。もちろん、立体だから重心が空中に来ることもあるのだけど、慣れてきて立体で考えられるようになったらきれいなバランスが取れるようになるという感じかな。

あくまでも個人的な好みだけど、ぼくは「器の中央」と「盛付けの重心」を左右のどちらかにずらすんだ。シンメトリーよりも、アシンメトリーのほうが「自然」に見える気がするから。自然は対象を嫌うっていうじゃん。

こういう考えの中に、今度は色を乗せていく。わざと近い色を近くにおいてグラデーションを表現することもあるし、離れたところにおいて「空間の広さ」を意識させることもあるし。それはいろいろ。ちょっとだけ気をつけているのは、バラバラになりすぎないことと、色の重心だ。あまりにも色数が多くて、それが分散しているとチカチカしちゃうからね。ある程度抑えたいかな。それから、色って重さがあるイメージ。濃い色だったり原色っぽい色は目立つから、どうしてもそこに目がいってしまう。特に端っこは目立つ。というのを利用して、色の重心を配置するかな。ファッションでも顔の周りとか、手首や足首周りって案外目立つでしょう。さりげなく髪飾りと靴下の色を合わせるとおしゃれに見えるとか、そこに淡い色のストールを垂らしてみるとか、そんな感覚でバランスを取っているかもしれない。

いろんな料理の盛り付けも参考にするけど、料理じゃないものからヒントを貰うことのほうが多いかな。庭なんかは良いよね。日本庭園を見て、あそこがツマでこれが赤身でと刺身皿を想像してみるのもおもしろい。バランスを取るという意味では、筆文字も参考にしているかも。あとは、生け花とか絵画も良い。旅行で見かけた風景なんかもけっこう参考にしていたりするかな。

今日も読んでいただきありがとうございます。普段から感覚でやっているのはやっているのだけれど、どこか頭の中にぼくなりのロジックがあって、組み合わせて考えている気がする。感覚だけでもないし、ロジックだけでもない。こういうの、少しは参考になるのかしら。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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