今日のエッセイ-たろう

課題先進国の課題は、歴史の韻。 2024年8月5日

課題先進国という言葉が聞かれるようになったのはいつ頃からだろう。少子高齢化、エネルギー自給率、食料自給率などなど。詳しいことはさておき、歴史上人類が直面してきた課題が多いように思える。

エネルギーが足りない。というのは、どの時代の文明でも起きていた。文明が発展して交易が盛んになって、人口が増えると燃料となる木材が不足する。で、木材が豊富な地域へと移住が始まる。メソポタミア文明もミノア文明も、ざっくり言えばそんな感じ。レバノンの国旗の真ん中に描かれている木は杉の木だけれど、この杉の木こそが古代フェニキア人が勃興した原動力となったというからね。

食料が足りない。なんてことは、それこそ人類の歴史そのもの。歴史の授業では政治や経済の話が中心だけど、元はといえば食料の確保から始まった話だろう。

地球全体が寒冷化すると、必ず北方の人たちが南下するのは、食料の獲得が出来なくなるから。とくに遊牧民は移動しながら食料を得ることが常だから、当たり前のように移動する。侵略しようと思っていたというよりも、いつものように移動していったら、そこに別の人達が住んでいた。結果として侵略ということになった。大雑把に言えばそういうことだ。

一度克服した気になっていたんだけど、その仕組が崩壊している。というのが現在直面している課題なのかもしれない。ただ、今までのような方法では解決できない。移動すれば衝突が起きるし、食料を奪えば帝国主義の再来だし。課題は繰り返されているけれど、今までとは違う解決方法を模索する必要があるというのが現代社会なんだろうな。

経済力も軍事力も人口も、過去とはまったく別世界だもん。しかも、膨張速度は凄まじい。だからといって、これらを停止するというのも生活が成り立たなくなりそうな気がする。まぁ問題は、スピードが早すぎることなんだろうな。気候変動もそうだけど、従来ならもっと緩やかだったんだけど、この200年くらいが早すぎちゃう。だから、対応が難しい。

いつものようにカーブを曲がろうと思ったら、スピードが早くて曲がりきれない車みたいなものだ。だったら、スピードを落とそうよっていうのが手っ取り早い解決方法。ちょっとブレーキ踏めば曲がれるかもしれない。運転技術を磨いたり、タイヤを高性能なものに変更したりするもの良いんだけど。もうカーブ曲がり始めちゃってるからね。

これがめちゃくちゃ難しいんだろうけどね。ブレーキを踏んだ途端にあちこちで負荷がかかる。あっちがきしむ、こっちで歪む。みたいなことが起きる。4つのタイヤ全部が上手いバランスで速度調整できれば良いんだけど、社会というのはそんなふうに出来ていない。という感じかな。

SKSというフードテックイベントもFuture Food Instituteという食に関する研究団体も、世界的に展開されている。これって、もしかして全体を協調させてバランスを取ろうっていう営みなのかもしれない。

今日も読んでいただきありがとうございます。こんな話を書くつもりじゃなかったんだけどね。随分前に読みふけっていた漫画「沈黙の艦隊」が、最近実写ドラマで配信されていて。それを見ているせいでこんな話になったのかもしれない。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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