今日のエッセイ-たろう

PTAから考える体制のはなし。 2023年3月2日

最近、PTAにまつわる色んな話を聞く機会があった。そういう世代の人が近くにいるからだ。会長選考委員会などというものをやっていて、それはまたいろんなドラマが展開されているらしい。外側から見ていてもややこしい。関わる人の様々な思惑が絡み合っていて、なにやら政治力のようなものまで必要になりそうだ。

PTAに限らず、組織というものを考えたとき、ひとつの考えが浮かんできた。いつも通りではあるけれど、そもそもこの組織は何のために存在しているのだろうか、である。

体制がある程度決まっていると、どうやらその組織の中での役割を決めるところから運営が始まるようだ。先述の事例だと会長や副会長などの役員を決める作業が最初にやってくる。で、実際の活動内容についてはその後の話になるのだ。他の組織でも同様のことが見られるのではないだろうか。例えば観光協会であっても、商工会議所であっても、もしかしたら企業の中でもありうることかもしれない。

組織の本質を考えると、最初に考えるのは「何を成したいか」である。何かしらのやりたいことがある。それを実現するためには、どんな取り組みが必要なのかが続く。そして、実行するための体制は最後に決まる。一人では実行できないけれど、みんなで協力し合ったら実現可能だよね。そういうことがあるから、人は集団を形成して事業を成していくわけだ。

こうした行動は、おそらくホモ・サピエンスが集団を形成して生活をし始めた頃から続くものだろうか。詳しいことはわからないけれど、サピエンス全史などを読むとそのように見えるわけだ。

PTAならば、子どもたちの学びの機会を増やしたいとか、楽しんでもらいたいといった思いが最初にあるのだろう。学校教育だけでは手の届かない領域があって、そこを補填する意味でもあるかもしれない。観光協会だったら、近隣地域の観光業を盛り上げて、人流を増やしたり産業を盛り上げたいという意図がある。

これらの思いを実現するための方法は、集う人たちで検討するわけだ。イベントを実施するのか、はたまたwebサービスを充実させるのか、共同事業を立案するのか、やりようはいくらでもあるだろう。思いを実現するための具体的なアイデアだ。

これを実行するにあたって、様々な役割が発生する。段取りを決めてタイムテーブルを作成したり、予算計画を考えたり、集客のためのチラシを作ったり、全体を把握して運営のバランスを取ったり、それらの作業は多様に及ぶ。そして、それらの作業は分担して実行される。段取りを考えるのが得意な人がいれば、その人が段取りを考えてドキュメント化する。得意な人にとっては、それは大した作業ではないだろう。なにせ、ホントに得意な人ならば、呼吸をするかのごとくにいとも容易く出来てしまう。コミュニケーションが得意な人ならば、交渉という感覚すらなく知人に電話をかけるだけで協力依頼が終わるかもしれない。仕事や家庭の事情で、時間的制約がある人も多いだろうけど、その場合はできる範囲で手伝うということもある。

つまり、みんなが出来る範囲で頑張るということだ。その場合には、業務量としての負担のバランスは悪いだろう。もしかしたら、一部の人に業務が偏るかもしれない。押し付けられるというよりも、事業によっては役割ごとの業務量の比重が違うからだ。とあるイベントでは、運営関係の仕事が多いかもしれない。また、他の事業では交渉事が煩雑になるのかもしれない。こればかりは、事業の性質によって異なるわけだ。

大切なのは、これを無理やり均等にしないことだろう。そもそも、関わる人たちが使える時間や労働力には偏りがあるのだ。余裕のある人や、それ自体が楽しいという人は多くの時間を費やせば良い。そうでない人は、もう少しライトな関わり方をすれば良い。そうしたことを予め合意しておいて、しっかりと互いに感謝し合うことだ。やってくれて助かった。ありがとう。

事業が動き始めると、役割がある程度決まってくる。役職はこれにともなって決まってくる。そういうものだろうと考えたほうが楽ちんだ。あの人が中心にいると、なんとなく場が上手いことまとまるんだよね。そいう人が自然と会長のような仕事を引き受けていけば良いだろう。まぁ、そうそう理想通りにはいかないのだろうけど。

体制を予め決めること。これ自体が悪いことではない。役割が明確であればこそ、それに見合った働きをするということもある。一方で、前述のように緩やかに役割や役職が決まっていくこともあるだろう。どちらが良いかということを考えるよりも、異なるパターンがあるということを認識しておくのが良いのだろうと思うのだ。

極端な話だけれど、体制が整わなくても目的が達成されればそれで良いということもある。仲間内でイベントを行うときなどは、けっこうそういうケースもあるだろう。何度か実施するとして、その都度役割が変わるかもしれない。そうであっても良いと思っている。

今日も読んでくれてありがとうございます。PTAも観光協会も、まず最初に「なにをしたいのか」を話し合う時間があったら良いのにね。PTAなんか、毎年体制が変わるだからさ。で、何をやったら目的が達成できるのかをみんなで考える。可能なら、大人も子供も教師も、みんないっしょに話をする。で、面白そうなことを皆でやってみる。というくらいの感覚でスタートすれば良い。そんなゆるい感じで楽しく出来るようになるにはどうしたら良いんだろうね。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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