今日のエッセイ-たろう

ド素人が歴史から経済を考えてみる。

経済視点で食文化の歴史を眺めてみる。ということを、最近は気をつけている。そうすると、食文化を含めた文化が発展する傾向が見えるのじゃないかと思ってね。

そういうわけで、ちょこちょこと経済に関連する書籍を読むようにしている。正直な話、経済学の専門書は難しい。数式だとか論理だとかがたくさん出てくるので、サラサラと読み進めるなんてことは無理。しっかりとノートを取りながら読むというか、向き合って勉強しないといけないんだろうな。なんとなく概念を掴むのなら、とりあえず面白そうな事例が列挙されている方が良さそう。と思って、歴史を経済視点で読み解くという感じの書籍を読んでいる。これなら、大筋のストーリーは知っているし、調べるのも難しくない。近代以降の他の国や企業を取り上げるよりもずっとわかりやすい。

素人が勝手なことを言うのだけれど、とりあえずひとつ掴めたことがある。食文化が大きく発展するのは、世の中が平和で景気が良い時だ。それ以外には見当たらない。

そもそも、戦争が頻発しているときは、心に余裕がない。だから、その社会で登場する新しい食文化は合理性を追求した形式になりがちだ。軍事食料として保存性が高いとか、携行に便利とか、栄養価が高いとか、生産効率が高いとか。利便性が重要なんだね。同じ意味で、物流や交通インフラが整備されがちな時代でもある。

平和でも、緊縮財政の時代は発展しづらい。世の中の空気がそうさせるんだろうか。江戸時代だと、緊縮財政がとられるのは決まって飢饉などの天災のあと。そんな状況で風情だとか、優雅な遊びだとかにうつつを抜かしている気分じゃないのかもしれない。と思いきや、そうでもないんだな。政策として奢侈禁止令が出されるから、それに抑え込まれているんだよね。

緊縮財政では経済が上向いた試しがない。というように見える。だいたいデフレ。今と違って紙幣を使っていたわけじゃないからね。お金を増やすことをやめてしまう。お金の総量が増えないと、モノの方が多くなる。モノというのは商品のことだけど、こっちは勝手に増加していくんだ。だから、市場に流通するモノの量に対してカネの量が足りなくなる。カネとモノのバランスが悪いんだよね。これがデフレ。

デフレっていうのは、モノの価格が下がること。言い換えると、銭の価値が上がるということ。だからタンス貯金が増える。江戸時代以前だと銭をツボに入れて床下に埋めるんだけど。放っておけば銭の価値が相対的に上がるんだもんね。そりゃそうなる。

逆に銭の量を増やしたらどうなるか。江戸時代の改鋳では、これをやったよね。荻原重秀の元禄小判とか、大岡忠相の元文の改鋳と田沼意次の経済政策。緩やかなインフレ、つまりリフレーションを引き起こした。ホントはむやみにお金を作りまくるとハイパーインフレーションを引き起こしちゃうんだけどね。中国の元がやらかしたように。だけど、この時代の銭は小判だから。早々簡単に作りすぎるなんてことは起きないわけだ。

ちょっとずつ物価が上がっていく。物価が上がるということは、放っておくと銭の価値が下がるってこと。10年前なら1万円でたくさん買えたのに、今はずいぶんと減った。というものがあるよね。相対的に1万円の価値が下がっている。テレビ番組で、開かずの金庫を開けるというのがあった。曽祖父の代から開けていないとかね。で、なんとかして鍵師さんに開けてもらうと、そこからはかなりの財産が出てくることがある。1円の株券が数百枚とか。現金が1,000円とか。当時は確実に大金だった。大学初任給が12円だった時代だからね。そりゃそうだろう。でも、今だったらどうだろう。これがインフレの時代。

つまり、消費したほうが良い時代なのだ。ほんとはね。

最近勉強し始めたところだから、MMTがなんなのかを語るレベルではない。だけど、もう少し円を増やしたほうが良いのかもしれないな、という気にはなるよね。今の物価上昇は、リフレの延長にあるものじゃないから。海外依存の原料費高騰によるものだし。商品の量に対して銭の量が足りていないんじゃなかろうか。そう思っている人がいるから金融緩和をしたのだけれど、そこだけでは期待した効果が現れなかった。金融緩和は各銀行とその先にいる企業の消費行動を促すための政策だよね。だけど、企業は動かなかった。

じゃあ、どこの消費行動を促進するかって言うと、法人じゃなければ個人でしょうね。ということにはなる。もういっそのこと、バラマキやっちゃったら良いんじゃないのかな。財源は国債発行して日銀が持てばいいのよ。どうせ、日銀の利益はそのまま国庫に入るんだから。って、違うのかな。大雑把に考えたら、紙幣をもっと発行すればいいんじゃなかろうか。で、インフレ率が上がり過ぎそうなら回収する。税金って市場にある銭を吸収する仕組みにも見えるんだよな。

あ、いま気がついた。バラマキ政策をやるにも、その仕組がないのかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。いやぁ、素人が経済を語るのは無茶だったね。ちゃんと勉強したわけじゃなくて、過去の事例をざっくりといくつか読んだだけだからさ。しかも、背景となる社会情勢がまったく違うのだ。自分のためには、言語化してみて良かったなとは思っているけど。こりゃ、本腰を入れて勉強しないと難しいんだろうな。

あ、そうだ。政治家ってさ、これある程度は勉強してるのかな。どうなんだろう。してるよね。国であっても地方自治体であっても、最低限は勉強していないと政治なんて出来ないもんね。そりゃそうか。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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