今日のエッセイ-たろう

思考のクセ。 2024年7月2日

先日、脳内の思考方法と表現について素人ながらいろいろと対話をさせてもらう機会を得た。最終的には酒が入って、よくわからにことになってしまったのだが。気づきがあったので、少し書き出してみようと思う。

インプットと認知とアウトプット。この3つが、人それぞれで違う。対話の中で大きな気づきだったのがこれだ。

インプットは、目で見る文字や音で聞く言葉、平面的な絵だったり、立体的な図象だったり、匂いや触覚や味覚と様々。たぶん、言語が得意な人でも視覚認知が得意な人でも、情報のインプットは似ている。ただ、それぞれの解像度が違うらしいことは見えた気がする。数学のようなロジックに強い人もいれば、音の違いに敏感な人もいる。といった具合に、得手不得手の違いがインプットの段階であるように思える。

インプットした後に、それらをどの様に知覚するかもまたそれぞれ。ぼくは、言葉で得た情報も目で見た景色も、大抵は音声付きの動画のように捉えるクセがあるし、相関図のような抽象的な図象で捉える傾向がある。が、一緒に対話した方は、手触りがわかるという。例えば、動物や人を観察していると、触ってもいないのに手触りを感じるのだそうだ。視覚でインプットした物体のテクスチャを知覚できる。というのは、ぼくから見ればとんでもない才能に見えるのだけれど、その方にとっては日常なのだ。とても興味深い。逆に、彼から見ればぼくのような知覚の仕方は不思議な現象に見えるのだろう。

アウトプットも違う。例えば、言語でのアウトプットが得意だとしても、表現方法が違うのかもしれない。ロジックを積み上げて、三段論法のように理路整然と状況をアウトプットする人もいれば、言葉に色を感じていて、まるで絵を描く様に言葉を並べる人もいる。ぼくなんかは、おおよそ後者だ。脳内に現れたショートムービーのようなイメージを、それに見合った言葉を探し出して並べていく感覚がある。もしかしたら、落語が好きだというぼくの感性がそうさせているのかもしれない。

ただの妄想話に過ぎない話で、根拠と言えばぼくらの感覚の違いでしか無い。もし、こうしたことが実際にあるのだとしたら、他にも色々と考えられそうだ、とは思う。

例えば「気遣い」についてだ。商売をしていると、人に気遣いができるとか、気持ちがわかるというのが大切になると言われる。現代風に言えばコミュ力の源だ。

ある人は、インプットレベルが10あったとして、10理解しているとする。10のうち全力で気遣いの思考やアウトプットを行った結果、10の出力をするわけだ。けれども、インプットが100ある人にとって、思考もアウトプットも100であるとは限らない。

10のインプットをする人から見て、100の人が気遣いが出来ないとか、人の気持がわからないと表現することがあるかもしれない。それは、もしかしたら100の人が8しかアウトプットしないだけなのかもしれない。100の人は10だろうが50だろうが、それなりにコントロールが出来るとしたら、8しかアウトプット「出来ない」のではなくて「しない」。つまり、意図的にしていないという可能性もある。読み取った「他人の気持ち」を全力で返すのは、疲れるということもある。また、場合によっては「価値を感じない」と判断することだってあるだろう。気遣いをした結果、それに甘えてしまう人がいるならば、そうさせないためにわざとブレーキをかけるのだ。つまり、すっとぼける。

あくまでも妄想でしか無いのだけれど、そう考えると合点がいくケースもありそうだ。

インプット、認知、アウトプット。この三段階があると仮定すると、かなり多様な思考が生まれることになる。同じように歴史という事象を見ても、映画を見ても、何を感じて何をアウトプットするかは千差万別。だから、おもしろい。

今日も読んでいただきありがとうございます。なんだか、今日の話は抽象的で分かりづらいんだろうな。わかりそうでモヤモヤする。というのは、ぼくの言語でのアウトプットがぼんやりしているせいだろう。まぁ、しばらく思考を寝かせておいたら、いずれなにか気がつく事があるかもしれない。もう少し言えば、認知とアウトプットの間にある「思考・思想」みたいなものも、大きく影響するだろうしね。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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