今日のエッセイ-たろう

自分と周囲のヒトとの時間解釈の違い。 2024年1月23日

時間の捉え方って、ひとそれぞれ。たべものラジオでは、かなり長い時間軸の話をしているので、明治時代くらいに生まれた食文化も「比較的最近」ということになってしまう。ただ、それは学びの中で相対化した場合のこと。実際の暮らしや人生に照らし合わせてみれば、とても長い時間だ。

どうせすぐ使うから、しまうのは面倒くさい。こんな感覚は、きっと誰でもあるだろう。むしろ、その方が効率的だとも思う。数時間後に着る予定の服をタンスの奥にしまうのはナンセンス。手近なハンガーに掛けておく。ソファーに放り投げておいても構わないのだけれど、邪魔になる。というのは、その服が再びその場所からどけられるまでの間にソファーを使うからだ。自分一人だけの生活ならば構わないかもしれないけれど、集団生活をしているので、他に使う人がいるわけだ。そんなわけでソファーに放り投げて置くという判断もナンセンスということになる。

こうして文字にしてみるとややこしく感じるのだけれど、大抵のヒトはこれを瞬時に判断しているかパターン化することでこなしている。時間の尺度が、実生活とリンクしているからこその判断なのだろう。

どうせ明日使うから。うん。確かにそうだ。場合によってはそれもいいだろう。どうせ、来週使うから。それが適用される場合もある。どうせ、再来週使うから。といった具合に時間が伸びれば伸びるほど、適用される状況が限られてくる。そう、適用される条件のようなものが存在しているのだ。

片付けが苦手だとか、どうやっても手元の周りが乱れてしまうだとか。そういうヒトの話を聞くと、条件を考えずに一律で時間を設定しているようだ。もしくは、そもそも時間設定が長いとか。

毎日、毎食使う食器。例えば箸などは、洗うたびに食器棚にしまわないというヒトも多いかもしれない。食器乾燥のための棚に置いたまま。だけど、3日後に使う大皿は、一度食器棚にしまわないと邪魔になる。当たり前のように思えるのだけれど、どうせすぐに使うと感じるらしいのだ。3日間辛抱すればいい。

同じ感覚のヒトだけの集団ならば構わないのかもしれないけれど、多くの場合はそうではない。みんながその皿を使うわけでもないが、その場所はみんなが使う。この感覚のズレが言い争いやストレスの発生源になっているようだ。

だから、職場では一定のルールを設定している。まぁ、勝手にルール変更したつもりになってしまう人もいるのだけど。現行のルールは私にとって非効率で合理的でない。だから、私なりのルールで運用する。そんなヒトは流石にいないだろうと思うだろうか。ところが、実際にはけっこう多いのだ。過去にも、そういう経験がある。

合理的かどうかは、その判断基準によって異なる。私にとって合理的で便利な運用は、他の誰かにとっては不便で非合理的なものかもしれない。その逆もある。全体の運用を俯瞰してみて、ある程度の合意形成のうえで運用されるのがルールというものだろう。合意形成で作られたものならば、変更の際には再び合意形成が必要ということになる。

とてもめんどくさい。めんどくさいのだけれど、集団で働いている以上は仕方がない。もっとめんどくさいのは、この論理が理解できていない場合だ。まず、そこから納得できるまで説明しなければならない。

これは職場で伝えるべきことなのか、それとも自らが学ぶべきことなのか。個人的には後者だと思っているのだけれど、どうもそのあたりがよくわからない。

今日も読んでくれてありがとうございます。今気がついたのだけれど、もしかしたらプライベートスペースが大きいのかもしれないなあ。自分で自由にできると認識しているエリアが、全体に及んでいる。共有スペースとの境目が見えない。これって、歴史的な変化にも影響していそだぞ、などと思っている。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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