今日のエッセイ-たろう

自分の考え方の癖を考える。 2023年4月28日

サラリーマン時代のことを少し考えてみようと思う。特に意味はない。ちょっとばかり時間が過ぎたので、そろそろ客観的に見ることが出来るのじゃないかと思ったくらいのことだ。そもそも、あんまり自分の歴史を振り返ることもないのだ。実際に語ることもあるけれど、それはただの思い出話だし、なにかの説明をする時に使いやすい事例として持ち出すくらいのものである。過去の話をしても、特別に自慢できるようなことなどほとんどない。

たべものラジオは、今目の前にあるものや現象のルーツを辿ることをコンセプトにしている。それから、定義がなにかを探り出して、それを踏まえて現在の状況をどう解釈するか、ということをよく話している。平たく言うと「そもそも論」の番組。で、それは番組のコンセプトではあるけれど、元々ぼくの個人的なクセでもある。

そもそも、この部署は何のために存在しているのか。そもそも、経営陣が期待している成果は何で、社会に対して何を提供しようとしているのか。それは、消費者にとって良いことなのか。などと、いつも言っていた。眼の前の業務をこなすように言われたり、なにかの作業をするように指示された時、いちいち気になって仕方がない。目的のために、今目の前に提示された作業が本当に最善の策なのかが気になるのである。

上司から見れば、なんとも使いづらい社員だったと思う。具体的な作業を指示しているのに、そんなことよりもこっちのほうが優先順位が高いのでは?と言い返してくる。コマンダータイプの上司とは、とにかく相性が悪かったような気がしている。

一方で、とても相性が良かった上司もいた。気が合うので、二人で飲みに行くこともしばしばあったくらいだ。この上司はぼくの性格をよく知っているので、最初から問いを投げてくる。定義を明確に伝えてくる。そのうえで、何をすべきかを考えだせというのが指示。で、考えたことを提案すると、その場で議論が始まる。議論して互いに納得すると、改めてそれを実行せよという指示に切り替わる。

ぼくのようなタイプは、大きな組織で出世するには向いていないかもしれない。どうなのだろうか。考えるよりも手を動かせと言われれば、そうすることもあるけれど。でも、行動しながらもついつい考えてしまう。なまじ行動して現場に入り込んでいるものだから、現場の生の情報に接することになって、さらに思考が止まらなくなる。四の五の言わずに、まずはやれと言われたことをやれ。そんな風に叱られたこともあった。

サラリーマン時代のことではないけれど、思い出したことがある。中学生の頃のことだ。ある授業の中で、「自衛隊は合憲か違憲か」を議論することがあった。もちろん、答えなんて出るわけがないのだけれど、そういうことを考えさせる授業。で、ぼくの思考は至ってシンプル。憲法には戦争のための武力の放棄が明記されている。戦争のための武力とは、戦闘機や戦車である。何に使うかを問わずに、所有しているのは事実だから違憲である。

議論は、自衛隊の存在意義や世界情勢や活動内容などに及んだ。合憲とするクラスメイトは、戦争をするために保有しているわけではないという論理である。それは理解が出来るし、自衛隊の存在を否定しているわけではない。むしろ、肯定的な立場である。しかし、問いが「合憲か違憲か」であれば違憲である、というのがぼくの論理。全く話が噛み合わない。

戦争のための武力ではないという声もあった。じゃあ、戦闘機や戦車は何のために存在しているのか。抑止力という人もいたけれど、核の時代に抑止力になんぞなるわけがない。戦闘機はまだしも、戦車なんかは本土に上陸されたときにしか使い道がないのだ。その時点で、戦争になっているか一方的な侵略になっているはずだ。戦車は戦争のための武力ではないというのは、どうもいまいち納得できない。そもそも、戦争というのはどういう状態を指しているのか。という話になる。

思い起こせば、この性格は中学生の時点で既にあったらしい。定義を定めて、問いを明示して、それにシンプルに解を出す。そもそもの存在意義や定義を疑って、確認してから論理を展開する。相手にも論理的な反証を求めるし。嫌なやつだと思われただろうなあ。だって、中学生だもの。

最終的に議論は割れたままだったけれど、現状の定義では違憲になると判断されそうなので、合憲にするために憲法改正が必要なのではないかという話をしていたのを思い出した。現状に合わせて、もしくはより良い社会環境を考えた上で、それに沿った文章にすべきだと。まあ、30年ほど前の話である。

今日も読んでくれてありがとうございます。特に主張したい内容も検討したい内容もない文章。特に、サラリーマン時代のことを思い返すこともなく、最終的に中学時代のディベートの授業を掘り返しただけだった。ひとつわかったことは、たべものラジオはぼくの個人のクセが前提になっているのかもしれないということである。いつも、こんなめんどくさい番組を聞いてくれてありがとうございます。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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