今日のエッセイ-たろう

「リサイクル」よりも「長く使える」のほうがエコ? 2023年12月15日

昨日、ゴミを減らすという観点から梱包資材について考えてみた。そうしたら、量り売りみたいなスタイルで自分で容器を用意するのはどうか、というところにたどり着いた。

結局、プラスチック製品になっちゃうのかな。買い物のたびに大きな容器を持って歩くのは大変だから、なるべくならコンパクトに収納できる方がありがたい。車社会ならば、買物用のかごもタッパーも弁当箱も、仕事中には車の中に置いておけば良い。移動の際の不便もほとんどない。

だけど、都会に住んでいて電車移動の場合はなかなか不便だろう。仕事帰りにスーパーに寄って買い物をしてこようとなると、会社に買い物のための装備を持ち込むことになる。それに、混み合った電車の中では邪魔になるかもしれない。朝の満員電車では、なるべく荷物は減らしたい。

プラスチックって、本来はとても安定した素材。加工する段階で、色々と混ぜるから脆くなったりするのだそうだ。そう言われてみると、当店で使用しているプラスチック製品にはとても長く活躍しているものがある。弁当などを入れるのに使っていた番重も、洗った食器をまとめておくカゴも昭和60年代に購入したもの。ほとんど劣化すること無く現役のままだ。器をしまっている衣装ケースは、数年するとひび割れてしまう。ただ、ぼくが幼稚園児のときに使用していた衣装ケースは、今も現役で器を収納してくれている。

詳しいことは勉強しなくちゃいけないのだけれど、どうやら長持ちさせるような作りにすることは可能らしい。丈夫に作られているのであれば、プラスチックの循環スピードをゆっくりにすることが出来る。リサイクルがエコというけれど、リサイクルに出されないほど使い続けられていれば、そのほうがコストが掛からない。再生するのだって、エネルギーが必要なのだから。

丈夫なタッパーやジップロックのようなものがあったとして、それをみんなが使うようになる。買い物にはそれが必須。というか、そうじゃない人のほうが肩身が狭いような雰囲気が出来たとする。そうなんだよね。雰囲気って結構大事だと思うんだ。それをするのが当たり前だっていう社会になっちゃえば、それまでの社会ってなんだったんだろうってことになるじゃない。そういう現象、ぼくらはこの数年間でいやというほど見せつけられたと思うんだ。

スーパーマーケットなんかは、囲い込み戦略としても良さそうだ。だけど、もっと良さそうだと思うのは、行政単位で取り組みをすることかな。例えば、量り売り用の容器を行政主導で開発してしまう。ほら、ゴミ袋なんかは行政指定のものがあったりするでしょう。それが必須だとは言わないけれどね。推奨される基準を設定するくらいのことはあっても良いのじゃないかと思う。じゃないと、結局ペラペラ素材のタッパーを使うことになって、プラごみが増えてしまいそうだ。

規格が一緒なら、蓋と器の組み合わせは入れ替え可能。だから、どちらかが壊れたら壊れた方だけを新しくすれば良い。例えばスーパーマーケットなどで回収して、壊れていない方同士を組み合わせて中古品として販売しても良さそう。江戸時代、下駄なんかはそういう仕組だったらしい。そういう意味では、簡単に直せる部分。例えば留め具やパッキンを修理してくれるサービスなんてのもあると良いよね。最終的に使えなくなってしまったら、最寄りのスーパーマーケットで回収して、市全体でリサイクル出来るような仕組みがあると素敵だよね。

事業者の囲い込みじゃなくて、行政単位まるごとだったら、アチコチで同じものが使えるから消費者としては便利かも。

プラスチックと言えば、ペットボトルや缶はどうだろう。溶かして再利用するのだろうけれど、瓶だったら洗うだけってことないかな。ガラスは重いからなあ。ただ、ガラスの原料となるケイ素は石油よりもずっと豊富だから、ケイ素を主体としてプラスチックのように自在に使えるなら良さそうな気がするけど、どうなんだろうな。

今日も読んでくれてありがとうございます。食とゴミの関係って、これだけでひとつのシリーズになりそうだ。歴史を遡ってみたら、色々とヒントがあるかもしれない。その時代の人がどう感じていたかは別として、現代人にとってのヒントが。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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