今日のエッセイ-たろう

象と象使い。感情からスーッと入っていくにはどうしたらいい? 2024年1月8日

現在、国立科学博物館で開催されている特別展「和食」について、少しばかり思いを馳せていた。昨年11月には、贅沢にも休館日に入場させていただき、番組の収録をすることが出来たのだ。もう少しでその時の様子が配信されるので、よかったら聞いてみてください。

普段は、書籍から学ぶことが多くなってしまっているのだけれど、こうした「体験」は良い。なんというか、「感じる」のだ。論理的な思考や学びなんかをすっ飛ばしてしまって、ただただ感じる。

直感は時として事実に反してしまうのだけれど、それでも直感から得られるものは大きい。というか、先に感じるからこそ、その後の学びが生きるような気もしている。まぁ、直感だけに頼りきってしまうと、それはそれで問題なのだろうけど。

感情が動く。きっと、論理的思考よりもずっと力強い。という気がしている。例えば、とても上質な布があったとする。それは、環境負荷も低くて、ある家族の思いが詰まったものだ。布に関するエピソードや説明はいくらでも出来るのだけれど、それはあとでも良いのじゃないかと思う。気持ちよさそうだな。触ってみたら気持ちいい。で、その後に話を聞いたら、すっと心の深いところにストンと落ちてくる。という感覚。エコな商品だから買って。というよりも、先に「良いなぁ」が来て、「しかもサスティナブルなの?」っていう順番。

最も記憶に残りやすいのは、感情が動いたときだ。それは、驚き、笑い、喜び、怒りでも構わない。感情の心電図のようなものがあったとしたら、とにかくどちらかの方向に大きく触れた瞬間が一番印象に残りやすい。

プレゼンテーションやスピーチでは、あえて仕掛けていたなあ。一番伝えたいことを言う直前に、感情に働きかけるようなことを仕込んでおくの。ちょっとエモいエピソードとかね。

ちょっとジョナサン・ハイトの「象と象使い」の話を思い出す。直感とか感情を象徴している象は、とても大きくてパワーが強い。象使いは思考や理性の象徴だけれど、力は弱くてすぐに疲れてしまう。象をコントロールするのにも、それはなかなか容易ではない。というような話。

象と象使い。それぞれの進みたい方向が揃っていると良いよね。「良いなぁ」から始まって、論理的に考えても「やっぱり良い」。なんの違和感もなく進んでいける。これが食い違っていると大変だ。「環境にも良いのはわかっているんだけどね。だけど、今までの倍も高額なんだよなぁ。」と、スーパーマーケットや衣料品店で考えたことがある人もいると思うんだよね。ぼくもそうだ。これは、感情じゃなくて経済的な理由だけどね。

うまくいえないけれど、こう「スーッと」入っていけないもんかなと思ってさ。環境に良いとか、健康に良いとか、学びになるとか。頑張って「よいしょっ!」って乗り越えるんじゃなくてさ。友達と歩きながらおしゃべりしているのが楽しくて、気がついたら坂の上に登っていた。っていうの。

今日も読んでくれてありがとうございます。学校の授業って、もう少しくらいはエンターテイメントっぽい要素を入れても良いかもね。無理やりゲーム要素を入れている感じのことじゃなくて、そもそも学びって面白いはずだから。ほら、漫画やドラマで学んじゃったことってけっこう多いじゃない。そういう配信ができるようになりたいなぁ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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