今日のエッセイ-たろう

間違った視点も切り替えて使い分ける。2022年8月31日

「西から昇ったおひさまが、東へ沈む」。そんなバカな。という人は、アニメ「天才バカボン」を見たことがないのだろう。まさに、そんなバカなという話なのだけれど、これでいいのだ~というのがこのアニメの面白いところ。

そんな解説をしたいわけじゃないんだけどね。正しくするとどうなるか。「東から昇ったお日様は西へ沈む」が正しい。

そう思った方が多いのかな。だけど、厳密なことを言ってしまえば、それも間違いだ。太陽は地球を中心に回っていて、平らな地面の端っこから昇ってくるわけじゃないからだ。コペルニクスのことを知らなくても周知の事実だ。地球が公転しているかどうかも関係なく、地球が球体で回転していることで、地球上の一点から観測した場合に東側から観測可能になる。そういうことなんだよね。

科学は地動説を否定して、天動説が主流である。

なにを当たり前のことを。そうなんだよね。イチャモン付けているようにしか見えないよね。だけど、よく考えてみると「地動説的な表現」って、結構たくさんあるんじゃないだろうか。

なんでだろうね。その方が都合が良いのかな。どういうことだろう。

普段の生活においては、地動説だろうが天動説だろうが、困ることはほとんどない。地球上で普通に暮らしている限りは、ほとんどの人にとってはどっちでも良いのかもしれない。普通にっていうと語弊があるか。でもまぁ、言いたいことは「日常生活にはどちらだとしても支障は少ない」ということね。科学に基づいて作られたあらゆるシステムも、それを利用する人にとっては興味関心の対象にはならないこともたくさんあるんじゃないかな。

地球が青く見える。円周率はπで、3.14が近似値として小学校では使われている。熱した油に食材を入れれば揚げ物になる。どれもこれも事実だし、それがどの様な仕組みでどの様に活用されているのかは考えなくても良い。第一、地球が青く見えるということを知識として知っていても、仮に知らなくても生活は出来るのだからね。教養としては知らないと恥ずかしいだろうけど。

絶対の事実があったとしても、人間は結構違った解釈をしていることが多いんじゃないかな。わかった上で便器上の解釈をしておく。その方が、あれこれと難しい表現を使わずに、日常で理解しやすいから。しつこいようだけど、厳密には違うことを理解した上で別の解釈を用いるということがあるということだ。

小学生の頃、円周率を実際に導き出す授業があった。そして、どんな大きさの円でも同じくらいになることをクラスのみんなで試して、だいたい似たような数字になることで納得した。というかさせられた。円周率の発見の過程をなぞったわけだよね。けれども、ほとんどの生徒は円周率の存在を知っていて、どんな数値でどんな時に使うのかを知っているのよ。予習なんかしなくても、教科書のページにデカデカと書いてあるんだもの。

もちろん、発見の過程をなぞることも大切だし、自分自身の視点で気がつくことも大切。だけど、現在の環境ではそれも難しかもしれない。経験から新しいことを知る。そういう体験をする前に、既に知識として知っているということがあるのだ。だとしたら、カリキュラムは変えなくちゃいけないよね。円周率の発見にはこういう過程があって、元々何のために賢い人達が計算をしていたのか。そういうことが予めあって、じゃあそれってホントにそうなのかなって疑ってかかることをみんなでやってみる。そうすると、どんな思考の道筋を辿ったのかを追体験することにもなるかもしれない。この場合は、検証者の追体験だけどね。

目的は、原理原則をしっかりと理解することだと思うのだ。塾やネットの情報で予め知っているだけの知識を使えるようにする。発見の過程を辿ることで、思考方法を知ることにもなるし、経験として体を動かすことで深く印象付けられる。そういことをしたいのだと思うんだよね。

状況に合わせて視点を動かすことも大切なのではないかと思う。天動説が正しいとしても、観測者の視点から一度地動説として物事を見る。実際に、小学校の理科の授業でも南中の説明では、太陽が最も「高い」位置にあると表現する。観測者の目線でどのようにみえるのかを体験認識したうえで、そこから「実はね」って話になる。両方をうまく行き来するのが良いのかな。そんな気がしてるんだ。

今日も読んでくれてありがとうございます。今頃頭の中で「天才バカボン」のテーマソングがループしているんだろうか。ぼくはしてる。ということで「月は昇るし日は沈む」だ。これ、東を向いたらすぐに西を向いたってことなんだ。メロディーにそぐわず忙しい歌だね。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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