今日のエッセイ-たろう

飲食店を違った角度で見てみる。 2022年11月9日

飲食店と一括りに言ってしまうことがあるけれど、その形態は様々。一般的には、料理のカテゴリで分けられることが多いしのかな。あとは、専門店と呼ばれたり。いわゆる日本料理の料亭が専門店に分類されているのが、ちょっと意外な気がする。

こういった分類は、誰が決めているんだろう。行政というか、事務処理的にやりやすいように整理されているんだろうか。誰の目線で分類するか。これによって、基準点がかなり変わってくるんだろうと思う。

住所もそうだよね。日本の住所は、行政管理をする上で都合が良いくくりに整理されている。ほら、エリアで区切られるでしょう。よくあるのは、大きな道を挟んであっちとこっちでは違う地名になるってこと。町内会とか自治区なんかもそこで分割されている。時々、ゴミの収集で問題になることがあるよね。道の両側にゴミの集積所があって、それぞれに回収される曜日が違う。だから、ゴミを出すタイミングが合わないと、道の向こう側に持っていって捨てる。

アメリカやイギリスは、住所と言えば道の名前。なんとかストリートだったり、なんとかアベニュー、ブルバードだったり。だから、同じ道沿いならあっちとこっちで同じ地名。番地の振り方はバラバラみたいだけどね。道の端から1番なんだけど、2番が向かい側にあることもある。ジグザグに振られているんだね。もちろん、隣が2番というケースも有る。短い道だと、反対の端っこまでいったら次の番地は向かいの家になっていることもある。

地名にしても番地にしても、これは生活に都合が良いように設定されているのだ。郵便配達をする時には、予め同じ地名でまとめておいて、番号の若い方から並べておけば良い。広い道だったら、片側をずっと番号順に配達するだろうし、狭いのなら交互に行ったり来たりするかもしれない。つまり、行政管理ではなくて生活者目線で設定されているわけだね。

さて、飲食店を分類し直してみる。といっても、そんなに大層なことじゃなくて。面白そうだから、他の切り口で分類したらどんなことになるのかなっていう実験をしてみる。そういう遊びね。

成り立ちによって分けるのも面白いかもしれない。酒を販売する酒店で、その場で飲めるように1杯ずつ売るようになったのが居酒屋のルーツ。別の商売から発展的に飲食店になっていったという分類ね。そういう意味では、バーは別物になる。そもそも酒を飲むための場所として誕生したからね。

定食屋などは、そのルーツを茶屋に見ることが出来る。これも別の商売と言えるのかな。なのだけれど、酒屋のような小売店ではなかったのだから、初期段階から飲食業と言えそうだ。田楽や饅頭を売っていた店が、豆腐料理店に発展したケースも有るしね。これらは事業拡大のイメージかな。

料亭はどうだろうか。主に接待などのように集会を目的としている場所として登場したわけだ。みんなで集まる場所が欲しくて、そのニーズに応える形である。初期の頃は場所だけのレンタルで、料理は出前ということもあったしね。そう考えると、料理と空間を含めた総合的な宴会サービスということになるのだろうか。ちょっと宿泊業にも似てる。

今度は形態とか人の動きに注目してみようかな。小さな居酒屋とか、スナックやバーでは客同士のコミュニケーションが生まれやすい。偶然の遭遇が生まれやすい。出会いの場にもなる。これはこれで、面白いな。では、この反対は料亭になるのかな。基本的に個室だし。個室という空間の中でのコミュニケーションを充実させる代わりに、見知らぬ他人との接点はかなり減らされている。人の交流という視点だったら、広さと深さのどちらに比重をおいているかってことなんだろうな。

ファミリーレストランみたいなところは、他人を見ることが出来るし、どんな行動をしているかをぼんやり把握することくらいは出来る。でも、滅多なことでは会話が始まることはないかもしれないね。となると、カウンターと、テーブル席、ボックス席、個室という形態によって交流の広さと深さが違うってことなのかもな。

ビジネスモデルと言うほどのことではないけれど、なんとなく飲食店の運営の参考になりそうだ。こういう視点で見直してみるのも面白い。

今日も読んでくれてありがとうございます。コロナ禍では、遭遇が減ったよね。町のスナックやバーで偶然知り合いに出会うとか、そこで知らない人と会話が始まるとか。そうそう、社内のエレベーターとか喫煙所とか休憩所で、偶発的にコミュニケーションが始まることもあるよね。これもリモートワークだと無くなっちゃう。交流には深さも必要だけど、広さも必要なんだろうな。

タグ

考察 (305) 思考 (229) 食文化 (225) 学び (171) 歴史 (123) コミュニケーション (120) 教養 (106) 豊かさ (97) たべものRadio (53) 食事 (39) 観光 (30) 料理 (24) 経済 (24) フードテック (20) 人にとって必要なもの (17) 経営 (17) 社会 (17) 文化 (16) 環境 (16) 伝統 (15) 遊び (15) 食産業 (14) まちづくり (13) 思想 (12) 日本文化 (12) コミュニティ (11) ビジネス (10) 美意識 (10) たべものラジオ (10) デザイン (10) 言葉 (10) 価値観 (9) エコシステム (9) 社会構造 (8) 循環 (8) 組織 (8) ガストロノミー (8) 日本料理 (8) 視点 (8) マーケティング (8) 仕組み (8) 仕事 (7) 日本らしさ (7) 構造 (7) 営業 (7) 妄想 (7) 社会課題 (7) 飲食店 (7) 多様性 (6) 認識 (6) 観察 (6) レシピ (6) 教育 (6) 食の未来 (6) イベント (6) 組織論 (6) 持続可能性 (6) 落語 (5) 働き方 (5) 体験 (5) 挑戦 (5) 構造理解 (5) スピーチ (5) イメージ (5) 伝える (5) 食料問題 (5) 掛川 (5) 解釈 (5) 未来 (5) 成長 (5) 変化 (5) 味覚 (4) 自由 (4) 言語 (4) 文化財 (4) 食のパーソナライゼーション (4) ポッドキャスト (4) 食糧問題 (4) 学習 (4) 作法 (4) バランス (4) エンターテイメント (4) 盛り付け (4) サービス (4) 食料 (4) 表現 (4) フードビジネス (4) 情緒 (4) イノベーション (4) 語り部 (4) 誤読 (4) AI (4) 食品産業 (4) 土壌 (4) 世界観 (4) 食の価値 (4) 伝承と変遷 (4) 技術 (4) 健康 (3) 食品衛生 (3) 研究 (3) マナー (3) 感情 (3) 民主化 (3) (3) 温暖化 (3) セールス (3) 産業革命 (3) プレゼンテーション (3) 変化の時代 (3) チームワーク (3) 効率化 (3) 会話 (3) 話し方 (3) 和食 (3) 行政 (3) 読書 (3) 情報 (3) トーク (3) メディア (3) (3) 身体性 (3) 社会変化 (3) テクノロジー (3) 慣習 (3) 変遷 (3) ハレとケ (3) 認知 (3) 感覚 (3) 栄養 (3) 魔改造 (3) 自然 (3) チーム (3) 修行 (3) 民俗学 (3) 伝え方 (3) 代替肉 (3) ルール (3) 外食産業 (3) ごみ問題 (3) 料理人 (3) 味噌汁 (3) パーソナライゼーション (3) アート (3) おいしさ (3) 人文知 (3) エンタメ (3) 科学 (2) 道具 (2) 生活 (2) 生活文化 (2) 水資源 (2) 家庭料理 (2) 生物 (2) 衣食住 (2) AI (2) メタ認知 (2) 料亭 (2) 夏休み (2) ロングテールニーズ (2) (2) 山林 (2) 腸内細菌 (2) 映える (2) 誕生前夜 (2) フレームワーク (2) (2) 婚礼 (2) SKS (2) 飲食業界 (2) 思い出 (2) 料理本 (2) 笑い (2) 芸術 (2) 明治維新 (2) 俯瞰 (2) 才能 (2) ビジョン (2) 物価 (2) フードロス (2) 事業 (2) 工夫 (2) ビジネスモデル (2) 創造性 (2) 心理 (2) 接待 (2) 人類学 (2) キュレーション (2) 外食 (2) 茶の湯 (2) SDG's (2) 旅行 (2) 共感 (2) 流通 (2) (2) 身体知 (2) サスティナブル (2) サスティナビリティ (2) 産業 (2) オフ会 (2) ガストロノミーツーリズム (2) 発想 (2) 地域経済 (2) 食料流通 (2) 常識 (2) 伝承 (2) ビジネススキル (2) (2) 気候 (2) 儀礼 (2) 食料保存 (2) 合意形成 (2) 電気 (2) 言語化 (2) 行動 (2) 文化伝承 (2) 産業構造 (2) 思考実験 (2) 地域 (2) 食品ロス (2) 食材 (2) ガラパゴス化 (2) 郷土 (2) SF (2) 農業 (2) 五感 (2) 報徳 (2) 習慣化 (2) アイデンティティ (2) 哲学 (1) 補助金 (1) 食のタブー (1) 江戸 (1) 幸福感 (1) SDGs (1) 行事食 (1) パラダイムシフト (1) 季節感 (1) 日本酒 (1) 弁当 (1)
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

-今日のエッセイ-たろう
-, ,