今日のエッセイ-たろう

「やりたいからやる」っていう軽率さ。 2024年9月8日

もうちょっと慎重になったほうが良い?それとも軽率になったほうが良い?

軽率な人っていうのは、「上手くできるかなぁ」とか「私よりもっと優れた人がいるんじゃないかなぁ」とか考えない。いろいろ準備が必要なのはその通りで、それなりに準備するんだけど、結局「やるかどうか」は、「やりたいからやる」に帰結する。あんまり配慮しない人と言い換えても良いかもしれない。

振り返ってみれば、たべものラジオもそういう軽率さがあって始めたことかもしれない。正直なところ、ぼくじゃなくても出来ることだし、もっと上手くやれる人もいるはずだと思っている。で、たべものラジオみたいな話を聞きたいとか読みたいと思っていて、探してみたんだ。YouTubeにはいくつかそれっぽいものがあったんだけど、解像度がぼくの好みじゃなかった。っていうのもあるんだけど、結局のところは「やりたいからやる」という気持ちが行動につながっていると思うんだ。

一方で、慎重になっているのか、それとも臆病になっているのか、はたまた恒常性バイアスのせいなのかわからないけれど、行動に移せていないこともある。

ホントは、飲食店をやりたいわけじゃないんだ。というと語弊があるな。

食の文脈を学んだり、食を科学的なアプローチで読み解いたりすることに興味がある。食の流通とか、エコ・サイクルとか、食文化とか、土とか水とか。そういう「人間の食」というものを根本から見つめるのが好きなんだ。で、日本の何処かに「食に関する知」を包括的に研究したり学んだりする場所があったら良いのにと思っている。

それが、食産業に役に立ったり、観光に繋がったり、食料生産とか安全とかいったものに貢献したりすることが望ましいと思っているんだ。あんまり「べき」とは言わないようにしているんだけど、ぼくがぼくに言う分には良いだろう。ぼくという人間はそういうことにアプローチすべきだし、やりたいこと。で、飲食業はその一環にあるという感覚。どこかでちゃんと経済に接触しておくことで、社会実装の実験にもなるはずだしね。

こういうアプローチは既にアカデミアにもある。と思う。というかあって欲しい。海外だとFuture Food Insutituteが理想形に近い。直接見たことはないのだけれど、イタリアのポッリカはぼくの思い描くカタチに近いんじゃないかな。ボローニャにも東京にも拠点があるんだけどね。だから、どこかで「ぼくの出番じゃないかもな」などと思っていた部分もある。

だけどね。やりたいんだ。

だから、掛川という田舎町でやる理由をいくつか考えてみた。都市型ではない10万人程度の地方だからこその小さな循環型を模索する事ができる。東京や名古屋、大阪からの移動の便が良く、空港もある。だから、日本各地で同様の取り組みを行っている地域との物理的な連携がし易い。などなど、色々と考えられるんだけど、でもそれって◯◯市でも良くない?って言われたら、そうかもしれないって言わざるを得ないんだよね。

でね。最終的に、なんで掛川市で君がやるの?っていう話になるんだけど、つまるところ「ぼくらがいるから」以外の答えって無いんだよ。

食っていうのは、生命そのものであり、エネルギーの源だよね。と同時に、価値観とか文化とかアイデンティティを司るものでもある。社会が交流するために、アイデンティティが必要なのだから、その根幹のひとつである食もまた大切なんだと思う。

これを具現化するための事業に育てていきたい。というのが、いま一番心が踊ることなんだ。

今日も読んでいただきありがとうございます。ここしばらく、このことばっかり考えているんだよね。そんなことをしているうちに、既存の事業が悪化しちゃったんだけど。いっそここまできたら、思い切って「やりたいからやる」って軽率に動き出してみようかと思っている。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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