今日のエッセイ-たろう

いろんなサービスの奥行きを考える。 2022年10月5日

日本のサービスは「出来ません」と言うのが早すぎる傾向にある。そんな指摘を聞いた。元々のサービス設計にないことを求められた時に、けっこう早い段階で「出来ません」と言われることが多い。意外かもしれないけれど、マニュアルベースのサービス設計を行うアメリカなどのほうが融通がきくんだよね。検討した結果「No」と言われることもあるかもしれないけれど、割りと対応してくれる。そんな話。

確かに、その通りなんだよね。ちゃんとデータを取ったわけじゃないけれど、個人的な経験でも納得できる話だと感じる。これって、結構根が深い問題かもしれない。

というのも、そこに対価が発生するという観念が無いような気がするんだ。

飲食店は、サービス提供事業者だ。だからこそ、感じることがある。例えば、アレルギーだとか宗教上の問題で食べられない食材があるとするじゃない。これ、結構頻繁にあるんだけどさ。甲殻類アレルギーなんかは結構多いから、その都度甲殻類を使用しない料理を作る。これは別に問題ない。焼き物だったら、他の食材に差し替えるだけのことだ。

なにが問題かっていうと、煮物とか揚げ物だと割りと大事になりがちなんだよね。アレルギー対応のレベルがどの程度ってことにもなるんだけどさ。揚げ物の場合、甲殻類を揚げた油が使えないことがある。まだ他の食材を揚げていない油だったら良いんだけど、そうとばかりはいかないわけだ。となると、わざわざ別の鍋に油を用意して、そちらを使うしか無い。まぁ、だいたい対応しちゃうんだけどさ。

魚を使用したものが全てダメだってことになるとするじゃない。刺し身や焼き物はもちろんのこと、出汁もダメだってことになる。ひとグループ全員がそうなら、まとめて作っちゃうんだけど、一人だけ変えて欲しいとなる場合もある。他の人達は、むしろ魚を食べたいとか。そういうケースも有る。この場合は、別料金を頂戴しているんだ。

もう分かると思うけれど、すべての工程が転用できない。その一人のためだけに、ほとんどの料理を特別に作ることになるよね。そうすると、食材も別になるし、仕込みも別になるから、それだけ人件費がかさむんだ。

ビジネスの多くは、作業や設備をまとめることでコストが下がっている部分がある。これは飲食サービスだけじゃない。すべての企業が大掛かりな機械を導入するのはコスト分散になってしまうから、それを一括で代行する企業がある。そんな感じでコストを低減しているわけだ。味噌だって豆腐だって、家庭で作ろうと思ったらそんなに難しい作業じゃない。だけど、労働力や原材料を考えると、一箇所に集約することで社会全体のコスト低減に貢献しているとも言える。

個別のサービスはこれの外側になる。だから、コストが別途発生する。まぁ、だいたいそうだよね。とすると、お客様のリクエストに応える際には、別途費用がかかる旨をお伝えすることがあるはずだ。もちろん、費用をかけずに対応することが出来る場合もあるよ。その場合は、費用をいただくことはない。だけど、コストがかかることを求めているのならば、それは請求されることも受容する必要がある。

ここにすれ違いがあるんじゃないかと思うんだよね。サービス提供側もちゃんと説明しないで簡単に断りすぎる。それに、求める側も人件費を軽んずる傾向がある。材料費以上に人件費だね。

そのくらいやってくれよ。と簡単に言ってくれるが、仮に2時間程度の労働が別途発生したとしたら、それは誰が負担することになるのか。少し無理してでもサービスしておいたほうがリピートに繋がるだろう。そういう判断をするケースもあるだろう。一方で、あの時やってくれたのに今度は断られたからサービスが悪いって言われるリスクもある。ここは、経営者の判断次第なんだろうな。

互いに、状況を把握すること伝え合うことが足りていないんじゃないかな。大抵の場合は、ちゃんと説明すれば理解してもらえる。コストがかからないのであれば、個別対応するかどうかなんてのはホスピタリティだけの話だ。それこそサービス提供事業者は、サービスを商品としているわけだから、そのくらいは検討しても良い。もし、コストが発生するのであれば、ちゃんとそれについてお客様と「相談」して事を進めれば良い。ただただ、それだけのことなんだと思うのだ。

アナログな対応。これは既存サービスの強みだ。客と商家を「枠」で分断しないで、互いに人と人とのコミュニケーションとして捉えたい。いや、あえて「べき」と言ってしまおう。百貨店の店員という名前の人はいないのだ。互いに気持ちの良いコミュニケーションがサービスの土台。ここから、始まるサービスを社会全体で文化に昇華するにはどうしたら良いのかなあ。あ、もうとっくにやっているというケースも多いのはわかっているよ。

今日も読んでくれてありがとうございます。そもそも、サービスという言葉を取り違えて使っているかもしれないよなあ。ほら、これはサービスですって言って無料で何かをもらうことあるじゃん。サービスという言葉に「無料」というニュアンスを勝手に付加しちゃっている。適当な言葉が無いのかもしれないけどね。無料のおまけと、本来の役務を分ける言葉があれば良いのかな。

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武藤 太郎

1988年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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