どこに行ってもよそ者っぽい感覚。 2022年7月17日

多くの場面で、なんだか「よそ者」を感じる。といっても、悪い意味ではなくて、程よい距離感はここなんだろうなって思うんだ。どうやら、あんまりベタベタしないのが好きなのかという気にもなってくる。だけど、基本的には寂しがり屋で、誰かと繋がっていたいという本性もある。

地元である掛川市についても似たような感覚があるんだよね。もともと、出生地が違うってこともあるかもしれないけどね。小学2年生から掛川に移り住んだ。とはいえ、祖父は掛川生まれ。祖父が街に移り住んで、そこで父が生まれて、ぼくも生まれた。縁あって、今また掛川にいるという家族。弟は生粋の掛川人だけどね。

そうして移り住んだ掛川でさえ、高校3年までしか住んでいない。その後は、東京近郊にいる時間が一番長いかな。

掛川に帰ってきて、愛着のある故郷でもあるけれど、どこかでわずかながらのよそ者感を勝手に感じているかもしれない。思い込みなんだろうけどね。

日本料理の業界でも、やっぱりそういう感覚があるんだよね。職人団体の中にいても、なんだかちょっと浮いている。それは、僕らが職人らしくない雰囲気をまとっているからかもしれないんだけど。いつだったか、調理技能のコンクールに出品したときには、大先輩に言われたんだよね。ちゃんと料理もできるのか、感心感心。ってね。一応、県内で3位には入賞してても、そんな感じなんだってさ。

社会人になってから、ずっと料理人という人が多いからなんだろうか。そういう意味では間違いなく異色だよね。まだ10年もやってないし。まともに料理人らしいことをやり始めてから、やっと8年目に入ったところかな。そんなもんだ。それも、料理人になりたくてなったというわけでもないしね。やりたいことをやるために必要なスキルとして習得した感覚がある。これ、怒られそうだな。ま、いっか。事実だし。あ、料理が嫌いなわけじゃないよ。むしろ、楽しい。

幼い頃から、飲食店の世界を見てきたから、却ってやりたくない職業として認識してきちゃったからなぁ。こういう後継者はけっこう多いよね。

当たり前だけど、海外に住んでいるときは間違いなくよそ者だったよね。自分が外国人なんだから。それに、東京にいてもやっぱりよそ者。その頃は、よそ者のほうが圧倒的に多数派だったよなあ。この感覚が続いているような気がする。もちろん強弱はあるけどね。

これ、なんだろう。どういう感覚なんだろうか。自分でもよくわからないんだよね。ちゃんと軸足を置いているつもりだし、愛着もしっかりあるし、帰属意識だってある。なんだけど、どこかでよそ者っぽい感覚を持ち続けているんだよ。

サッカーやオリンピックでは、やっぱり日本を応援するもんね。日本に対してはよそ者という感覚があんまり無いかも。当たり前っちゃ当たり前だ。日本人だし、日本語を話しているし。侮辱されたら怒りの感情も湧くことがある。静岡県や掛川市という単位に置き換えたらどうなんだろう。ああ、そこまで強くはないかも知れない。県外の人に掛川市をバカにされたら、ちょっとはイラッとするけれど、外国人に日本を侮辱されたときほどではないかもしれない。

あ、あくまでも思考実験ね。そういうシチュエーションに遭遇する機会はあんまりないからさ。

ここ数年、ずっとまちづくりに関する事業には携わっているんだ。結構率先して活動している方だと思うんだよ。だから、ちゃんと熱はあるのね。なのに、どこかでちょっと冷めているような感じ。よそ者として排除されているというよりも、自分でその感覚を生み出しているんだろうな。なんとなく、観客席から眺めているような気がしてしまう。いつでもそうだったわけじゃないんだけど。とくに、最近はこの感覚が強まっている。

俯瞰する癖が強くなったのかな。どうなんだろう。

そういえば、いろんなコミュニティを横断することが多くなったかな。一つのコミュニティに固執しないというか。繋がり方のスタイルがみんな違うの。それぞれのコミュニティごとに、みんなの繋がり方がね。ヒエラルキー構造を強く意識している組織もあるし、形はあるけれど緩やかなところもある。その中で、ぼくのポジションはみんな違うしね。それに、ヒエラルキーのないコミュニティも多い。

こういったことが、いくらかは影響しているのだろうか。我が事ながら、とっても不思議だ。

今日も読んでくれてありがとうございます。よそ者っぽい感覚でいると、複数の世界観を行き来することにためらいがないかもね。どこに行っても常にちょっとよそ者。と同時に、どこに行ってもちゃんと帰属意識がある。複数の価値観を横断するということに関しては、この感覚は有功かもしれない。

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