今日のエッセイ-たろう

フグの生息域が変わったのか? 2022年9月17日

今年は、フグはどうだろう。漁獲と質の話ね。長年、ふぐ料理を取り扱ってきたお店にとっては、そろそろフグの情報が気になる季節になってきた。あまり知られていないけれど、フグって漁期が決まっているんだよね。漁期というか、禁漁期を決めている。夏場は確かにフグ毒が強くなりがちだけれど、それは除毒が可能なのだからあまり問題ない。どちらかというと、生態系保護の観点から漁獲を制限している。

最近になって、フグの生態系が変わってきているみたい。いや、違うな。気候や海流が変わってきたおかげで、フグが捕れる海域が変わってきたんだね。一昨年から昨年にかけては、北海道でトラフグが揚がったんだ。本来、そんな北の海でトラフグが捕れることなんて滅多にあることじゃない。生息域よりも北に位置するからね。そんな場所で大量に漁獲があったので、現地の漁協としてもどう扱って良いかわからない。道内にフグを買ってくれる飲食店が少ないのだ。だったら、東京に運んで売れば良いじゃん。ということになるのだけれど、どんな処理をしてどうやって流通に乗せればよいのかがわからない。ということで、豊洲市場に応援を要請して、人を派遣してもらうことでなんとか処理をしたそうだ。

今年は、福島県で大量に捕れてしまっている。まだ、9月なのに漁船を出せば大漁に捕れるわけだ。本来、フグが捕れる地域では10月を量の解禁日にしているところが多い。9月のトラフグはまだ育ちきっていないことが多くて、もう少し待ってから漁獲したいのだ。けれども、前述の北海道と同じ状況なので、どのように扱ってよいかわからない。わからないけれど、捕れるものは捕りたい。でも売れない。やっぱり、豊洲や下関から人が派遣されて、とりあえず35センチ以下の個体は放流することが決まったそうだ。

これは、誰が悪いとかそういう話じゃなくてね。知識や経験がある地域と無い地域が存在しているという事実。それは、当然のことなのだ。世界中にあるよね。日本料理では昆布が欠かせない食材だ。けれども、ロシアでは無縁の食材。昆布の生息域が北上してロシアでとれるようになったところで、その処理をどうして良いかは知らないのだ。こんなことは世界中で発生しているし、これからも起き続けるはず。

近年の気候変動はそのくらい急激だということなんだろうね。

だから、環境保全が大切だってことなんだろう。ぼくは、その道の専門家でもなんでもない。だから、適当なことを言ってしまうのだけどね。地球環境って、常に変動しているように見えるんだ。江戸時代や戦国時代という、比較的近い時代でも、現代とは海面の高さが違う。平均気温だって1℃くらいは違っている。地球環境という視点で見れば、わずか数百年程度で大きく違うのだ。

余談だけど、東京の平均気温が1℃下がると、仙台とか花巻くらいの気温になるらしいよ。あくまでも年間平均だからね。2℃上がると、仙台が福岡くらいの気温になる。そんな変動が江戸時代にあったらしい。

そういう変化が起きることを当たり前だとすると、地球の温暖化も当たり前の変動の一つなのかもしれない。というムチャクチャなことを妄想してみる。良いか悪いかではなくて、一旦そうだと仮定して妄想してみるって感じかな。

温暖化って、悪い側面ばかりじゃないんだよね。あ、人間にとってどうかは別としてね。温かいってことは、植物の生育にとって優位だから。ほら熱帯地域だと、やたらと植物が大きく育ったりするじゃん。東南アジアでは、米の収穫は年に2回。ドンドン育つから、収穫期は秋だけじゃないのだ。今年の庭の雑草がやたらと元気に成長してくれたけど、それも暑かったからかな。植物学に詳しい人に話を伺ってみたいところだ。

歴史的に考えれば、野生の食料が豊富に手に入る地域は国家を形成する必要がない。争うこともない。そんなことをしなくても、森や海や川に行けば豊富な食料を手に入れられるからね。むしろ、協力関係を築いたほうが良いのだ。食料の少ない地域では、それができないから、わざわざ面倒くさい農業というものをしなければいけなくて、そのために国家集団を作る必要があって、結果として富の集積からヒエラルキーが生まれたわけだ。

別に温暖化を歓迎しているわけじゃないよ。こういう妄想をしているだけだからね。

さて、これを真実だと仮定した時に、温暖化の何が問題なのだろうか。と改めて考え出してみる。もしかしたら違う側面が見えるかもしれないと思ってね。

まず、その変化のスピードが問題かもね。氷河期の終わり頃のような短期間での気温上昇。あの時代も、けっこう早かったはずだからね。移動したんだっけ?単純に、海面上昇に合わせて移住。めっちゃわかりやすい。で、長年かけてその気候に合わせて生活スタイルを変えたんだった。だから、ジャガイモが登場するんだから。

移住と適応ね。これ、現代は無理だよなあ。移住するにしても土地が足りない。1万2千年前と現代じゃ人口が違いすぎる。70億人の人口を養うには、現代と同等かそれ以上の陸が必要なんだから。適応するにも、どのくらいの期間がかかるのかな。軽く数百年はかかりそうなイメージなんだけど、どうなんだろう。直近20年くらいの気温上昇は、かなりの勢いだ。めちゃくちゃ膨れた人口で、短期間で適応が出来るのだろうか。なんだか難しそうだ。もうちょっと気候変動が緩やかだったら対応できそうだけどね。

とか考えていくと、温暖化するにしても、もう少し緩やかな変化である必要があるんだろうな。と妄想するんだけど、実際のところどうなんだろう。よくわからない。

今日も読んでくれてありがとうございます。フグの話がどこかに行ってしまった。ところで、トラフグの有毒率は35%程度という話をしたことがある。そしたら、65%は無毒なんだから、食べても大丈夫そう。と言われたことがあるんだ。いや、無理っしょ。リボルバー式の拳銃に、弾丸を2発入れてロシアンルーレットをやるようなもんだよ。6発中2発は当たり。いや、絶対無理っしょ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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