今日のエッセイ-たろう

掛川市観光振興計画と観光のこと。2022年11月17日

掛川市の観光振興計画の修正もぼちぼち大詰め。ぼくら、策定委員会の仕事も終わり、あとは庁舎内に委ねられた。現行計画の策定でも委員会に入らせていただいていたけれど、今回はよりよいものになりそうな感覚があるんだよね。まず、読みやすい量になった。

前回までの計画書は、分厚かったんだよ。だいたいどこの市町村の計画書も分厚いの。ま、3分の1くらいはデータや資料なんだけど。それにしても、総花的に計画が張り巡らされていて、とにかく計画の物量がスゴイ。ホントに出来るの?ってなる。で、出来なかった計画が山盛り。それはそうなるよね。ある程度の抽象度が担保された上で、かつ実行可能な計画。となると、数々のアイデアの中から「優先順位をつける」ための「指針を示す」ことになるはずだ。

みんな違ってどれも良い。それはその通りかもしれない。ただ、人見せるときにはそれでは駄目だ。何の脈略もなくアートを並べただけの美術館は、美術倉庫と大差ない。展示には学芸員の意思があって、だからこそ美術館全体がアートになるのだ。視点の設定と、その表現方法は重要なポイントだろう。

観光政策では、想定されるターゲットが描かれる事が多い。それはそうだろう。観光政策じゃなくても、企業でも、イベントでも同じことだ。でね。ホントはターゲット想定と同時に、視点の設定と表現方法を想像するのが必要だと思うんだ。どれかが先にあって、それに基づいて構成しても良いのだけれど。計画を構想、妄想する段階ではほぼ同時進行かな。計画を明確にする段階で、改めてちゃんと作ったら良い。

例えば、アンパンマンの特別展を行うとする。もうね。アンパンマンというキーワードだけで、幼児を想像する人が多いんだ。ぼくが考えるならこんな感じかな。

もし、子供を対象にするなら、そのなかでも年代が限られるよね。小学生でも高学年になっちゃったら、アンパンマンは「懐かしい」存在。リアルタイムで楽しんでいるのは、ほとんど幼稚園児くらい。せいぜい小学校低学年くらいまでかな。となると、低い位置に立体展示を増やして、子どもたちがアンマンマンの世界観に浸れるようにする。少しは体感的なものがあったほうが良いだろう。

そのうえで、やなせたかしの世界観や思想を表現することが出来るかを考える。そうだな、アンパンマンや登場人物から見える世界を表現したら面白そうだな。あとは、どんなストーリーにするかだ。当然だけど、子供は親と一緒に来場するだろうから、親も楽しんでもらいたい。となると、どこかにハイコンテクストな仕掛けがあったら退屈せずに済むだろうか。

大人を対象にするなら、どうするかな。やなせたかしが夢見た世界とでもしようかな。背景や、影響を受けた作品がわかるようにしてさ。原画と完成品を見比べられるとか。順路のどこかで、子供時代に戻ったような錯覚を引き起こしたら面白いかも知れないな。でっかいぬいぐるみとか。

こんな妄想してたら、どんどん長くなってしまう。まぁ、見せ方ってこんな感覚だって話ね。どういう切り口で見せるか、その表現方法はどうするか、でそれを誰に見てもらうのか。この組み合わせで、かなりいろんなものが変わるってこと。

そもそも、観光というのは視点を変えて物事を見ると為の移動のことなのだ。見たことのないモノがどこかにあって、そこに行く。自分の目を、体と感覚を、そこへ運ぶことだ。どんなに解像度の高い優秀なヘッドマウントディスプレイがあっても、それは観光じゃないんだよね。究極的に理解の解像度が高い状態へ持っていくことが出来るのが観光。

というのが、ぼくの観光の解釈。

例えばお城や庭があってライトアップされているとする。それでホントの良いのかな。いや、ライトアップを否定したいわけじゃないよ。それも良いの。美しいものをより美しく見えるようにするとか、町のシンボルとしての天守閣を見せるというのもあるし。ただ、それだけでいいのかなって。他にもこんな視点で見ることも出来るし、けっこう面白いよっていう提案があっても良いんじゃないかと思ってね。

そうだな。こんな掛川市はいかがですか?っていう提案。美味しい掛川だったら、その視点で巡る。歴史の掛川だったらその視点で巡る。例えが浅はかで申し訳ない。こういったコンテンツが面白かったら、発信なんかはある程度放って置いても良い。面白がってくれた人が勝手に情報発信してくれるから。それがバズるってことだもんね。

今日も読んでくれてありがとうございます。ご多分に漏れず、観光政策には「情報発信」が盛り込まれている。県や国との連携という意味での情報発信が盛り込まれているのは良い。行政にしか出来ないから。一方SNSは自ら発信して頑張ろうというのじゃなくて、発信されるコンテンツを作ろうに切り替えた方がいい。だから、指標は「一般の人が発信してくれた数」じゃないのかな。っていう提案はしてきたよ。

あ、そうそう。計画書をペーパーレスにするっていうから、どうせならキンドルかなにかで電子書籍にしてくれない?って言ってみた。どのくらいのコストがかかるかわからないけどさ。読みやすいだろうし、面白い。だって、アマゾンで本を探してたら行政計画が出てくるんだよ。ちょっと笑えるし楽しい。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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