今日のエッセイ-たろう

成長の段階にレッテルを貼る。 2023年12月16日

思春期なんだから、そんなものだよね。とか、若い頃はそんなものだとか。なんだかよくわからないレッテルが存在している。5歳児なんて、もう「中間反抗期」だとか言われて、多くの親たちが恐れる期間でもあるという。

子供の成長段階は、なんとなく言語化されているような気がする。3歳くらいで「イヤイヤ期」、5歳くらいで中間反抗期、中学生くらいになると本格的な反抗期。だんだんと賢くなって、情緒的にも成長していくに従って、自分の意志を通そうとするようになっていく。最初は、シンプルにイヤイヤと駄々をこねるだけだけど、徐々に気持ちを明確に表現するようになって、そのうちにしっかりと理屈で反抗するようになっていく。ちょっと面倒に感じることもあるけれど、どちらかというと我が子の成長の段階を感じて嬉しい気持ちがある。

レッテルを貼る。というと、なんとなくステレオタイプな感じがして良い印象はない。一方で、客観的に見ることが出来るという側面もあると思う。いくつもある階段の途中。発達の過程なんだなって、俯瞰して見ることが出来る。ちゃんと整理して考えれば、そこから次のステップに進むために必要なものが見えてくることもあるだろう。教育については詳しくないのだけれど、たぶんちゃんと研究されていて、少しずつ教育現場に取り入れられていくのだろう。

大人だって、成長する。例えば、社会人一年目と10年目は同じではない。というか、同じじゃ困るんだけど。最初のうちは、何がなんだか分からなくて、自分の力で生きていくという行為自体に実感が無いかも知れない。少しずつ状況がわかるようになっていって、与えられた役割をきちんとこなせるようになっていく。そのためのスキルや考え方を徐々に身につけていく。そのうちに、チーム内で協力して成し遂げることを学び、やがてはチームを率いるようになっていくかも知れない。

会社でリーダーを任されるようになったとして、その先もいくつかの段階がある。最初は自分のことに目が向いていて、まだあまり周りのことが見えていないとか。少しすると、周りが見えてくるのだけれど、他人基準で意思決定をするようになる。上司に言われたことを実行するような感覚だろうか。で、自身の成長に伴って自身がついてくると、自分の軸が強くなって信念を持って仕事に取り組めるようになる。けど、まだオープンに意見を取り入れるのが苦手。最終的に、自分の意見を通す時と相手の意見を取り入れる時を自在にコントロールできるようになる。とまあ、ざっくりとしてステップを想像してみる。

大人の成長段階というのが、どんなふうに整理されるのかはよくわからない。上記に書き出したのは、自分の経験や周囲の人達を観察したところ、こんな感じじゃないかなと言う程度のもの。なんだけど、ステップが見えていると現在地がわかりやすいかと思って、自分なりに勝手に想定している。

自分のことを見るときもそうだし、周りの人を見るときもそうなんだけど、簡単なレッテルを貼っておくと、段階がわかる。つまり、次のステップに進む方法がわかりやすい。他人基準で動く段階から、信念を持って動く段階へ進んだ時に、組織によっては押し戻そうとする力学が働くこともある。上司や先輩から見たら面倒くさいだろうからね。だけど、お互いに成長の段階を理解していると、手を差し伸べたり自己反省したりしやすくなるんじゃないかと思うんだ。

やり方にもよると思うんだけど、レッテルを貼ることも悪いことばかりじゃないという気がしている。ステップを可視化することが全てじゃないけれど、なんとなく補助するくらいの助けにはなりそうだ。

今日も読んでくれてありがとうございます。人生の先輩たちと一緒に酒を飲んでいて、こんなことを言われたことがある。そうか、そのステップにいるんだったら、今のアドバイスは忘れて良い。当時はよく分からなかったけど、たぶんこのことを言っていたんだろうな。

タグ

考察 (300) 思考 (226) 食文化 (222) 学び (169) 歴史 (123) コミュニケーション (120) 教養 (105) 豊かさ (97) たべものRadio (53) 食事 (39) 観光 (30) 料理 (24) 経済 (24) フードテック (20) 人にとって必要なもの (17) 経営 (17) 社会 (17) 文化 (16) 環境 (16) 遊び (15) 伝統 (15) 食産業 (13) まちづくり (13) 思想 (12) 日本文化 (12) コミュニティ (11) 美意識 (10) デザイン (10) ビジネス (10) たべものラジオ (10) エコシステム (9) 言葉 (9) 循環 (8) 価値観 (8) 仕組み (8) ガストロノミー (8) 視点 (8) マーケティング (8) 日本料理 (8) 組織 (8) 日本らしさ (7) 飲食店 (7) 仕事 (7) 妄想 (7) 構造 (7) 社会課題 (7) 社会構造 (7) 営業 (7) 教育 (6) 観察 (6) 持続可能性 (6) 認識 (6) 組織論 (6) 食の未来 (6) イベント (6) 体験 (5) 食料問題 (5) 落語 (5) 伝える (5) 挑戦 (5) 未来 (5) イメージ (5) レシピ (5) スピーチ (5) 働き方 (5) 成長 (5) 多様性 (5) 構造理解 (5) 解釈 (5) 掛川 (5) エンターテイメント (4) 自由 (4) 味覚 (4) 言語 (4) 盛り付け (4) ポッドキャスト (4) 食のパーソナライゼーション (4) 食糧問題 (4) 文化財 (4) 学習 (4) バランス (4) サービス (4) 食料 (4) 土壌 (4) 語り部 (4) 食品産業 (4) 誤読 (4) 世界観 (4) 変化 (4) 技術 (4) イノベーション (4) 伝承と変遷 (4) 食の価値 (4) 表現 (4) フードビジネス (4) 情緒 (4) チームワーク (3) 感情 (3) 作法 (3) おいしさ (3) 研究 (3) 行政 (3) 話し方 (3) 情報 (3) 温暖化 (3) セールス (3) マナー (3) 効率化 (3) トーク (3) (3) 民主化 (3) 会話 (3) 産業革命 (3) 魔改造 (3) 自然 (3) チーム (3) 修行 (3) メディア (3) 民俗学 (3) AI (3) 感覚 (3) 変遷 (3) 慣習 (3) エンタメ (3) ごみ問題 (3) 食品衛生 (3) 変化の時代 (3) 和食 (3) 栄養 (3) 認知 (3) 人文知 (3) プレゼンテーション (3) アート (3) 味噌汁 (3) ルール (3) 代替肉 (3) パーソナライゼーション (3) (3) ハレとケ (3) 健康 (3) テクノロジー (3) 身体性 (3) 外食産業 (3) ビジネスモデル (2) メタ認知 (2) 料亭 (2) 工夫 (2) (2) フレームワーク (2) 婚礼 (2) 誕生前夜 (2) 俯瞰 (2) 夏休み (2) 水資源 (2) 明治維新 (2) (2) 山林 (2) 料理本 (2) 笑い (2) 腸内細菌 (2) 映える (2) 科学 (2) 読書 (2) 共感 (2) 外食 (2) キュレーション (2) 人類学 (2) SKS (2) 創造性 (2) 料理人 (2) 飲食業界 (2) 思い出 (2) 接待 (2) AI (2) 芸術 (2) 茶の湯 (2) 伝え方 (2) 旅行 (2) 道具 (2) 生活 (2) 生活文化 (2) (2) 家庭料理 (2) 衣食住 (2) 生物 (2) 心理 (2) 才能 (2) 農業 (2) 身体知 (2) 伝承 (2) 言語化 (2) 合意形成 (2) 儀礼 (2) (2) ビジネススキル (2) ロングテールニーズ (2) 気候 (2) ガストロノミーツーリズム (2) 地域経済 (2) 食料流通 (2) 食材 (2) 流通 (2) 食品ロス (2) フードロス (2) 事業 (2) 習慣化 (2) 産業構造 (2) アイデンティティ (2) 文化伝承 (2) サスティナブル (2) 食料保存 (2) 社会変化 (2) 思考実験 (2) 五感 (2) SF (2) 報徳 (2) 地域 (2) ガラパゴス化 (2) 郷土 (2) 発想 (2) ビジョン (2) オフ会 (2) 産業 (2) 物価 (2) 常識 (2) 行動 (2) 電気 (2) 日本酒 (1) 補助金 (1) 食のタブー (1) 幸福感 (1) 江戸 (1) 哲学 (1) SDG's (1) SDGs (1) 弁当 (1) パラダイムシフト (1) 季節感 (1) 行事食 (1)
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

-今日のエッセイ-たろう
-, , ,