今日のエッセイ-たろう

田舎のまちづくり、あるある話 2024年4月21日

田舎に帰ってきて、そろそろ10年になる。びっくりするくらいに変わったような気もするし、特になにも変わっていないような気もする。僕自身の変化で言えば、ずいぶんとゆっくりになったかな。歩くのも遅くなったし、動きも遅くなった。チャレンジ自体はするのだけれど、結果を求めるスパンが長くなった。

「まちづくり」と一言でまとめてしまうと、なんだかよくわからないのだけれど。とにかく、まちの未来のためになりそうなことを見つけては、仲間を集めて、ちょっとずつ動いてみる。企業で働いていたときは、四半期から半期くらいで結果が出るような計画が多かった気がするのだけれど、まちづくりの場合は、数年単位で考えることが多いかな。場合によっては、リターンが見込めるのは最短でも20年くらいはかかりそうなこともあるし。

10年くらい前は、「似たようなことをバラバラにやっているな」という感覚が強かった。あっちで子育て支援をやっていて、こっちで放課後サポートをやっている。距離的に遠いのなら仕方がいかも知れないけれど、同じ地区ならまとまって活動したほうが効率が良いはずだ。なんて考えていた。でもそれは、たぶん違う。バラバラのままで良いんだ。

100の力で1つの事業を行うのと、10の力で10の事業を行う。最初のチャレンジは、きっと後者のほうが良い。だって9が潰れても1つは残るから。潰れた9の中から合流する人が現れるかもしれないし、そしたらうまくいった事例を伸ばすことを考えれば良い。そもそも、9のチャレンジだって完全に潰れないだろうから、そっちはそっちでやり続けたら良い。選択と集中というのが企業文化にはあるけれど、それはリソースが限られている時の話。社会全体で捉えれば、広く構えていればよい。確率論の話。

ここで大切なのは、お互いに足を引っ張らないこと。それから、お互いをちゃんと認識していて、応援する気持ちでいること。「おぅ、頑張ってるな。なんか協力できることあったら一緒にやろうぜ。おれたちも頑張る。」くらいの距離感。これが、案外難しいらしい。プライドがあるのかわからないけれど、影で中傷する声を聞くことも少なくない。単に知らないだけでしょ。って思うんだけどね。どんな思いがあって、活動しているのか。とりあえず聞いたら良いのに。

たべものラジオを始めてからというもの、その界隈でのつながりはとても増えた。面白いことに、お互いに番組を聞いていてファンだったりもするのだ。今までコラボしたポッドキャストは、ずっと聞いているしね。100話以上も話を聞いているから、なんとなく人となりも見えてくるし、直接話したり食事したりすれば、距離もとても近くなる。でもって、ファンとしてもポッドキャスト仲間としても応援している。たぶん、リスナーコミュニティも重複していることが多いだろうから、あっちもこっちも聞いていて応援しているっていう感じなんだと思う。まちづくりに携わる団体も、こんな感じだったら良いと思うんだ。

役所がからむ事業になると、どうしても「組織図」を書かなくちゃいけないらしい。各種団体をどこに位置づけようか。とくに仕事はないけれど、あそこの団体の名前入れておかなくちゃいけないよな。樹形図みたいにすると、上下関係みたいに見えるからやめようか。と余計なことで悩んで時間がかかる。そんなのやめちゃえばいいのに。相関図なんて、簡単に表せないし流動的なものなんだから。下手に表現すれば、その並び順で固定されてしまうリスクも有る。だから、この前相談されたときにこんな提案をしてみた。全部カードにしちゃいましょうって。たぶん30枚くらいになるから。裏に、団体の特徴とか理念だけ書いておいて、必要なときにバラバラと並べてみて眺めたら良いんじゃないかって。採用されるかどうか知らないけど。

今日も読んでいただきありがとうございます。人数が多いとさ。合意形成が難しくなるのよね。あっちも立ててこっちも立てるってやっているうちに、誰も望んでいない事業計画が出来上がっちゃったりしてさ。じゃあやりましょうってことになっても、みんな「何か違う」と思っているから気持ちが乗っからないの。そういうのって、ホントもったいないよね。だから、バラバラのまんまで走ったら良いと思うんだ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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