今日のエッセイ-たろう

最近の変化「怒り」が減ってきた。2022年12月7日

そういえば、最近「怒」の感情が減ったな。なんだろう。歳のせいか。よくわからないのだけれど、あんまり怒らなくなった気がする。イラッとすることはあるんだけどね。それも減ったかな。ううむ。我慢しているのとも違うんだよなあ。なんだろうな。そもそも、そういった感情が湧きにくくなっているのかもしれない。

人間が出来てきたんだよ。と、思いたいところではあるのだけど、そういうことじゃないだろう。そんなに自分を信用していない。ということで、なぜ最近になって「怒りの感情」が減ってきたのかを考えてみようと思う。

なんとなく「諦め」の感情に近いようなきがするんだ。諦めるというと、ちょっとネガティブな印象になるのだけれど、それ以外に適切な言葉が見つからないんだよね。なんと言ったら良いかな。ちょっと気に入らないことがあったとしても、そういうもんだと思っちゃう。どうしようもない。自分がどう働きかけても、すぐにどうこうなるものじゃない。そんな感覚かな。天候みたいなもんだよね。雨が降ったからといって、空に向かって怒ってもしょうがないし。だったら、雨に濡れないように工夫する方が良い。

こうした文脈のことは、結構前から言われているよね。ずっと昔から沢山の人が言っている。有名なところだと良寛なんか、その極地にいるんじゃないかな。詳しくは知らないのだけれど、もうスゴイよね。あの人。

ある時、良寛さんが川を渡るために渡し船に乗った。渡し船の船頭は、「ははぁこれが有名な良寛という坊主か」と思って、ちょっとしたいたずらというか、意地悪をする。川の流れの荒いところに差し掛かったときに、わざと船を揺らしたのだ。船頭の狙い通りに良寛さんは川に落ちてしまった。泳ぐことの出来ない良寛さんは溺れそう。さすがに、やりすぎたと感じたのか船頭は良寛さんを慌てて引き上げたのだ。

「ありがとうございます。あなたは命の恩人です」

良寛さんは、まさかの言葉を発した。

怒るよね、普通。良寛さんから見ても、船頭がわざと船を揺らしたのは明らかなのだよ。その結果として死にかけているのよ。にも関わらず、引き上げられて感謝する。たぶん、こういうことだ。

まぁ、人間だからね。有名人に出会ったらやっかみの感情くらいは湧くよ。そうそう。そういうこともあるよね。まぁ、しょうがない。そういう運命だったんだ。え?助けてくれるの?ああ、よくぞ仏心を抱いてくれた。船頭さん、あんたはやっぱり悪い人じゃない。助けてくれてありがとう。

良寛さんにあったことはないので知らないけれど、どうもこんなことを考えたのじゃないだろうか。もう、メチャクチャなんだよね。ぼくみたいな人間には、とてもその領域に至ることは出来ない気がするの。何するんだよって怒鳴っちゃいそうだもん。

ただ、ちょっとだけ近いものを感じるんだ。片付けができない人、余計なことを口走っちゃう人、ついつい誰かのあら捜しをしちゃう人、計画性のない人、計画するけれど実行力の乏しい人。色んな人がいるよね。で、そういう欠点のある色んな人のうちの一人が自分なんだよね。だってしょうがないじゃん。完璧な人間なんて存在しないんだもの。みんな、どこか違うところが得意で、苦手なんだよ。きっとそうだ。

体だって、髪の毛になる細胞もあれば心臓を動かしている細胞もある。毎日働きまくっていて大変だな。と思っていたら、定期的に切り落とされる。みんな違うわけだよね。でも、それらがみんな集まると体になる。まぁ、そんなもんなんだろうね。

こうして、諦観にも似たような感情が自然と湧いてくるようになったのは、なぜだろうか。それなりに経験を重ねてきたということもあるだろうし、歴史的事象や文化や哲学を読みまくってきたせいかもしれない。どういったことが、ぼくの感情に作用してきたのかがよくわからないんだよね。仮にわかったところで、再現性が無いだろうけど。再現性がないのなら、理由を突き止めることにさしたる意味はない。ただ、単純に構造を知りたいという欲求だけの話だ。自分の変化を構造的に理解して面白がりたいだけ。

今日も読んでくれてありがとうございます。父はサッカーで例えるならメッシだ。点取り屋としては超一流だけれど、ゲームコントロールはそこまででもないし、ディフェンスは世界レベルにはないと言われている。料理を作らせたら天下一品なのだけれど、会社の経営としてはそこそこだし、片付けや段取りに関してはザルだ。で、片付けが下手なことにイライラしたってしょうがないんだよね。そういう感覚。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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