今日のエッセイ-たろう

世界は想像していたよりもずっと広かった。 2023年12月7日

世界は広い。時代を現代に限ってみても、知らないことはとても多いよね。ニュースで知ることが出来るのは、ニュースになりそうなことだけ。どこでどんな人がどんな生活をしているのか。何を食べて、何を見て何を考えているのか。そのすべてを知ることなんて到底出来そうもない。

現代の状況を知るには、やっぱりある程度は時間を遡らなくちゃいけない。どこかで争いがあったとして、それがなぜ起きているのかというのを調べてみると、数十年以上前の出来事が発端だということもある。

物理的な広がりと、時間的な広がり。それから、それぞれの繋がり。一度、グラフみたいにして表現できないかと考えてみたことがあるのだけれど、無理っぽい。今は、生物進化の系統図みたいなイメージを持ちながら、食文化の現在を見ている感じ。

たべものラジオは過去の話が圧倒的に多い。だけど、ぼくの意識としては現在に注目しているつもりなんだよね。一応は。

生物の進化については詳しくないのだけれど、食文化の歴史と現在を知るということと似ているような気がしている。自然や社会的な環境によって、どんな生態が生き残りやすいか。たまたま生き残ったのが現存している生物だし、食文化。という感じがしている。

同じ種が、川の西と東に別れた。それぞれの環境が違うから、それぞれの環境で生き残りやすいタイプが違う。長い年月が経ってから観察してみると、まったく違うものになる。

中国を起源とした麺は、日本に渡って蕎麦になった。元はと言えば、麺という漢字が表しているのは「麦が砕けたもの」。いつの間にか小麦粉を使った加工食品を指すようになった。日本では蕎麦を麺類というけれど、本来の意味からすればパンの方が麺ということになる。

西へと伝わったヌードルの製法は、パスタになった。実は、そば切りもパスタも起源は同じなのだ。友人が営むそば屋では、ソッパという新しい麺料理を展開している。そば粉を使って作るパスタ料理。ぐるっと一周回って融合しているのが面白い。

変化だけを追いかけていけば、それはそれで面白いし、番組としても成立する。なんだけど、気になっちゃうんだよね。なぜ変化したのか、というのがさ。蕎麦にしたって、江戸時代初期の人たちが受容していた蕎麦文化は、おそらく現代のそれとは違うと思うんだ。その差分はいったいどこからやってきたのだろうって思ってしまう。

気がつくと、その時時の社会を覗き見しようと一生懸命になっていることがある。もう、食べ物のことなんか忘れてね。あれこれと周辺環境を見たり、その時の食べられ方を見たりしているいうちに、なんとなく見えてくることもある。調べていて楽しい瞬間。なのだけれど、全然思いつかなくて、いつまでもフワフワしていることもある。

胡麻のシリーズは、ずっとフワフワとしていて、なんだかまとまりがない。いずれの社会を見ても、なんとなく胡麻というものが大切に扱われていたようだし、きっと好きだったんだろうということはわかる。じゃあ、なんでそれが好きだったのかとか、どんなふうに見られていたのかとか、そのへんはよくわからない。当てずっぽうで関連しそうな事柄を調べてみるのだけれど、ピンとこない。もうどうしようもなくて、みんなにも一緒に悩んでいただくことにした。

ジャガイモも砂糖も長かったのだけれど、それとは意味が違うんだろうな。砂糖は、そもそも歴史的に紹介しておきたい情報が多い。シンプルに情報が多い。ジャガイモもそんな感じかな。豆腐シリーズは、限定公開にまわしても良かった回も配信したことで長くなったかも知れない。

これらと比べると、胡麻シリーズは、経路が違うかもね。みんなで一緒に考えられるように、気になった情報は調べて公開する。といったところだろうか。

今日も読んでくれてありがとうございます。胡麻シリーズは、調べ始めるまでちょっとナメてた。まさか、こんなに長くなるなんてね。世界中で愛されている食材という意味では、砂糖にも負けないくらい。身近にあるだけに、あまり気にしていなかったなぁ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ留学。帰国後東京にて携帯電話などモバイル通信のセールスに従事。2014年、家業である掛茶料理むとうへ入社。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務め、食を通じて社会や歴史を紐解き食の未来を考えるヒントを提示している。2021年、同社代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなど、食だけでなく観光事業にも積極的に関わっている

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