祖母が残した言葉。 2022年8月30日

先日祖母の一周忌法要があった。ばあちゃんっ子だったぼくは、ばあちゃんから貰った言葉がいくつもある。ケセラセラっていうのもよく言っていたな。なるようになるっていう感じで使われることが多いけれど、それともちょっと違う。もっと老子の上善如水のような意味で言っていたような気がするよ。

水は雨にもなり川にもなり海にもなる。力強くときには環境を変えてしまうほどの力を持っている。だから洪水や干ばつも起きる。一方で恵みをもたらす。そして、カタチがないからこそ川という流れに沿って流れていく。成り行き任せのような感覚なんだろうなあ。

いつ学んだのかも気が付かないうちに「淮南子」とか「人間万事塞翁が馬」という言葉を聞いたことがあった。人間万事塞翁が馬の意味を知ったのは大人になってから。聞いたことがあるけれど意味がよくわからないでいた言葉だったから調べたんだ。淮南子を調べたのは最近のこと。だけど、なぜか言葉だけは知っていた。淮南子もまた老荘思想の影響を強く受けた書物だったし、ばあちゃんは物知りだったから、一緒に過ごしているうちに触れていたのかもしれない。

幼少期によく言われていたのは「人の振り見て我が振り直せ」だった。幼稚園に行って、○○ちゃんがこんな事をしていたんだよ。良くないよね。こんなことされて嫌だった。みたいな出来事に遭遇する。まぁ、たぶんみんなあるんだろう。先生に言いつけてやる、っていう子供いるじゃん。あれだ。

家に帰ってから、同じ様な感覚でばあちゃんに言うと、決まって「自分がされて嫌なことは、やらないことだよ。人の振り見て我が振り直せってね。」と切り替えされた。反面教師と言うけれど、それがだんだんと拡大解釈されていく。他の人の嫌な部分は自らを振り返る材料にして、良いところはドンドン真似しなさい。なんか追加されてるね。そのうちに更に広がるんだ。自然の景色を見ても、テレビで動物の番組を見ても、ドラマや映画を見ても、何でもかんでも学びの材料にさせようとする。

全然、出来てない。嫌なことがあったら悲しむ前に怒っちゃうし。イライラする。そういう性分なんだろうね、もともと。そんな孫だからこそ、怒りというネガティブ要素をポジティブ要素に切り替えさせようとしたのかもしれない。今となってはわからないけれど、なんとなくそんな気がする。

明るくサバサバしていて、穏やかな人だったな。

そういえば、なくなる少し前のことで時々言っていたことがある。「もうじきあっちへ行っちゃうからね。そういうことで、さようなら」。いつも、そんなこと言わないでまた一緒にビールのもうよって言ってたんだけどさ。それにしても、「さようなら」って言う響きが、なんともサバサバしていたのが印象的。どうも、ケセラセラとつながっているような気がしてならない。

さようなら。という言葉は「左様であるならば」が変化して誕生した別れの言葉だ。別れの言葉が接続詞だというのもスゴイよね。外国語に詳しいわけじゃないけどさ。英語のgood-byeは「God be with you」が縮まったものだと聞いたことがある。中国語の再会は、see youと同じくまた会おうだし。アディオスっていうスペイン語も神のご加護をみたいな意味らしいんだ。さようならに該当する言葉は、だいたい次の3つに分類される。神のご加護をや元気でねという祈り、また会いましょうという希望、分かれるのが寂しいという悲しみ。ほとんどの言語がそうらしい。日本語にもあるよね。だけど、最後の最後はやっぱり「さようなら」

左様であるならば致し方ない。しょーがねぇなあ。なんだか諦めのようにも聞こえるけれど、現実に起こった事実をありのままに受け入れるという心情が現れているようにも感じる。こういうところが日本人的であるのかもしれない。

ばあちゃんが常に諦めの境地にあったのかというと、たぶんそうではない。最期の言葉は「働けはたらけ」だった。お金を稼いで儲けろという意味じゃなくてね。世界を変えるなんてことは考えなくても良いから、その前に周りの人たちを幸せにするために働けって。大きいことはその先に待っている。学んで考えて行動する。そういう働き方をいつも言っていたから「はたらけはたらけ」は、ぼくら家族には響く言葉に聞こえた。

今日も読んでくれてありがとうございます。現実を受け止めて、学んで、考えて、働いて。その後にやってくる現実を素直に受け止めて。あとは、やりたいことを一生懸命やることだ。そういうことを残してくれたんだろうなあ。年忌法要ってのは、改めて思い返す機会としては、最高である。

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