街と人との関わり方を擬人化しながら観光について考える。 2023年7月1日

観光政策とはなんだろう。ということをしばしば考える。あいも変わらず、そもそも論になってしまうのだけれど、それがわからないとトンチンカンなことをやってしまいそうな気がするのだ。あるいは、すでにそうであるかもしれない。このエッセイの中でも何度となく観光について言及しているのだけれど、未だにスパッと気持ちよく納得できる感覚がないままでいる。

観光客を受け入れる側の目線で考えると、まず人が来訪してくれないことには何も始まらない。で、どうやったら来てもらえるのかということを考えるわけだ。広報活動をしたり、インフラを整えたり、観光施設をより楽しめるような仕掛けを作ったり。そんなところだろう。平たく言えば、ここはこんなに面白いから遊びに来てね、ということになるか。で、楽しんでもらって気持ちよく消費してもらう。観光政策と言うからには、来訪の際にお金を使ってもらえるようにしなければならない。食事や宿泊、買物などが楽しめる場所も必要になるだろう。

数時間から数十時間ていどの掛川との関わり。というのが基本的な観光ということになるのだろう。何かよほどの観光地でない限り、1週間も滞在して観光して回るということは少なそうだ。これを人間関係に置き換えるとどういうことになるのだろう。

ぼくらが、誰かと会う。会っている間の数時間を楽しむ。そんなことを想像してみたい。例えばデートやインタビューはどうだろう。初めて会って、その場でコミュニケーションを取る。としたら、どんな会話をするだろうか。

相手のことを知るというのがひとつ。休みの日はどんな過ごし方をしているのですか。趣味は何ですか。どんなことが好きで、得意で、苦手なのか。あとは、周辺環境か。どんな家族や友人がいるのか。初対面で質問することは少ないかもしれないけれど、友人の話が飛び出すことだってあるだろう。そういう会話の端々から、どんな友人に囲まれているのかがわかったりして面白い。

そうだ。共通の話題があると盛り上がる。それぼくも好き。似たようなことがあってさ、こんなふうに感じたんだけど、同じ感覚だよね。そんな話で盛り上がることもある。それから、興味のあるものが一緒だと、ハイコンテクストの会話が発生する。知っている人にしかわからないマニアックな話とか、かな。ニッチであればあるほど、楽しいという感覚を共有する相手が少ないだろうから、その分嬉しい感情が高まるかもしれないな。

会話の他にも共有体験をすることがあるな。映画館や美術館、遊園地に水族館などは初デートの無難な選択肢かもしれない。ドライブや散策というのも良いかもしれない。とにかく、同じものを見て同じ体型をして、それに対して抱く感情を共有するということだ。共通の趣味がなくても、一緒にいる間に共通体験をしているのだから共感を得られやすい。という意味で、初デートには「◯◯に行く」という目的が設定されていることが多いのだろうな。

いずれにしても、コミュニケーションがうまくいって盛り上がったら「また会いましょう」とか「今度は◯◯へ行きましょう」という話になる。というわけだ。初対面の初デートで泊りがけで旅行に行くというケースは少なそうだ。ちょっとハードルが高く感じる。つまり、少しずつ距離感が縮まっていって、一緒にいる時間が長くなっていくという感覚がある。

さて、観光に話を戻そう。人と町との関わり方を人間関係に置き換えた時、移住というのは結婚するくらいの感覚だ。一年に一度は会うような友人もいれば、何かのきっかけがなければ会わないけれど会えば楽しめるという友人もいる。同窓会みたいな感じ。いろんな関係の持ち方がある。という意味では観光も同じである。その入口は前述の通り、初デートみたいなものだ。

この人と一緒にいると嬉しい。その感覚をもう一度味わいたい。この人には、もっと面白い側面がありそうだからまた会いたい。ここへ繋がることが肝なのだろうと思う。

旅で訪れるのは一度切り。というケースがとても多い。デートして一日を楽しんだけれど、「またいずれ会うことがあったら」くらいの感覚だ。それはそれで観光としては良い。もっと他の場所に行きたいという気持ちもある。一方で、また会いたいという少し深いつながりを作りたいとしたら、取るべき政策は一度切りの場合とは全く違うものになりそうだと思うんだ。で、掛川市は後者を目指している。

今日も読んでくれてありがとうございます。人間関係に限った話じゃないのだけれど、関係の持ち方って色々あると思うんだ。グラデーションというか千差万別というか。絞り込まないと政策や事業は分散してしまうかもしれないけどね。でも、少し長い時間軸をとって事業を行わないといけないかもしれない。少なくとも四半期ごとの数字上の成果を求め続けるようなスピードじゃないだろうな。

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