ゆっくり思考することのすすめ? 2023年8月30日

SNSというものが嫌いなわけじゃないけれど、弱者だなとは感じている。苦手というか、面倒に感じてしまうのだ。思いついたことをそのまま言葉にすればよいのだろうけれど、それはほとんど毎日のようにブログに書いている。ブログのためのネタを外していくと、ほんとにどうでも良いことしか残らないのだ。

良し悪しはさておき、発信の簡単さについて思うところがあったので、言語化してみようと思う。周知の通り、SNSの登場以来、誰でも気軽に意見を表明できるようになったわけだ。これによって、少し思考時間が短くなったような気がしている。

極端な例で考えると、クレームとか批判。こうしたマイナス意見も、あまり考えること無く発信できてしまう。もし、反対意見を相手に伝える手段が手紙しかなかったらどうだろうか。ハガキか便箋を用意して書くというのは、なかなか面倒な作業だ。まず、その時点でクレームを伝えることを諦める人がいそうだ。

それでも、伝えるべき理由がある人は手紙を書くだろう。その場合には、時間が掛かる分だけ思考が丁寧になるのではないだろうか。ゆっくりと向き合う時間が強制的に発生するからね。瞬間的に条件反射のように相手を攻撃するのではなく、じっくりと向き合う。言語化して伝えようとすると、それなりに論理的な思考も求められるかも知れない。その過程で、自分自身の考えがその行動に見合ったものなのかを見直すことにもなりそうだ。よくよく考えてみたら、相手には相手の都合が有り、事情を鑑みると、クレームをつけるまでもなかった。なんてこともありそうである。

誰が言ったのか忘れてしまったのだけれど、ある落語のお師匠さんは弟子を叱るときには「明日の朝部屋に来るように」と言うようにしていたそうだ。その場で叱ると、感情にまかせて言わなくても良いことまで言ってしまうからだそうだ。少し時間を置いて、落ち着いてからじっくりと弟子と向き合うための時間が必要だ、と。

瞬発力が求められる状況ももちろんある。議論している最中などは、あまり時間をかけていられないかもしれない。ましてや、相手を論破しなくちゃいけない状況ならなおさら。スポーツのように、瞬時に状況を読んで、適切な判断を行って、それに見合った行動を起こすというのに似ている。

スポーツや格闘技では、普段のトレーニングの段階で、予めいろんな状況を想定している。突発的に発生した状況に、瞬間的に対応しているのだけれど、そのための練習を行っている。だから、臨機応変に対応する事ができるのだそうだ。格闘技だったら戦闘思考力とでも言うのだろうか。

ブログでも何でも良いのだけれど、普段から思考をじっくりゆっくりと巡らせる時間を持つというのは、もしかしたらこうしたトレーニングになっているのではないか。というのが、SNSを含めた情報発信について思うことである。

SNSは、ぼくらのつながりを広げてくれた。今までの世界だったらつながることの出来なかった人たちと繋いでくれた。とても感謝しているし、あったほうがありがたいと思っている。

その上で、どう付き合っていくかが問われ続けているわけだ。

そういう意味で、瞬間的な反応だけではなく、同時に熟考の時間を作るのも良いのではないかと思う。発信などはしなくてもいいから、時々自分自身の思考をゆっくりと文字にして整理してみる。そんな時間。

今日も読んでくれてありがとうございます。こんなことを考えているからSNSが面倒になっちゃうんだろうなぁ。もっと気楽にコミュニケーションツールとして楽しめばいいのにね。

記事をシェア
ご感想お待ちしております!

ほかの記事

田舎のまちづくり、あるある話 2024年4月21日

田舎に帰ってきて、そろそろ10年になる。びっくりするくらいに変わったような気もするし、特になにも変わっていないような気もする。僕自身の変化で言えば、ずいぶんとゆっくりになったかな。歩くのも遅くなったし、動きも遅くなった。チャレンジ自体はするのだけれど、結果を求めるスパンが長くなった。...

消費量に上限がある食産業で、持続可能性ってどういうことだろう。 2024年4月17日

フードファイターってすごい量を食べるよね。一度に何kgも食べるのだけど、それってちゃんとエネルギーとして使ってるのかしら。よくわからないけれど、苦しそうに食べ物を食べている姿って、つくり手としてはちょっと寂しいんだ。だから、あんまり好きじゃない。...

料理の盛り付けどうやっている? 2024年4月16日

身近なところではあまり聞かなくなってきたのだけれど、身だしなみってやっぱり大切。今頃の季節は、社会人一年目の人たちが先輩や上司から言われているのだろうか。なんだか、型にはめられているようで嫌だという人もいるけれど、身だしなみというのはそういう話じゃない。キレイだとか美しいだとか、そういう感覚のもの...

民主化して広がるものと、そうではないもの。 2024年4月13日

元禄文化の最初の頃に活躍した松尾芭蕉。日本の義務教育を受けた人なら必ず聞いたことがある名前だし、有名な句のひとつやふたつくらいは諳んじられるはず。「夏草や」、「古池や」、「五月雨を」などと最初の歌いだしだけでもそれが何かわかるほど。個人的に好きなのは「海暮れて、鴨の声、ほのかに白し」。...

半世紀前のレシピを見て気がついた野菜のはなし。 2024年4月10日

当店では、過去に提供した献立の記録がある。といっても、その全てを記録してあるわけじゃないけれど、ざっくり半世紀におよぶ献立の記録があるのだ。前菜はどんなもので、椀物や焼き物の中身がなにか。焼き魚に添えられるものなども、大まかに書いてある。大学ノートに書いてあるから、パラパラとめくって眺められるのは...