「食べ歩き」と「食文化歩き」 2022年6月25日

たべものradioの拡張版としてやってみたいことがあるんだ。これは以前から妄想していることなんだけど。ほら、ぼくらの番組って基本的に座学じゃない。で、ちょっと気になった料理や食材に関しては、簡単に実験してみるくらい。なにせ飲食店なのだ。とりあえず、ちょっと手を伸ばせば試して見るくらいのことは出来る。なんだけど、ほとんど外に出ないで番組を作っているんだよね。

実際に現地に行ってみたい。そういう思いがある。一度だけ、試してみたことがある。原稿も何も用意せずに突発的にやってみたんだ。

たまたま仕事で静岡県の東部地域へ出かけてた帰り道のこと。その時は、拓郎と二人で車で移動していたんあ。高速道路を走っていたんだけど、あいにく集中工事のおかげで一般道を通らなくちゃいけない区間があったんだよね。その途中、静岡市清水区を通りかかったときに言ったんだ。あの右奥の山にちょこっと見えるのが清見寺だよって。ほら、日本茶のシリーズの中で登場したところ。平安時代から鎌倉にかけて闘茶ってあったよね。栂尾を本茶として、他の産地のお茶と飲み比べて本茶がどれかを当てるやつ。そのときに、本茶と間違えるくらいに美味しいお茶として文献に登場するところ。清見の茶ってここだよ。

あわてて、車の向きを変えて寄り道。で、参道の手前に車を止めてケータイで動画撮影しながら清見寺に登ってみたんだ。ぼくの背中ばっかり写っているかもね。

山門に到着して振り返ってみると、そこには清水港とその街並みが一望できるんだ。かなり広く開けている。そこからは、清水港はもちろん静岡鉄道が見える。静岡市の茶町に集まったお茶がこの鉄道によって港に運ばれたんだよね。そして、そこからアメリカに出荷されたんだ。

港から少し右に視線を移すと、清水次郎長の家が見える。山岡鉄舟に茶園を開くなら牧之原はどうだろうと進言した人物だ。ここから見ると、近いよね。静岡茶の歴史のポイントとなる場所がこんなに近いんだ。それは交流が生まれてもおかしくなさそうだと思う。

次郎長の家から少し西には、鉄舟寺がある。近いんだ。鉄舟寺も清見寺も臨済宗。それはそれで繋がりがありそうじゃない。

清見寺は、家康が人質時代に学んだ寺でもあるんだよね。太原雪斎という和尚は、今川義元の参謀でもあり、家康の師でもある。その人が清見寺にいたんだ。

そこからは、久能山が見える。次郎長の家と鉄舟寺から少し西側。久能山は元祖東照宮のある場所。家光が日光に家康の墓所を移動させる前は、久能山だった。なんだろうね。なんだか人情を感じる。家康が遺言として指定した墓所は、生まれた場所ではなくて人質時代に過ごした地なんだよ。思い入れがあったのかな。

人質といっても決して辛い生活ではなくて、むしろ大切にされながら過ごしたんじゃないだろうか。今川義元の嫡男である氏真とともに清見寺で学び、遊んだ場所。最終的には旧今川領を接収したのは家康だったけれど、敵としてどのように見ていたんだろうか。

思いつくままに書き出してみたけれど、こういった憶測や感想は現地に行って見たからだろうね。距離感とか空気感はその場に立ってみて初めて感じることだからさ。そこ身体感覚から連想していく思考だってあるもの。

座学でメチャクチャ勉強した上で、現地に行ってみるとそれまでとは全く違った世界が見えるようなきがするんだ。でね。これを動画なり写真なりを含めてたべものradioで紹介したいなと思うんだ。中條景明が水桶を担いで登った坂とかさ。栂尾と宇治を行き来してみたり、永谷宗円の家に行ってみたり。ほら、お茶だけでもおもしろそうじゃない。なんて、ぼくは思っているんだけどね。どうだろうか。

そうやって、エピソードに登場する場所に実際に行ってみたいな。海外なんか、生活文化がかなり違うから見えてくる情景ももっと変わるんだろうな。すでに、100話分のエピソードがあるから、訪れて語れる場所はたくさんありそうだ。そういうところへリスナーさんと一緒に行って、一緒に話をしてみたいし。

さて、それはいつのことになるのやら。

今日も読んでくれてありがとうございます。知っていることがあると、それだけで世界の見え方が変わるよね。解像度が上がるというのもあるし、視点が変わるというのもある。そのために学校教育があるのかも。あ、そういうのを教養って言うのかな。

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