今日のエッセイ-たろう

「たべ農ざく」を振り返る。 2023年11月21日

11月19日はたべものラジオ、農と食のラボラジオ、生物をざっくり紹介するラジオの3番組合同オフ会「たべ農ざく」でした。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

「これって、ホントにどういう集まりなんですか?」

会場の責任者からこんなことを言われた。もちろん、事前に打ち合わせもしていたし、ポッドキャストのオフ会だということは共有している。それはわかった上でのこのセリフなのだ。

会場を提供していただいたのは「WIRED Café wing高輪店」。品川プリンスホテルに隣接するこちらのお店では、結婚式の2次会などイベント利用が多いそうだ。数多くのイベントを見てきた中でも、「たべ農ざく」は少し雰囲気が違うというのである。

イベントや交流会では、主催者側と参加者が割りとはっきり分かれるのだそうだ。もちろん交流はしているし、盛り上がるけれど、どこか「見えない壁」のようなものがある。線引きがされている感覚があるという。これに対して、「たべ農ざく」は極めてフラットだと感じられたそうだ。そう言われて会場を眺めてみたら、たしかにその通りだと感じた。様々な人が入り混じって会話に花を咲かせる姿は、誰がホストでゲストなのかがわからないほど。

シンプルに「会える」「交流できる」ことを喜び、目の前にいる人に「好き」が向けられている。それは、主催者とか参加者だとかは関係なく、みんながそうなのだ。

そう、このフラット感がとても好きなんだ。いつかも書いたし、どこかで喋ったんだけど、たべものラジオは「指」で有りたいと思っている。「コノユビトマレ」。

こういうのが面白いと思っているんだけど、一緒に面白がれる人、一緒に楽しもうよ。

科学博物館の特別展「和食」では、ぼくと拓郎の胸元にピンマイクをつけて、オンラインでリアルタイム配信をした。番組のためじゃなくて、30人もの人がひとかたまりになって移動したら会場に迷惑だろうし、みんなが自由にそれぞれのタイミングで見て回ったほうが楽しいだろうと思ったからだ。何しろ、僕らの歩みは遅いので、合わせるのが大変な人もいるだろう。どこにいるのかがわかるというくらいの仕掛けである。

一応は、メインスピーカーなので、マイクをつけて話しをするのは僕ら兄弟ということになっていたのだけれど、もう殆ど気にしていなかった。近くにたくさんの仲間がいて、その人達と喋りながら楽しく観覧させてもらった。互いに知らない情報や経験、そこから生まれる見方の違いや、新たに生まれる疑問、気付き、それらに呼応して繰り広げられる会話。

なんとも贅沢な時間だ。

よく、多様性が大事だという話を聞く。それは多くの場合社会課題として上げられるのだけれど、あまり身近に感じることがない。考えているということと、ダイバシティが発揮されていて、更にポジティブな感情に包まれている状態を「体験」するのとでは、きっと違う。

多様性と言っても、食に興味があるという意味では同質性が高い。グルーピングすればひとつになるのかもしれない。だが、グループの中に多様性があるという構造は、一般によく見られるだろう。会社組織などは、まさにこれ。

だから、オフ会のように多様な意見が飛び交う状態を「楽しい」と思えたなら、もしかしたら社会はちょっと楽しくなるんじゃないかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。楽しかったなぁ。と同時に、時間が足りないという感覚もあった。まぁ、こうしたイベントは腹八分目が良いのだろう。すでに次回の開催を希望する声も頂いているので、またボチボチやりますか。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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