今日のエッセイ-たろう

いろんな食文化を比較してみたい 2022年8月14日

日本人は。という主語が的確かどうかは、ぼくにはよくわからないのだけど。一般的に日本人は素材信仰的であると言われている。うむ。確かになあ。と勝手に納得しているのだけれど、どうだろうか。特に男性に顕著なのだそうだ。ジェンダーって関係あるのかな。

ただ、確かにそれっぽい事象はよく見かける。

洋服なんかはわかりやすいよね。最近はとてもオシャレに気を使う人が増えた。明らかに世代によってオシャレの具合が違うように感じている。気を使っているのだけれど、なんだか残念な人もたくさんいるのも事実でさ。なんというか、とてもバランスが悪いんだよね。と、ぼくも人のことは言えないのだけどね。

めっちゃいいコートなのに、合わせるパンツやインナーや靴がちぐはぐ。そういう人を見かけること無い?せっかくいい感じなのに、髪の毛がボサボサとか。あと、メッチャいい感じのコートなのに、デザインが合っていないとか。サイズ感が合っていないとか。

そういう人って、コートの素材がメチャクチャ良かったりするんだって。イタリアンレザーの一級品とか、メルトンウールとか。素材だけは間違いなく良い。良い素材だからオシャレでしょっていう思考になるらしいんだ。

なんで真夏にコートを引用してしまったんだろう。これは失敗だな。ま、いっか。

日本人男性だから。で片付けてしまうのは、やや難しい。その傾向はあるけれど、それが直接的な要因ではないだろうしね。なにか、間をつなぐ文脈があるんだろうなあ。なんだろう。

日本人というカテゴリなら言語とか歴史とか文化とか思想とか、そういうのが影響しているのかな。素材に注目しがちなのは、もしかしたらホントに日本人らしさの一部なのかもしれない。とも思う。アートには詳しくないけれど、確かMONO派はまさしくそうだよね。マテリアルに注目して表現していく。だったっけ?

日本料理なんて、もう完全にこれだもの。素材の持ち味を活かすために、どれだけ手を加えないで料理に昇華することが出来るか。これこそが、日本料理の源流につながる流れだとされている。ハシリの食材を、調理によってサカリの味わいにする。こういう取り組みを良しとしない。ハシリはハシリでイトヲカシなのだ。数値的な旨味の要素が多少劣っていても、その素材と巡り合ったことを楽しむ感性が常に働く。そうか。素材信仰といっても、素材そのものだけを言っているんじゃないのかもね。素材との出会いを大切にする感覚。そういうのもあるかもしれない。

素材をとても大切にする文化は日本だけのものじゃないよね。たとえば、イタリアなんかはその傾向がある。スーツ一つとっても、イギリスのそれのように構築的なデザインではない。もっと体の線を露わにするように作られている。太っていようが痩せていようが、肉体というものは美であって、その線を損なわないことが良しとされているように感じる。イギリスのスーツは、体のカタチを補うデザインが基本。とても構築的だ。

フランス料理においては、素材の組み合わせによって原型から遠く離れることが美だとされる。厳密にはいろいろと語弊があるけれど、食文化分類としてはそのようにカテゴライズされている。ま、歴史的文脈からしてもそうだけどね。え?この料理の材料ってそれだったの?という驚きがポイントになるのだそうだ。能動的に変化させることの美意識。

日本料理とは大局的な考え方だね。だから、よく対比に使われるのだ。

どちらが良い悪いの話じゃなくて、そういう文化的な背景があるということだね。同じ人類として、文化圏が違うとこれだけ意識に違いが出るのが面白い。個体差を無視して、文化という大きな流れでちゃんと差異がある。文化が違うということは、そこに至るまでのストーリーがそれぞれにあるんだよね。

ポイントごとの流れはわからなくもない。だけど、影響を与えているものは一つじゃないはずだと思うんだ。前述した通り、思想も自然環境もそうだし、言語体系もアートも影響しているんだと思うのね。これ、紐解いたら面白そう。世界中の食文化の文脈を丁寧に紐解いてみる。そういうのやりたいな。

今のところは、日本の食文化を中心に、中東、ヨーロッパ、中国っていう大きなカテゴリでしかラジオに登場してこない。日本の中を地域ごとに深堀りするのは難しいかもしれないけれど、せめて国単位で解釈できるくらいのことはやってみたいよねえ。まだ登場していない国々もたくさんあるわけだしさ。

番組としては、直接的な比較の企画を行っても良いのだけどね。それだと、ぼくの勉強量が尋常じゃないことになっちゃいそう。次の配信は半年後ってね。それよりも、食材や料理や調理方法を通して、あちこちの国の食文化にちょっとずつ触れていくスタイルが良さそうだよなあ。いくつものシリーズを経て、なんとなく見えてくる。そういうのが良さそうだ。それしかやりようがないのかもしれないけど。

今日も読んでくれてありがとうございます。というわけで、今までに触れてこなかった国々の話もちょっとずつ織り込んでいくことにしよう。って、めっちゃハードル上がったな。ジャガイモとか胡椒のシリーズでインドとかブラジルとかタイとか、いろんな国に立ち寄ればよかったなあ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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