今日のエッセイ-たろう

食べ物と関係ないけど、面白かった話はどう扱おうかな。 2022年8月5日

まったく食べ物とは関係ない話。と改めて切り出すのも変かな。普段から関係ないことも書いているし。まぁいいか。たべものラジオの準備をしていると、知らない間に歴史の勉強をする羽目になってしまう。ある程度は歴史を勉強しないと、たべもののルーツや背景が理解できないからしようがない。歴史番組をやるつもりはなかったんだけどなあ。リスナーさんからは、「たべものラジオのおかげで歴史に興味を持ちました」というコメントをいただいて、それはそれでとても嬉しい。個人的には、そんなつもりは無かったけどそういうことになった、である。

ただね。やっぱり歴史を知ると面白いことがいっぱいあるんだよね。いろんな学びがある。偉人伝みたいな本があるでしょう。図書館で見かけるそれらの書籍は、誰か一人の人生をテーマにした歴史物語。その人が生きていた時代がどういった社会だったのか。その周辺の出来事はどんな事があって、その人に影響を与えていたのか。その時々でどのような判断をして、行動を起こしていったのか。ということがわかる。

歴史に限らないと思うのだけれど、学んだことは具体的に自分に紐づけて考えることが肝要だと思うんだ。偉人の話を知って、さて自分だったらどのように考えただろうかと考える。もしくは、現代のどんな事象と似ていて、どこが違うのだろうか、と考える。遠くの事柄を、なるべく体の近くに引っ張ってきて、バーチャルで体験し直す。というような思考をすると、学びが深くなって、定着するわけだよね。そういう意味では、題材が食べ物であるということは、とてもやりやすい。だって、実際に食べたり飲んだりすることが出来るから。そして、普段から目にする機会も多いし、手を伸ばせば購入することも出来る。言ってみれば、歴史を体感するような史跡を食卓に並べて食べることが出来るということなのだ。これはなかなか良いよね。と、最近になって言語化し始めたところだ。

さて、そんな中でも番組の中では語りにくいこともある。食べ物が登場しないストーリーがあるのだ。たしかに、シリーズのなかで「今日は食べ物は登場しないよ」という回がある。だけど、一応は関連することだから紹介するわけだよね。インカ帝国とコンキスタドールのエピソードなんて、ほとんどジャガイモの話はしていないし、お茶のシリーズだって世界情勢を語っただけのエピソードがある。それは、食材を理解するために必要だからなんだよね。

最近勉強していて、ふわっと歴史の見方が変わって良かったなと思ったことがある。もう、残念ながら食材との関連はない。いや、無くはないはずだ。だけど、現時点でこのエピソードを紹介する機会は訪れていない。というのは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が活躍した時代の、外交に関する話なんだ。

歴史の教科書ではほぼ語られていない「秀吉の朝鮮出兵」のくだり。大河ドラマや小説、マンガでは、秀吉がボケちゃったかのように描かれている。まるで老害だ。欲ボケして朝鮮半島まで手に入れようとしたとか、配下の大名に与える恩賞としての土地が無くなったからだとか言われている。ぼくも後者の説を取り入れていた。というか、そう書いてあるからね。味噌汁のシリーズでもそのように喋ったと思う。

もちろん、それも無いわけじゃないと思う。だけど、見方が片側だけだったなと反省しているのだ。日本国内だけの見方をしているから、そういうことになっちゃうんだよね。ホントは、スペインや明やオランダなどの国々の思惑と、それらと対峙する統一国家日本としての構造を見なくちゃいけないはずだったのだ。大航海時代なのだからね。当然そうなる。

日本人のほとんどが認識している通り、長い間日本は鎖国政策をとってきた。鎖国というと、ばっちりと門戸を閉ざして、内側だけで生きてきたように捉えられがちだ。せいぜい明とオランダくらいしか交流しない。けれども、そんなわけがない。それで許されるわけがないのだよ。だから、黒船がやってきて開国を迫られることになるのだ。黒船よりも300年前の日本に対して、スペインが同じように開国させて貿易なり植民地化なりしようとしなかったはずがないじゃないか。

日本というと現在の国家を想像してしまうけれど、それとは違う世界が広がっていた。奈良時代にも、ちゃんと海外貿易をしていて、外交も行っている。ちゃんと駆け引きのようなことも行って、ヒリヒリするような交渉をし続けてきているのだ。鎖国政策だって「外国嫌い。だから来ないでね」という短絡的なものじゃない。ベストチョイスを取り続けていった結果、そうなったということなのだ。

言われるまで気が付かなかった。そうなんだよね。そうなんだ。朝鮮出兵や、信長のもとに現れたルイス・フロイスとのやり取りを、対外政策を含めて見る必要がある。そのうえで、安土城とはなんなのか、朝鮮出兵はなどと考えるのだ。ぼくにとっては、完全な盲点だった。わかったつもりで、完全に見落としていた「視点」だ。いやあ、これ喋りたい。ちゃんと調べてまとめるから、発信したいんだよね。だけど、シリーズのなかで全くと言っていいほど無関係だったりすると、その機会はないわけだ。どうしよう。番外編かサポーター向けに一本収録しておこうかな。それとも、その時代が関連するテーマに行き当たるまで心にしまい続けておこうかな。

今日も読んでくれてありがとうございます。歴史番組ではないけれど、歴史番組になってしまった。そのおかげで、ぼく自身がとても多くのことを学んでいる。まるで教えるような体裁を取っているけれど、ぼく自身が最初に学んでいて、それをシェアしているだけだ。このラジオ。ホント、どうしよっかなあ。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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