今日のエッセイ-たろう

ハンバーガーのサイズの話から転がった雑談。 20203年6月24日

久しぶりにバーガーキングでワッパーを食べた。日頃、あまりハンバーガーを食べることがないので、ずいぶんと久しぶりだ。特に、バーガーキングは長い間日本から撤退していたこともあって、静岡県のような地方では店舗展開が少ない。

20年以上も前のことだけれど、アメリカに留学していた頃に時々利用していたのがバーガーキング。大学の構内に店舗があったのだ。まだ10代の終わり頃だったから、食べる量は今よりもずっと多い。日本でラーメン屋さんに入れば、大盛りにするのが当たり前だった。そんな食欲旺盛の学生にとって、一回りも大きなワッパーは魅力的だったのだ。しかも安い。

日本語ではワッパーという発音。このまま発音しても、通じなかったらしい。日本人には聞き取れない音を感じている世界では、それ相応の訓練が必要になる。留学生仲間の間では、ワッパーをきれいに発音できるかどうかは、ひとつの指標になっていたことを懐かしく思い出した。

そんな思い出もあって、バーガーキングを見かけると食べてみようかなという気持ちが湧いてくる。注文するは一択だ。思い出のワッパー。

普段はほとんど意識しないのだけれど、ちょっとだけ気になったことがあった。フライドポテトのサイズをワンサイズ大きくしたくて、「ラージにしてください」と言ったんだ。アメリカでしか行ったことのない店だからなのか、それとも昔を思い出していたからなのかわからないけれど、なぜか「エル」ではなく「ラージ」と言った。そしたら、「エムからエルに変更ですね。」と復唱してくれた。

大した話ではないのだけれど、ちょっと不思議に思ったのだ。

なぜ、日本ではサイズを「S」「M」「L」で表現しているのだろう。アパレルなどでも聞く話だけれど、時々「M」と「L」を聞き間違えることがあるらしい。量販店などは、音楽が流れていて会話が聞き取りにくいことがある。さもありなん、という気もする。

表記するには便利だとは思う。一文字で済むわけだ。それに、「LL」などの表記もし易い。まあ、この表現は日本独自のものではあるのだが。一般的にはエクストララージとかキングだろう。

文字の場合は良いけれど、音にしたときに間違いが発生するのであれば「ミディアム」「ラージ」と言っても良いのじゃないだろうか。ミディアムは少し音が長くなるけれど、ラージはエルと発音するときと比べて、音の長さにはあまり差がない。多少長くなったとしても聞き間違いのリスクが低減するのならば、頭文字で言い合う必要がなさそうに思える。

コンビニエンスストアという長い音節をコンビニに縮めているというほどの省略効果は無いような気がしているのだ。

聞き間違いのリスクという観点で見れば、「大」「中」「小」のほうがリスクが低い。音も違うし、文字にしても見間違えない。同じ一文字だし、音だって短い。ぼくは知らないのだけれど、もしかしたら昔は「大」「中」「小」だったのかもしれない。

不思議だ。どこかのタイミングで、「S」「M」「L」が一般化したのだろう。ほとんど屁理屈のようだけれど、少なくとも日本社会がこの表記を一般的なものだと認識したタイミングがあるはずだとは思う。他の選択肢もあっただろうに、それでもこれになったのはなぜだろう。

正直なところ、この「なぜ」に回答を求める意味を感じていない。どうせ、「なんとなく」なのだろうとたかをくくっている。というのも、この手の変遷についての結果は分かるのだけれど、きっかけなどはわからないことがほとんどなのだ。たべものラジオをやっていて、そういう場面に出くわすことはとても多い。という、個人的な経験則からくる憶測だ。

最近「見える化」という言葉があちこちで使われている。ビジネスのなかで使われ始めたのだろうけれど、近頃では一般化してきた気がする。これも不思議だ。元々は「可視化」と言っていたはずだ。文字数も音数も長くなっているのに、わざわざ開く必要があるのかという疑問がある。言葉遊びの面白さなんだろうか。たぶん、これにも理由はない。

言葉遊びといえば「他己紹介」がある。

「紹介」は、AさんがBさんについて紹介するという意味で使われる言葉だ。これに対して「自己紹介」は、Bさんが自らを紹介する。という意味で作られた言葉だろう。つまり、「紹介」に対応するカタチで「自己紹介」が存在していた。ところが、「自己紹介」に対応するカタチで「紹介」に戻らずに「他己紹介」という言葉が生まれてきたのだ。

そもそも、「自己を紹介する」というのが「自己紹介」。もしこれに対応させるのならば「他者紹介」になるのが自然なのではないだろうか。まぁ、「他人が己を紹介する」という表現も面白いものだ。主題がBさんに残されたまま。つまり、視点がAさんではなくBさんということだ。「はじめまして。Aさん、すみませんが僕のことを紹介してもらえますか」となれば「他己紹介」になるのだろうか。Aさんが能動的に紹介する場合は、ただの「紹介」ということなのか。

今日も読んでくれてありがとうございます。完全に屁理屈の話だ。それに、どうでもいい。こんな細かいことにこだわっていると、日常生活が面倒くさくてしょうがないじゃない。そういうどうでもいいことをするのが雑談なんだろうな。車の中の妻との会話から。でした。

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武藤 太郎

1978年 静岡県静岡市生まれ。掛川市在住。静岡大学教育学部附属島田中学校、島田高校卒。アメリカ、カルフォルニア州の大学留学。帰国後東京に移動し新宿でビックカメラや携帯販売のセールスを務める。お立ち台のトーク技術や接客技術の高さを認められ、秋葉原のヨドバシカメラのチーフにヘッドハンティングされる。結婚後、宮城県に移住し訪問販売業に従事したあと東京へ戻り、旧e-mobile(イーモバイル)(現在のソフトバンク Yモバイル)に移動。コールセンターの立ち上げの任を受け1年半足らずで5人の部署から200人を抱える部署まで成長。2014年、自分のやりたいことを実現させるため、実家、掛茶料理むとうへUターン。料理人の傍ら、たべものラジオのメインパーソナリティーを務める。2021年、代表取締役に就任。現在は静岡県掛川市観光協会副会長も務め、東海道宿駅会議やポートカケガワのレジデンスメンバー、あいさプロジェクトなどで活動している。

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