夏の思い出のひとつに、野球観戦がある。高校生の頃には、夏の大会の応援に出かけてとても暑かった記憶がある。静岡にはプロ野球チームがないから、滅多にスタジアムに行くことはないのだけれど、それでも東京や大坂で何度か野球観戦に行ったことがある。それも、なぜか暑い時期だった。
特に応援しているチームがあるわけじゃないから、あまり良く知らない。どのチームが調子が良くて、どんな選手がいるということは全くの無知。子供の頃はそれなりに見ていたのだけれど、テレビを見る機会が激減したこともあって、よくわからなくなってしまった。
それでも、野球というスポーツそのものは面白いと思っているから、何かの機会にスタジアムへ行くと楽しいのだ。どちらのチームを応援するというわけではないけれど、純粋にスポーツ観戦を楽しむことが出来る。
内野席に座ることができれば良いのだけれど、外野席だとすぐ近くに応援団がいることがある。ぼくみたいな唐変木とは違って、熱心に応援するチームがあるというのは良い。サッカーだったら好きなチームがあって、日本代表の試合は熱が入るから、気持ちがわかるのだ。
ただ、ちょっと不思議だなと思うのは、ずっとこちら側を向いているひとがいることだ。楽器を持っていて応援団の様相なのだけれど、ちっともグラウンドの方を見ていない。なにかいいプレーがあって、球場全体がわぁっと盛り上がったときも、一生懸命に太鼓を叩いていたりする。見なくて良いのかな。
しばらく前までは、それが謎だったし、スタジアムへ行くことに意味がないのでは無いかとすら思っていた。
知人の一人に、ディズニーランドが好きで年間パスポートを毎年購入している人がいる。ある時、どのくらいの頻度でディズニーランドへ行くのかと訪ねたのだ。すると、週に2~3回だという。想像していたよりもずっと多かった。その頻度だと、週休二日の仕事ではあり得ないことにならないだろうか。
当時シフト制の仕事をしていた彼は、遅番のときには出勤前に立ち寄るのだと言った。だいたい一人で行くし、もう長いことアトラクションには乗っていないそうだ。早番のときには、帰りに寄ってパレードを見ることもあるらしいけれど、それも毎度のことではない。
そもそも、アトラクションにはあまり興味がないのだそうだ。なんのためにディズニーランドの年間パスポートを購入しているのだろう。
その答えは簡潔だった。雰囲気が好き。どこかの公園やモールでのんびりするくらいなら、ディズニーランドの中のカフェでのんびりしている方が良い。おしゃれなカフェが持っている雰囲気が好きだという人はいるけれど、彼の場合はディズニーランドそのものがおしゃれなカフェなのだ。
この話を聞いた当時は、ものの見方を変えさせられたような気がしたものである。
ぼくのようなタイプの人間が野球観戦に出かけていくと、そこは巨大なスポーツバーということになるかもしれない。眼の前で繰り広げられる上質のコンテンツとしてのスポーツ。それを取り囲む観客の熱狂。スタジアムが醸し出す独特の雰囲気。そうした環境で簡単なつまみとビールを楽しむ。
野球に詳しい友人が隣にいれば、あれこれとレクチャーしてくれるのも、楽しみの一つになる。へーとかほーとか、わかったような返事をして、なんとなくチームの背景を聞きながら試合を見るのも楽しいものだ。試合中にトイレに立つと、案外売店や飲食店にも沢山の人がいる。試合中だけれど、それよりもショップで買物をしたり、食事を楽しんだりしているようだ。そういうのも楽しみ方のひとつなのだろう。
今日も読んでくれてありがとうございます。楽しみ方って、一通りじゃないんだよね。いろんな楽しみ方がある。鮎釣りやするけれど、ほとんど鮎は食べないっていう人もいるし。料理はするけれど、別に食べるのが好きじゃないっていう人もいる。ホントに色々だ。いろんな楽しみ方があって、許容できるっていうのは良いことだよね。